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読書感想文

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ネタバレありです。
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#江戸川乱歩

「兇器」(江戸川乱歩)

あらすじ

 佐藤寅雄の妻である美弥子が何者かに襲われました。凶器が見つからず、暗くて顔や服装もハッキリとしません。有力な情報はありませんが、寅雄は過去の因縁から二人の男が怪しいと言います。

 1年ほど前から明智小五郎に相談している庄司専太郎は警察の巡査です。美弥子が襲われた事件について明智に相談した所、意味ありげにガラスを調べてみるべきだと言います。

 その十日後、佐藤が何者かに殺されてしま

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「屋根裏の散歩者」(江戸川乱歩)

あらすじ

 郷田三郎は仕事でも遊びでもすぐに飽きてしまいます。仕事をコロコロ変えるし、下宿もすぐに変えてしまいます。

 新しく引っ越した下宿先では、屋根裏部屋を見つけました。他の住人の部屋を覗き見し、人前では見せない姿を見て楽しんでいます。

 郷田は完全犯罪を思いつき、遠藤という男を屋根裏部屋から毒を垂らして殺してしまいました。計画は上手く行き、警察には自殺に見せかけることに成功しました。

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「黒手組」(江戸川乱歩)

あらすじ

 「私」の伯父の娘が誘拐されてしまいました。誘拐したのは「黒手組」という有名な盗賊団のようです。伯父は身代金の一万円を払うことにしましたが、約束の時間になっても娘は開放されません。

 警察へ連絡をしましたが、伯父は安心できないので「私」を通じて明智小五郎に依頼をします。

 明智は翌日の朝早くから動き始め、二日間で娘を取り戻したと連絡がありました。なぜか千葉から電報を打っています。

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「心理試験」(江戸川乱歩)

あらすじ

 蕗屋清一郎は友人の斎藤勇との会話で、下宿先の大家が植木鉢に大金を貯めていることを知ります。それを知ってから、蕗屋は半年をかけて老婆が隠している現金を手に入れる方法を計画しました。お金に目がくらんだ蕗屋にとって、倫理観は問題ではありません。大事なことは自分の罪が発覚せずにしないことでした。

 計画を実行した翌日、斎藤が老婆殺しの嫌疑を受けました。魔が差して老婆が隠していたお金を盗んで

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「D坂の殺人事件」(江戸川乱歩)

あらすじ

 「私」は白梅軒という行きつけのカフェでコーヒーを飲みながら店の外を眺めていました。店の向かいには古本屋があります。そこの妻が美人なので店から眺められることが目的の1つです。白梅軒で知り合いになった書生の明智小五郎が通りかかりました。こちらに気づいて店に入ってきたので2人で話しながら店の外を眺めていました。

 その日は目当ての美人がなかなか出てきません。本泥棒が4人も来ているのに人が

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「鏡地獄」(江戸川乱歩)

あらすじ

 Kの友人「彼」には不思議な病が取りついていました。「彼」はガラスや鏡への異常に執着していました。物理学を学び始めると「彼」の執着心はさらに強くなります。中学を卒業した後は庭に実験室を作り、1日中籠もるようになりました。

 そこからはどんどん「彼」はおかしくなってしまいました。Kはある朝「彼」の使用人に呼ばれます。「彼」の実験室には笑い話が聞こえる玉を見つけました。Kが玉を壊しすと中

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「疑惑」(江戸川乱歩)

あらすじ

 主人公の父親が殺された翌日から話が始まります。父親は良い人物ではなく、色々と迷惑をかけているので容疑者も何人かいました。主人公の話を聞いている友人からすると家族の犯行に思えます。

 事件から5日後、主人公は兄が怪しく思えるようになっています。父親の死体の側には兄と自分しか持っていないハンカチが落ちていました。家族の雰囲気もギスギスしているように思うらしい。

 事件から10日後、主

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「芋虫」(江戸川乱歩)

あらすじ

 須永中尉は戦争で負傷して五体のほとんどをを失っています。無事なのは視覚と触覚だけです。須永時子は夫を支える良い妻として、家を借りている鷲尾老少将から会うごとに褒められています。実際は抵抗できない夫を虐げることを楽しむ奇妙な嗜好があります。ある日、時子は夫の目の純粋さを恐れて目を潰してしまいます。時子は後悔して「ユルシテ」と指で夫の体に書いて謝罪します。体を動かしたりなどの反応は一度も

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