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高校生 in 細胞生物学会大会

私が大会会長を務め、奈良で開催した第75回日本細胞生物学会が昨日無事に終了した。

今年は高校生の参加も呼びかけ、平日であるにもかかわらず7名ほどが全国から参加してくれた。私のラボで研究しているふたりもポスター発表をした。

多くの人が彼女らのポスターを訪れ、高校生も堂々と説明し質問に答えていた。ある他大学の先生が、うちの院生より優秀だと舌を巻いていた。

彼女らは今流行りの「ギフテッド」で大学院生並みの知識を持つスーパー高校生なのだろうと思う人もいるかもしれないが、ごく普通の高校生であり、凄い暗記力で生物学に異常に詳しい、と言うわけでは無い。

他の子らと違いがあるとすれば、並外れた好奇心と研究に対する情熱を持っていること。私の以前からの持論だが、この二つがあれば、経験や知識がなくても年齢に関係無く研究はできる。

知識偏重の日本の学校教育は、研究者の芽を摘んでしまっている。だいたい、たくさん憶えていることが偉いなんて、おかしい。知識など生成AIに聞けば良い。

私のラボでは、高校生だからといって答えのわかっていることをやらせたりしない。大学院生と同様に、まだ世界の誰も解き明かしていない生命の謎にチャレンジして貰っている。

そして彼女らは高校に通いながら、少しずつ成果を出し、ポスター発表できるところまで来た。私の仮説の正しさを証明してくれている。

印象的だったのは、ひとりがポスターの前でされた質問に対して、私も思いつかなかったアイデアを出したこと。いつも世界に対する疑問符だらけで、質問ばかりするから周囲に鬱陶しがられると嘆いている子だが、それ故にユニークな発想ができる。そのアイデアを聞いて「確かにそうかも」と私は深く感心した。

こういうとき、研究者は嬉しい。自分だろうが他人だろうが、高校生だろうが関係無く。

こういう子らとAIが、私達の知らない新しい世界を拓くだろう。

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