ファンタジア/2000(2000)
音が見える魔法の世界で開かれる
アニメーション技術の祭典
音が見える魔法の世界へようこそ!
ウォルト・ディズニーが音楽を主役にしたアニメーション映画『ファンタジア』を発表したのは1940年のこと。偉大な作曲家たちが創造したクラシック音楽と、その音から喚起された映像のみで構成されていることから、コンサートアニメという新しい分野を確立し、世界中の人々に愛されているアニメーションです。
ウォルトの夢は毎年、新バージョンの『ファンタジア』を製作することだったそうですが、その夢はテジタルテクノロジーの成熟を待ち、約60年の時を経て、ようやく叶えられました。
2000年のプレミアムイヤーに発表された続編『ファンタジア/2000』は、新たに映像化された7曲に加え、オリジナル版からの復活作、ミッキー・マウス主演『魔法使いの弟子』の8篇の物語で構成されています。
幕開けを飾るのは、ベートーベンの『運命』。「ジャジャジャジャーン~」でおなじみの重厚な世界観が斬新なアニメーションで表現されます。
アメリカン・ポピュラー音楽の礎を築いたガーシュインの名曲『ラプソディ・イン・ブルー』では、ニューヨークを舞台に、慌ただしい日常の中にある“ささやかな幸せ”が描かれています。
ほかにも、ドナルド・ダックが主演を務め、ノアの方舟をモチーフにしたストーリー『威風堂々』、壮大なテーマが繰り広げられる『火の鳥』など、なじみ深いクラシックとともに繰り広げられるファンタジーの世界は、抽象画、CG画、手描きスケッチといった新旧のアニメーション技術の祭典でもあります。
全体的に抽象的で、哲学的な物語が多く、まさしく厳かなクラシックコンサートのような感じです。
製作総指揮を務めたのは、ウォルト・ディズニーの甥であるロイ・E・ディズニー。世界的指揮者ジェームズ・レイバンが主役となる名曲に命を吹き込みました。
映像の迫力を堪能することを目的に、IMAXシアターの巨大スクリーン向けに製作された作品なので、家庭用のメディア、ましてやサブスクで観ても、作品の醍醐味はあまり伝わらないかもしれません。
2020年以降のコロナ禍以来、ディズニーはサブスクに非常に積極的で、新作映画の中には劇場公開はせず、サブスクで配信されているものもあります。
サブスクは手軽ですが、そればかりだと寂しい気がします。せめて映画の封切りは、大きなスクリーンで観るという、“映画の伝統”は失われませんように。本作のレビューを書くにあたって、そんな思いを強くしました。
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