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高尾歳時記 2024年7月13日

高尾ではヤマユリが開花しました。

梅雨の合間の青空の下で咲くヤマユリ
とても大きな花で、直径は20cm以上あります。咲いているととっても目立ちます。
近づくと、甘い香りがむせかえるくらい濃厚に漂ってきます。

このヤマユリは日本特産のユリで、高尾だけでなく、多摩丘陵など東京の野山ではごくごく普通にあちこちで見られます。とても強い植物で、場所によっては十輪も二十輪も固まって咲いていることもあり、野山ではとっても目立つ存在です。

また、いわゆる百合根はこのヤマユリやオニユリの鱗茎(球根)で、食用になります。茹でるとほくほくしておいしいですよね。以下、平凡社「日本の野生植物」から引きます(*1)。

「 山地、丘陵に生える他年草…本州(近畿地方以北)に分布する日本特産種。強い芳香があるので喜ばれ、庭にもよくつくられるが、自然分布は案外に狭い。東北地方〜近畿地方にはふつうであるが、北海道・北陸・中国地方・九州にはなく、あれば野生化したものである…鱗片が食用になるのでリョウリ(料理)ユリともいわれる。」

高尾陣馬山塊はそのほとんどが国定公園ないしは都立公園に指定されているので、採取はもちろんのこと、損傷することも厳禁です(刑事罰があります)。

ものすごく目立つ存在なのですが、高尾を訪れる多くの人たちは気づかずにスルーしてしまいます。よく、高尾に行ったらわんさかあちこちでお花が咲いていると思ったのに全然見つけられなかった、というような感想を目にします。高尾は野草のお花の宝庫なのですが、お花畑みたいに絨毯のごとく咲いているわけではないこと、また、野生の植物は繁殖に必要となる昆虫などを誘き寄せる一方、人間のように生存の脅威になる動物には見つからないような工夫をするため積極的に探さないと目に飛び込んできません。特に山歩きをしているときは、足元に気をとられて周りが見えなくなっている人がほとんどです。ヤマユリはつぼみがたくさんついていましたので、向こう1〜2週間は見ごろが続くと思います。ぜひお運びください。

本日(7/13)正午の天気図(注1)

本日の天気予報は一昨日も昨日も雨だったのですが、梅雨前線の位置によって雨雲が陸にかかるか海にかかるか予報が難しい、ということでした。結果としては、本州を通過した高気圧に梅雨前線は押されて南下し海にかかったため、午前中南関東に雨は降りませんでした。雲は多かったのですが、隙間から青空がのぞいて空は概ね晴れ模様。午前9時時点の高尾山山頂の気温は25℃。ここのところ猛暑日が続いていましたが、今日気温は落ち着きました。ただし湿度は高く、流れる汗を拭いながらの山行になりました。

三連休の初日でしたが、人出は少なめでした。今日もお花の多いところを巡ってきました。

早朝の高尾山口駅を出発。雲は多いのですが天気は晴れ。人出は少なめでした。
ツユクサ。盛りです。夏いっぱいあちこちで観察できます。
ハグロソウが咲き始めています。梅雨明けから夏の盛りにかけて、主として山の北斜面や木立により日光が遮られたところでよく見かけます。
ヤブカンゾウ。個体数はとても多い。こちらも食用になるユリです。
ホタルブクロはもうそろそろ終わりです。
オカトラノオもそろそろ終わりです。今年はかなりたくさん咲いて、ふもとから山中まであちこちで見かけました。
アキノタムラソウが咲いていますね。主に、ふもとの明るい草むらで見かけます。
シュウカイドウ。暑い夏の盛りになると見かけるようになります。走りの個体を撮影。
ナガバハエドクソウ。こちらも暑い夏の盛りになると見かけるようになります。個体数は多い。
今日も湿度が高く蒸し蒸ししていますが、沢沿いにくるとどこからか涼しい風が吹いてきて心地いい。
吹き抜ける清々しい風に身を任せます。ここから離れたくなくなってしまいました。
イワタバコが開花していました。岩の隙間に定着して、大きなタバコの葉のような葉をつけるのがその名の由来です。
ミゾソバの花。お星様みたいでかわいい。
ミズヒキ。こちらも夏の暑い時期に多く見かけます。
オオバギボウシの花が盛りを迎えつつあります。オオバギボウシの若芽はウルイと呼ばれ、食用になります。個体数は多い。
相模湾の遠景。雲多めですが、青空がのぞいて天気は良好です。
あっ!キキョウが咲いていますね。夏の花です。
こちらではクマンバチさんがお仕事中。
チダケサシ。個体数は少なめ。
(小仏)城山山頂に到着。富士山方面ですが、雲が厚くかかって見えませんでした。
同じく城山山頂から、都心方面。霞が強く、遠景は限定的。
一丁平の森はすっかり夏色。
一丁平の展望台から、富士山方面。引き続き空の低いところは雲が厚く、富士山はお預け。
ユウガギクが咲いていました。これが咲き始めると秋の気配が近づいてきます。
今年はウツボグサの当たり年でした。たくさん見かけます。
タカトウダイは夏の花。山中のあちこちで見かけます。
ガクアジサイは終盤。
高尾山山頂に到着。富士山方面の遠景。雲がもくもく湧いてきました。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。こちらも雲が湧いて、稜線は見えませんでした。

*1
田村実、日本の野生植物1、平凡社 2015.12、 P.173

(注1)
気象庁HP 利用規約に基づく表示

出典:気象庁HP 各種データ・資料 過去の天気図

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