マガジンのカバー画像

歌詞集

31
ここでは詩のなかでも歌詞っぽいものをまとめています。
運営しているクリエイター

#自由律俳句

夜の遊園地

夜の遊園地

誰もいなくなった
夜の遊園地
空っぽのおもちゃ箱みたいだ

そう、キミがはしゃいで
ボクは微笑むだけ
道化は二人もいらない

流転する日常は
びっくりハウスのように
視界だけ移り変わって
自分の価値観さえ
分からなくなる

灯りが消える観覧車
星も見えない静かな闇
キミの声が風に途切れて
一瞬の魔法が解けていく

時間が止まった
夜の遊園地に
木枯らしが吹き抜ける

目まぐるしく変わる
季節の移ろ

もっとみる
屋敷牢

屋敷牢

夜の空に瞬いた
私は無音の蛍
短い命の果てに
どこへ行く?
求められるままに

償いと後悔が
この胸を埋め尽くす
縛られる息苦しさに
悲鳴をあげる資格もない

縁側の隣に立つ
まやかしの像は
私への当てつけのように
両手を広げて、
想いも努力も嘘なんだって
笑われている気がするの

畳の湿った匂い
夏の陽炎、揺らめく
陽射しを受けて
私はそこにいる

短い命を精一杯
散らしたい、弾けたい
空回りす

もっとみる

少女にも満たない椿

視界の悪い雨の夜は
頭痛が止まりません
虫の知らせを無視できません

現場検証ゾーンは立入禁止区域
黄色いテープは縄張りの証です

何人たりとも通さない
その鉄壁の精神 ご立派ですが、
誰が中にいるか、
もう知っているのです

嗚呼、
あの日、さよならを告げた
あなたの横顔を思い出せないで
、いま、もがいているのです

握りしめていた綻びの種
ランタンの火に焚べたら
すぐに消えてしまいそうです

もっとみる

三等星のなみだ

雪の降りしきる河川敷
風が冷たく突き刺さる
地獄のような日々

半笑いの陰口に耐えきれず
うずくまり、震えていたの。
凍りつく心を温めて…
そっと涙を拭う人を求めてる

嗚呼、夢から醒めないで
覚まさないで、いっそこのまま
真冬の空に咲く小さな煌めき
あの三等星に私はなりたい

携帯がとても怖かったの
カメラは真実を写してしまうから
麻痺させた心がまた疼いてる
知っているわ、
その姿がいかに滑稽か

もっとみる

デンコウアンジュ(イメージ詩)

さぁ、扉よ開け
準備はいつでも万端
今日の私は一味違うの

さぁ、お逃げなさい
思うままに走る
あの子の背中に
刹那の一閃を
お見舞いしてあげる

最後に笑うのは私

狐に化かされた観客
雨に濡れた東京
草の匂いと静寂
今、時を操るのは私

胸の鼓動が止まらない

さぁ、扉よ開け、
準備はいつでも万端
霧で見えないくらいが
私にはちょうどいいから

さぁ、お逃げなさい
気持ちよく先頭を
行くあの子

もっとみる