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生成AIを巡るIT各社の競争が最高に面白い!をわかりやすく5分で解説!!

こんにちは。

今回はIT業界、そして今フィーバーしている生成AIをめぐり各社の競争を掘り下げてみたいと思います。

1. はじまり
発端は、2022年に米オープンAI社からプロトタイプが無償公開された「ChatGPT」ですね。その後、瞬く間にユーザー数が1億人を突破し、マスコミからも次世代のテクノロジーとして、この「生成AI」が毎日のようにニュースになっています。

そして、この「ChatGPT」サービスを開発した「オープンAI社」の株式の49%を得しているのが、あの「マイクロソフト」なのです。実は「オープンAI社」が2015年にサンフランシスコで創設された際は、あのイーロン・マスク氏も設立に携わり、役員を務めていたようですね。

そして、2019年7月にマイクロソフトが10億ドル(約1300億円)を「オープンAI社」に出資しました。そして、今年1月にマイクロソフトは更に100億ドル(13000億)という巨額の投資をして、親会社になったわけです。
そして、この「オープンAI社」で、マイクロソフトのIT業界の構図を変えるかもしれない進撃が始まったようです。

2. マイクロソフト対グーグル
まず、5月にマイクロソフトは「ChatGPT」を自社のウェブブラウザー「エッジ」ならびに検索エンジン「Bing」と組み合わせることを発表しました。

現在、ウェブブラウザーや検索エンジンはグーグルの「Chrome」が9割超のシェアを持っています。そして、このブラウザー検索には、多額の収入を得るインターネット広告が大きく関わっています。
現在は3%のシェアしかないマイクロソフトの「Bing」がもしシェアを伸ばせることができれば、インターネット広告ビジネスも拡大するわけです。

この一手には、さすがのグーグルも焦ったのか、グーグルも自社開発の対話型AI「Bard」を今後、搭載することを発表しました。
ところが、4月半ばに韓国サムスン電子が標準搭載のスマホ用検索サービスをグーグルからマイクロソフトに切り替えるとの観測が浮上して、アルファベットの株価が下落したようですよ。

グーグルにとってはこの分野の攻勢は影響大きいですね。そして最新のニュースでは、マイクロソフトはついに6月から「Windows11」に「ChatGPT」を搭載すると発表しています。

3. マイクロソフト対アマゾン、グーグル
そして、マイクロソフトは「ChatGPT」を使ったさらなる一手を打ち出しました。それが企業向けクラウドサービス「アジュール」に「ChatGPT」の最新版「GPT-4」を搭載し、企業が自社システムに対話型AI機能を組み込めるようにすると発表したことです。

このマイクロソフトのクラウド*AIの動きに対して、まず、クラウド大手のアマゾンはAWSで使える機能として文章などを自動でつくる生成AIを提供すると発表しています。アマゾン自社で作った生成AIや新興企業が開発した技術を提供するようです。そして、数ヶ月以内に自社の生成AIの一般提供を始めるらしいです。

そして、同じくクラウド大手のグーグルもクラウドサービス「グーグルワークスペース」にAIが文章を要約する機能などを使用すると発表しました。

4. マイクロソフト対他社
マイクロソフトはさらに市場で高いシェアを誇るWord、Excel、Outlook、Teamsなどでも「ChatGPT」の利用できる機能を発表しました。こちらは「コパイロット」というサービスになるそうです。これは我々ユーザーにとって一番欲しい機能ですよね。Wordなどで文章を作成する際、「ChatGPT」の機能は一番即戦力になります。

これに類似した発表をしたのが「セールスドットコム」です。自社の製品として顧客情報管理(CRM)向け生成AI「EinsteinGPT」を発表しました。こちらは営業担当者が顧客に送るメールを自動生成するなど、営業の業務に生成AIを導入して、効率化や高度化を図ってくれるそうです。

また、文章ではないですが、画像編集大手の「アドビ」も自社製品に画像生成AI「Adobe Firefly」を発表しました。
さて、こうしたマイクロソフト、グーグル、アマゾンなどの動きに対して、IT業界の他の巨人、メタ、アップル、IBMはどのような状況なのか。

まずメタを見てみます。

5. メタの動向
メタの「生成AI」に関する技術力は、実はずば抜けたものがあります。例えば、今年2月に独自の650億パラメータを持つ大規模言語モデル(LLM)「LLaMA(Large Language Model Meta AI」を発表しており、現在、学術研究者などにのみ利用公開しています。また4月に公開した「SAM(Segment Anything Model)」は「画像に含まれるあらゆる種類の被写体をくりぬける」AI機能だそうです。

また5月には「ImageBind」というテキスト、画像、動画、音声、深度、熱などを統合して、検索したり、生成したりできるAIだそうです。

それではなぜ、メタは今一番稼げそうな生成AIサービスに参入していないのか。
正確にはわかりませんが、膨大な電力と処理能力が必要な「生成AI用データセンター」の建設が遅れているためではないか、と言われています。

6. アップルの動向
次にアップルです。アップルは、今まで生成AIに関しては、特にマイクロソフトなどと競合、協調する動きもなく沈黙していました。ところが、文章や画像の生成ではないが、最近「Personal Voice」というAIによる音声サービスを近く提供すると発表しました。この「Personal Voice」は、その人の声を学習すると、その人の声でテキストなどを読み上がることができる機能のようです。

また、アップルのAIといえばSiriですが、現在、猛烈にAI人材を急募しており、このSiriを「生成AI」により、賢くするのでは、という噂があります。

アップルはもともとPCメーカーとしてもハード、ソフト一体開発のMacBookやiMacなど、非常に人気のある製品があります。現在の最新OSは「macOS13.2.1 Ventura」です。またマイクロソフトOfficeに相当するNumbers、Pages、Keynoteなどのアプリがあります。先ほど、書いたようにマイクロソフトのWindows11についに「ChatGPT」が搭載される予定ですので、macのOSそのものにもApple独自の生成AIの機能をいつ盛り込むのか、MACユーザーでも私は非常に興味があります。

7. IBMの動向
IBMをみていきましょう。
IBMはもともと企業向け本格的AI「ワトソン」を随分前から法人向けに提供してきました。そして、この5月に「ワトソンX」という「生成AIをビジネスで活用するための新たなプラットフォーム」を発表しました。この「ワトソンX」は次の3つの機能で構成されるとのことです。

IBM watsonx.ai 生成AI機能と機械学習を組み合わせた基盤モデル
IBM watsonx.data データストア
IBM watsonx.governance AIワークフローの作成

IBMの「ワトソンX」は一般に提供されるというよりも、企業向けのITサービスとして、各社に合わせてカスタマイズ開発されて提供されます。
そのため、マイクロソフトやグーグルのAIビジネスの方向性とは大きく異なっています。(いずれ両者がぶつかるにせよ)

8. イーロン・マスクの動き
そして、今回、あなどれない存在がイーロン・マスク氏です。先ほど 2015年の「オープンAI」をサム・アルトマン氏と共に創ったことは書きましたが、現在、彼は独自のAIの開発に向けた新会社「X.AI」を立ち上げました。
そして、グーグル系のディープマインド出身のイゴール・バブシュキン氏を開発のキーパーソンとして迎えたようです。こちらも、あのエネルギッシュなマスク氏のAI開発会社ですから、何が飛び出してくるのか興味津々ですね。

9. 国産AI開発の発表
そして、最後にお伝えしたいのが、国産AI開発のプロジェクトです。先日、「文章生成A「I国産」で開拓」というニュースが日経新聞を躍っていました。
東京工業大学、富士通、NTT、理化学研究所、東北大学が参加して、「2023年度中に日本語を中心とする大規模言語モデルを開発する」そうです。
そして、その基盤となるスパコンが日本が誇る世界ランキング2位の「富岳」だということです。
こちらもまだ未知数ですが、是非頑張って欲しいと思います。

それでは。

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