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「屋根裏の散歩者」(江戸川乱歩)

あらすじ

 郷田三郎は仕事でも遊びでもすぐに飽きてしまいます。仕事をコロコロ変えるし、下宿もすぐに変えてしまいます。

 新しく引っ越した下宿先では、屋根裏部屋を見つけました。他の住人の部屋を覗き見し、人前では見せない姿を見て楽しんでいます。

 郷田は完全犯罪を思いつき、遠藤という男を屋根裏部屋から毒を垂らして殺してしまいました。計画は上手く行き、警察には自殺に見せかけることに成功しました。

 遠藤が死んでから3日後、明智小五郎が郷田を訪ねてきます。気味が悪いと思いながら話をしていると、遠藤の部屋を調べてみることになりました。明智は何か見つけたようです。

半月後、布団を出すために襖を開けると屋根裏部屋の入口に死んだはずの遠藤の顔がありました。それは変装した明智で、事件の真相を推理してきていました。

感想

 郷田は誘惑に弱いものの、犯罪への忌避感は持っています。普通とは違った欲望があり、特殊なスリルを好んでいるだけで小心者です。

 推理の場面は明智の悪趣味な所が出ていておもしろいです。いたずらにしても死人のふりをしているのは悪意があります。終始心理的に優位に立っているように感じられて、何時から推理を組み立てているのかすらわかりません。

 明智は真実を知りたいという理由で探偵のようなことをしています。罪を償ってほしいとは思っていないし、明智こそ一番の変人ではないかと思います。

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