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スキャンダル(2019)

衝撃的なセクハラ訴訟の顛末を
3人のハリウッド女優が華麗に暴く

2017年、ハリウッド女優たちの告発で始まった、セクハラ被害を訴える世界的ムーブメント「#Me Too」に先立つこと1年前、アメリカを騒然とさせたセクハラ訴訟が起こりました。

2016年、全米ニュース放送局で視聴率トップを誇るFOXニュースのベテラン女性キャスター、グレッチェン・カールソンが会社を解雇された末、同局の会長兼CEO、ロジャー・エイルズをセクハラで訴えたのです。それは同局の看板女性キャスター、メーガン・ケリーを巻き込んだスキャンダルへと発展します。

スキャンダルの発覚後から、わずか3年後の2019年、有名企業の内幕劇を早々に映画化した本作は、並々ならぬ意欲に溢れた作品です。

【ストーリー】
2016年、FOXニュースの元人気女性キャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が性的関係の強要と、それを拒否したことによる左遷に対して、同社のCEO、ロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)を提訴しました。
グレッチェン側が同様の被害者を探し出し、確実な証拠をつかもうとするなか、今やFOXニュースの看板キャスターとなったメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は自身の過去を振り返り、穏やかではいられなくなります。彼女には決して知られてはいけない秘密があったのです。

物語の軸になる実在の人気キャスター、メーガンを演じるシャーリーズ・セロンは特殊メイクを施して、メーガンに成り切り、迫真の演技を見せます。彼女の特殊メイクを手掛けたカズ・ヒロは『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』に続き、2度目のアカデミー賞メーキャップ&ヘアスタイリング賞に輝きました。

一方、ニコール・キッドマンもグレッチェンの独特なアクセントやリズムをリアルに再現し、始めはニコールと分からないほどです。

リアリティを追求した2人の美しいオスカー女優に加え、製作当時、注目の若手女優だったマーゴット・ロビーがまさにロジャーの餌食になろうとしている野心家の新人キャスター、ケイラ・ポスピシルを好演。トップをめざす女性たちの心理的な駆け引きと、正義をかけた戦いがスリリングに描かれています。

2015年、メーガンは大統領選中のドナルド・トランプの女性蔑視発言を追求し、トランプからの中傷に悩まされたといいます。映画導入部では、実際のトランプの映像やツイートを使うなど、トランプの愚行を皮肉り、何とも小気味よい! そんな堕落した政治や有名メディアに果敢に斬り込んだ製作陣にも拍手を贈りたいです。

「#Me Too」の前に書かれていたという脚本は、リーマンショックの裏側を描いた『マネー・ショート 華麗なる大逆転』('15年)でアカデミー賞脚色賞を受賞したチャールズ・ランドルフ。彼の脚本にほれ込んだシャーリーズ・セロンが製作を務めています。

ビリー・アイリッシュによる主題歌、その名もずばり『BAD GUY(バッドガイ)』もぴったりハマっていましたね。不穏な機械音のイントロがゾクゾクして、本当にかっこいいのですが、私はこの曲を聞くと、長年、映画館で流れていた映画盗撮キャンペーンのCM「映画泥棒」を思い出してしまいます。似ていませんか?(;^_^A
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