吉森保

大阪大学・生命機能研究科/医学系研究科教授。生命科学者。専門は細胞生物学。オートファジーの研究をしている。トレイルランニング、ラバーダック蒐集など趣味多数。https://www.facebook.com/tamotsu.yoshimori

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    • コラム:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

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    思考の溝

    先日出演したラジオ番組は、スポンサーの凸版印刷のブランディングが「すべてをTOPPA(突破)する会社」なので、ゲストは「あなたがさまざまな「壁」を突破して、今活躍しているステージの扉をひらいた【突破ストーリー】」を聞かれる。それに対して、私は「運です」という身も蓋もない返事をしている。 ほんとうなので仕方ないが、時間があったらもう少し話したかった幾つかのことがある。そのひとつが、「発想の転換あるいは発想の自由さ」だ。これも陳腐といえば陳腐だが、我々が携わる科学研究における「

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      • オートファジーGO,GO!!

        先日、私が創業した大学発ベンチャー・AutoPhagyGO Inc.(APGO)の第3回株主総会が開催され、全ての議案が無事に可決された。 ちょうど3年前にペーパーカンパニーとして設立したAPGOも、今や役員2名と従業員10名(私は社外技術顧問)の立派な会社に。基礎研究しか経験のない私が始めた無謀ともいえる試みがここまで辿り着き、感無量である。 これもひとえにCEOである石堂美和子の獅子奮迅の働きのお陰であり、またずっとサポートをして下さっている阪大のベンチャー支援ネット

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        • 進化した人類

          私は若い頃から人の名前が憶えられない。あまりにひどいので、よく呆れられる。ラボの新入生とディスカッションするときは名札を付けてもらう。 昔、毎朝通勤途中で会う人がいた。同業者のようで、どこかで会っており、向こうは親しげに毎朝話しかけてくれる。私も顔はよく憶えているのだが、どこの誰かがわからない。 毎日話しをするのに半年以上経っても思い出せない。最後に学会のプログラムに写真が出ていて名前が判明した。 会話で、よく知っている人の話が出たので名前を言おうとしたら、出てこない。

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          • 学問への扉

            昨日は、阪大の新一年生全員の必須科目「学問への扉」(通称マチカネゼミ。実施される豊中キャンパスの地名が待兼山なので)の私のラボ担当のクラスの1回目だった。 学問への扉は、高校までの受動的で知識蓄積型の学びから、主体的で創造的な学びへと転換するための「課題・文献など一つの内容をもとにアカデミック・スキルズの指導を含む、大学における学びの基礎科目」と位置づけられている。 そのためにひとつのクラスは最大17人までで、教員が一方的に講義をする形式ではなく、学生同士でディスカッショ

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          • コラム:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

            • 23本
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            • 学位授与式式辞

              大阪大学大学院・生命機能研究科長として、生命機能研究科の学位授与式で以下のような式辞を述べた。原稿を用意せずアドリブだったので、憶えている範囲のおおよその内容である。また授与式は、修士と博士の2回に分かれていたので、各々で話したことを合体している。 >>>>>>>>>> 皆さん、本日の学位授与、まことにおめでとうございます。私も研究科長を「卒業」するので同じくらいめでたいです。 皆さんは、コロナ禍のなかで研究しなければならず、とても苦労されたと思います。様々な制約があり

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              • 「ある高校生からのメール」その後2

                以前Noteに見ず知らずの高校生からメールを貰った話を書いた。研究が大好きな高校生からのメールだった。その高校生は夢を実現し、夏休みに東京から大阪に来て泊まり込みで大学の私のラボで実験をした。その彼女の体験記が、ネットにアップされている。 最後に彼女はこう言っている。 「研究の新しい方法や具体的なやり方などいろいろなことを獲得することができたが、そもそも研究している人の様子、日常的な様子、「こういう感じなんだ」というものを見ることができたのが一番大きかったです。一日研究だけ

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                • 絶食と老化

                  東北地方の地震の被害に遭われた方に、お見舞い申し上げます。 また論文を出すことができた。Yoshimori Lab、絶好調と言って良い。メンバーの頑張りのおかげである。嬉しく、またありがたいことだ。プレスリリース 生命科学研究の世界では、優れた論文を出すことが唯一無二の評価となる。いくらテレビやネットに出ても、本がベストセラーになっても、論文を出さないと研究者としては評価されない。 そしてここで言う論文とは、信頼されている学術誌に投稿され、数名の同じ分野の専門家による審

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                  • 細胞老化の仕組みの一端を解明

                    ラボメンバー達が頑張ってくれて、最近次々と研究成果を論文として報告でき喜ばしい限りである。今回は、細胞老化とオートファジーの関係を明らかにすることができた。(大学のプレスリリースはこちら。) 人間は細胞からできている。従って皆さんは細胞が老化するから人間も老化するのだろうと思うかも知れない。しかし細胞は種類によって寿命が異なり、多くは人間(個体)よりずっと寿命が短く、一生の間に新しい細胞と入れ替わっているから、細胞の老化イコール個体の老化ではない。 また細胞老化は細胞分裂

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                    • オートファジーにより骨粗鬆症が抑制される

                      私の研究室の研究成果が、学術誌に掲載されました。大学院生だった吉田君の研究です。 吉田君は、Rubiconというたんぱく質を欠く骨芽細胞(骨を造る細胞)を持つマウスを作りました。Rubiconは私たちが以前発見したたんぱく質で、オートファジーのブレーキ役として普通はどの細胞にもあります。Rubiconがないとオートファジーが亢進します。 するとそのマウスでは、骨形成が促進し骨粗鬆症が抑制されました。つまり、骨芽細胞でオートファジーを亢進させると、骨造りが活発になるのです。

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                      • VOOXで話しました

                        VOOXという音声メディアで私のトークが公開されています。VOOXはなかなかユニークなメディアです。音声に特化して学びを提供しています。 プレスリリースはこちら。 プレスリリースの説明によると「VOOXは、各界の第一人者がスピーカーとなり、それぞれの専門領域のテーマに関して、自身の肉声で解説する音声メディアです。1話10分、6話でシリーズが完結するコンテンツ構成になっており、毎週1シリーズを新規に公開しています。」とのことです。 私は、細胞やオートファジーについて、なる

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                        • オートファジーについての著書

                          講談社ブルーバックスから私の著書「命を守るしくみ オートファジー」が出版されます。1月20日発売です。 Amazonでも予約できます。 一昨年の12月に出版した「LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義」の最後に、私の専門領域であるオートファジーについて書きましたが、もっと詳しく知りたいと言う声が多数ありました。今回はオートファジーをメインに執筆しています。 ブルーバックスなので少々専門的ですが、生物学に馴染みのない方も前著を読

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                          • 大学院生に愛を

                            大学院生や博士号をとったばかりの若い研究者を国が支援する仕組みとして、日本学術振興会特別研究員(学振DC, PD)という制度がある。高給とはいえないが一応生活費が出るので、若者が研究を続けるためにありがたいシステムだ。 ただ、貰える人数が少なく、採択率が20%を切る極めて狭き門だ。採択されるためには、しっかりした実験計画を立て、優れた研究であることをアピールする申請書を書き、科学者による厳しい審査(ピアレビュー)をパスしなければならない。 逆に言えば、学振DC、PDに採択さ

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                            • イージーゴーイング2

                              MANAI財団のインタビューの後編がアップされた。 前編同様、我がちゃらんぽらん人生の話だが、言いたいのは、好きなことをやろう、「好き」は難しく考えなくていい、ということだ。 インタビューでも言っているが、研究したい子供たちの知的好奇心を大事に育む場を作りたいと思っている。 https://manai.me/blog_ja/manai-people/3429/

                              • イージーゴーイング!

                                MANAIという中高生の科学研究を支援する民間機関がある。https://manai.me/ja/ 孫正義さんの弟の孫泰造さんの財団が運営している。その理念と活動に共感し、少しお手伝いをしている。先日は、MANAI所属の東京の高校生をラボで受け入れ実験して貰った。 その縁で、インタビューを受けた。研究内容ではなく、いかにダメな高校生、大学生だったかを語っている。それから研究一筋ではなく興味があっちこっちに移り、今でも多趣味であることとか。なかなかのロングインタビューだったの

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                                • 研究したい子供たちがいる(「ある高校生からのメール」その後)

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                                  • Mountainroom君の留学

                                    私のラボでこの春に学位を取ったMountainroom君が、先週別れの挨拶をしに教授室にやってきた。今週には出国し、ボストンに留学する。お世話になりましたと言いながら、感極まって泣き出した。 先日のラボでの送別会(と言っても、にっくきSARS-CoV-2のせいで、飲み食い無しで記念品贈呈だけ)でも泣いていたので、今どき珍しく、まあよく泣く男だ。 Mountainroom君、泣いている場合じゃないぞ、学位を取るまでの苦労やら恩やらより、アメリカでの研究と生活のことを考えろ。

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