経営者に読んでほしい書籍「ワークマン式『しない経営』」に見る、“すること”から導き出す“しないこと”
国内の店舗数が、ユニクロを超えたワークマン。
東京都内に住んでいると、あまり店舗を目にすることがありませんが、それもそのはず、JR山手線内にワークマンの店舗はゼロなのです。
それでも、破竹の勢いを見せるワークマンの業績。
アパレル業界不況の中、4000億円の市場を切り拓き、ブルーオーシャンを全力で泳いでいます。
「インフルエンサーマーケティング」から、「アンバサダーマーケティング」だと語るワークマン急成長のキーマン、土屋哲雄専務の著書がとても参考になったので、紹介します。
もくじ
【はじめに】4000億円の空白市場を切り拓いた秘密
【第1章】「しない会社」にやってきたジャングル・ファイター
【第2章】ワークマン式「第2のブルーオーシャン市場」のつくり方
【第3章】「しない経営」が最強の理由
【第4章】データ活用ゼロの会社が「エクセル経営」で急成長した秘密
【第5章】なぜ「エクセル経営」で社員がぐんぐん成長するのか
【第6章】興味こそがやりきる経営のエンジンである
【第7章】「両利きの経営」はどうすれば実現できるのか
(早稲田大学大学院・ビジネススクール入山章栄教授との対談)
はじめにお伝えしたいことは、この書籍を読んで、うちの会社でも真似してみよう!という、再現性が高いものでは無いということです。
経営者やマネジメント層の凝り固まったアタマを叩く内容が詰まっていて、これまで考えなかった切り口やアイデアを知ることが出来るので、思考転換の参考書としては、最適です。
是非、書籍を手に取って、詳細をご覧いただきたいのですが、私が刺さったエッセンスをピックアップします。
まず、ワークマンの“しないこと”です↓
▼ 社員のストレスになることはしない
残業しない
仕事の期限を設けない
ノルマと短期目標を設定しない
▼ ワークマンらしくないことはしない
他社と競争しない
値引をしない
デザインを変えない
顧客管理をしない
取引先を変えない
加盟店は、対面販売をしない、閉店後にレジを締めない、ノルマもない
▼ 価値を生まない無駄なことはしない
社内行事をしない
会議を極力しない
経営幹部は極力出社しない
幹部は思いつきでアイデアを口にしない
このエッセンスだけでも、興味をそそられませんか?
著者は、トップダウンで事業を推進するのではなく、社員や加盟店やお客様等の意見を聞き、その声をかたちにしていきました。
社員から休みが欲しいと言われれば店舗の休日を増やす、お客様からこんな機能のウェアが欲しいと言われれば、作ってしまう。
ただ、これも、誰彼かまわずに聞き入れて実現するわけでは無く、信頼のおけるアンバサダーの意見を聞くようにしているとのことです。
まさにこれが、ワークマンの「アンバサダーマーケティング」です。
企業案件を対応するインフルエンサーと違い、アンバサダーは、ガチの意見をワークマンへ伝え、その意見を取り入れて、商品を作っていくというもの。
勘に頼らず、時流に乗らず、しっかりとしたクライテリアが存在していることが強みですね。
この戦略によって、3,000着しか売れなかった商品が10万着売れるようになったのだから驚きです。
“やること”に集中するため、“しないこと”を決めたと思うのですが、どちらも決断が難しいですよね。
残業して翌日の会議資料を徹夜して作ったり、不毛な会議を重ねたり、テストマーケティングをしたり、ノルマを課したり等、それらを一切しないというスタイルに決めたことは、なかなか勇気のいることだと思いました。
ただ、無駄なことって、企業の中には山ほどあって、軽減しようにも、何から手を付けてよいか分からなくなる状況だと思うのです。
そんなときには、この書籍が参考になるのかと。
クライテリアを決めて、それに集中する。
それ以外の無駄なコトはしない。
単純に見えて、奥が深い経営ですね。
人の意見を聞いた方が良いという経営者もいれば、聞かない方が良いというスタイルの方もいます。
どう舵を取るかは経営判断ですが、業績が伸びている企業から、学ぶことは多いと思います。
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