悲しい事は覚えている
人は悲しい記憶ほどよく覚えている。
その一方で楽しかった事や幸せだった事は忘れていく。
例えば、先月行った恋人とのデート中、どんな事を話して、どんな順番で何をしたかなど、詳細な事は覚えていないだろう。
なぜ楽しい記憶は忘れていくのに、悲しい事ほど鮮明に覚えているのだろうか?
これは、楽しい事や幸せな過去は「完了」しているからである。
完了しているという事は「いつ」「どこで」「誰と」「何をした」という事が明確になっているという事である。
その一方で悲しい記憶は、過去が完了しておらず、何か疑問が残っているのだ。
「なんであんな事をしてしまったんだろう」
「あの時こうしてたらどうなっただろう」
など、何かしら疑問が自分を追いかけてくる。
だから忘れる事が出来ないのだ。
失恋した後、未練が残るのもこれが原因である。
「なんでフラれたんだろう」
「何がいけなかったんだろう」
「良い関係を維持するためにはどうすればよかったんだろう」
など、答えの出ない事を考え続ける。
失恋を引きづらないようにするコツは、その過去を完了させる事である。
過去が完了すれば忘れていく。
その点で、僕は過去の恋愛や恋人達の事はそこそこ鮮明に覚えている。
僕は、恋人と別れると、その瞬間に連絡先も全て消し、写真があれば写真も全て消し、なかった事にしようとする。
これはあくまで、自分の中で無理やり終止符を打ち、終わらせようとしているだけなのだ。
なので、僕の過去は全く完了していない。
だから鮮明に覚えている。
僕は、感情のままに生きるのが怖い人である。
だから、色んなことから逃げている。
恋愛関係も同じだ。きちんと向き合っていたら、もしかしたら何か変わっていたかもしれない。
いまだに一緒にいれた人もいるかもしれない。
しかし、向き合わなかった。
だから僕の過去は何一つ完了していない。
個人的な話になってしまったが、心当たりのある人は僕以外にもいるはずである。
過去の悲しい事や辛い記憶に囚われてしまっている人は、なぜその過去が完了していないのか、心に残った疑問はなんなのか、について考えてみるといいかもしれない。
少なくとも僕はそれで過去を完了させてきた。過去の辛い記憶を克服してきたのだ。
悲しい事は覚えている。
最後まで読んで頂きありがとうございました。