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学生から始める金融教育:日本とアメリカの違い

コミュニティーに参加すると、
何気ない会話から、今年から始まったNISAに関する話題になります。

「株式したいけど、怖いよね〜」
「投資って、難しいよね〜」

個人的に金融相談に乗っていると、

「まずは何をすればいいのかわからなくて」
「めんどくさいことはやりたいくないので簡単にお願いします」

など、

日本人の金融リテラシーの低さを目の当たりにすることがとても多いです。



日本人の金融知識の低さは、子どもの頃から、「お金の話はしてはいけない」っていう根も葉もない常識が植え付けられている可能性があります。

義務教育の道徳の時間などでも、金融情報を取り上げられることはありませんでした。

学校でも習わないし、両親からも聞かされなければ、金融リテラシーが無くて当然なのかもしれません。

高等学校学習指導要領(日本)

2022年度から「高等学校学習指導要領」に盛り込まれました。大きな一歩ですね。ゼロからイチになったことは、素晴らしい変化です。

2022年度から「高等学校学習指導要領」には下記のように書いてあります。

家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること

家計管理については収支バランスの重要性とともに、リスク管理も踏まえた家計管理の基本について理解できるようにする。

生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること

各ライフステージの特徴と課題、家族構成や収入・支出の変化、生涯の賃金や働き方、社会保障制度などと関連付けながら考えることができるようにする。

出典:文部科学省「【家庭編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」39ページ



家計金融資産のデータ

資産所得倍増に関する基礎資料集 から2つのデータをお示しします。

資産所得倍増に関する基礎資料集
令和4年10月
内閣官房  新しい資本主義実現本部事務局


上図では、日本は極端なくらい預貯金比率が高く55%です。
アメリカが13%と比べて、かなり違いますね。
上場株式+投信+債券の割合は、日本は12%、アメリカが62%。
投資しているかどうかに大きな違いが出ています。

我が家のポートフォリオ比率は2024年1月末時点で、
上場株式+投信+債券の割合は72%。
金融資産の多くが投資されています。

◇   ◇   ◇

次のデータを見てみましょう。

資産所得倍増に関する基礎資料集
令和4年10月
内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局


家計金融資産の伸び率を3つの国(米国、英国、日本)での比較です。

資産の伸び率は、2000年から2021年末までを見ると、米国・英国ではそれぞれ家計金融資産(現金・預金、債券、株式等)が3.4倍、2.3倍へと伸びていますが、日本では1.4倍の増加にとどまっています。

アメリカと比べて、上場株式+投信+債券の割合にかなりの差があることが、このように伸び率に差が出た背景にあると考えられます。

我が家の場合は、同じ期間2000年から2021年末までを見ると、5.5倍になっていますので、世界経済の伸びを信じて、上場株式比率を高く維持したことが要因だと考えています。

データは2021年までですが、2023年世界的に株価が大きく上昇しました。

この記事(経済指標のパーセンテージと自分の資産形成の関係性)で書いたように、投資をしている人は、対象が日本であろうと、アメリカであろうと2023年は前年対比で1.2〜1.3倍になりました。

そのため、この2021年までのデータよりも、さらに、日本とアメリカの格差はとても開いていることでしょう。


世界の金融教育の考え方

アメリカ

アメリカでは、金融に関する教育は、1960年代以来の学校における消費者教育の経験や、1970年代からの全国規模での経済教育の展開に見られるように、早くから自立を促す実践的な教育としてカリキュラムに組み込まれ、今日まで行われてきています。

イギリス

イギリスでは、将来の社会を担う子どもを対象に、“シティズンシップ”という新たな教科横断型の科目を、2002年には中学校レベルで必修としています。

シティズンシップ教育は、市民として生きていく上での基礎を勉強する科目であり、お金に関する学習もその中に含まれています。 教育雇用訓練省は、金融能力(Financial Capability)は重要で、人々が金融について複雑な決断をする機会が増加していると指摘し、金融能力育成のガイドラインを発行しました。

日本

既出ですが、2022年度から「高等学校学習指導要領」に盛り込まれました。
アメリカから約50年遅れ、イギリスから20年遅れ。
さあ、日本は追いつけるのか???


ジャンプスタートによる金融教育の内容

下表は、アメリカ金融経済教育の推進組織ジャンプスタート(Jump Start)が開発した中学生と高校生が理解するべきパーソナルファイナンスについての枠組みです。

上段が四つの主要分野で、下段が各分野の内容です。

アメリカ金融経済教育の推進組織ジャンプスタート

かなり、しっかりプログラムされていることがわかります。アメリカ経済は強いのは中学生・高校生からの教育への取り組み成果によるものって気がしてきました。

義務教育での金融教育

学ぶメリット

アメリカ・イギリスの場合を箇条書きにすると、
・政府に頼らず、個人で資産形成ができる
・金融の流れが理解できるので、どこで利益ができている理解できる
・甘い話に乗らず、詐欺のリスクが軽減する
・数字の意味に強くなるので、経済感覚が身に付く
・必要な金融商品や保険だけを選ぶことができる


学ばなかったデメリット

日本の場合を箇条書きにすると、
・金利って言葉の意味がわからない
・自分の資産額を管理していない
・毎月いくら使っているか知らない
・不必要な保険に入りすぎる
・先進国の中で歴然とした資産形成の格差がついてしまった。さらにその事実を多くの日本人は知らない。
・銀行、保険会社などの金融機関の儲けの仕組みが理解できないので、消費者に不利な商品を買わされてしまう
・「預金が一番、株式は暴落するから手を出さない」って無知を曝け出したバカ丸出しの発言に、誰も疑問を持たない。
・年利30%運用などに飛びつく。相場を知らないので、詐欺に簡単に騙されてしまう。
・老後資金の年金が足りないと文句を言って政府に頼る(自分で資産形成しろ、ボケ!)

すでに大人になってしまった人へ

残念ながら、学生の時に金融知識を身につけることは学校ではできませんでしたね。

アメリカ金融経済教育の推進組織ジャンプスタートの内容を見て、羨ましいと思うでしょ。こんな教育プログラムがあったらいいのにな〜って。

でもね、いまからでも、遅くないですよ。ファイナンシャルプランナー3級(FP3級)を取得しましょう。国家資格ですが、少し勉強すれば合格できます。

FP3級の知識を得ることで、今からでも、アメリカ・イギリス並みの水準に追いつきます。

さらに、あなたが社会人ならすでに所得があり、預貯金があることでしょう。不必要な固定費を削減したり、保険を解約したりできます。そして、すぐに投資を始めることができます。

FP3級に合格するためのテクニックについては、下記記事を読んでください。
ファイナンシャルプランナー資格者になって

私が金融相談に乗っている受講生や相談者たちの数名は、FP3級合格していただきました。我が家の息子たちは大学生の時に2人とも合格しました。やる気がだけで合格できますよ。



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フィリピン、セブ島のNPO法人DaredemoHeroへ寄付します。 私の人生に大きな転機となった団体で、里親支援を続けています。 子どもたちの大学卒業までの学費支援等、教育資金に活用させていただきます。 ホームページ→ https://daredemohero.com