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開催レポート:現場のDX推進の肝はデジタル変革人材!~実践学習で変革人材を育成する3つのポイント~

ー本記事は、2022年5月27日(金)に行われたオンラインセミナー「現場のDX推進の肝はデジタル変革人材!~実践学習で変革人材を育成する3つのポイント~」の開催レポートです。ー
セミナーURL:https://www.persol-pt.co.jp/eventseminar/past-report/ws059/

<セミナー内容>---------------------------------------------------------
【1】ご挨拶
【2】現場のDX推進の肝はデジタル変革人材!
   ~実践学習で変革人材を育成する3つのポイント~
【3】質疑応答

<スピーカー>---------------------------------------------------------
成瀬 岳人
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
ワークスイッチ事業部 デジタル人材開発部 部長
事業構想士(MPD)/総務省委嘱テレワークマネージャー/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 CDO
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▼セミナーグラレコ
※どんな内容かパッと知りたい方はこちらのグラレコで概要をご覧ください。

▼アーカイブ動画はこちらから
https://www.persol-pt.co.jp/ws_digital/archive/

少子高齢化や経済不安、価値観の変化など、我々の身の回りは目まぐるしく変化しています。なかでもデジタルテクノロジーの進化は凄まじく、業界問わず多くの企業がDXに取り組もうと動いています。

※本セミナーにおける ”DX” の定義は以下でお話していきます。
デジタルは手段、目的は「ユーザーに、時代に適した新しい価値を提供するために、変革し続ける組織をつくること」
 
さて、「変革し続ける組織」は誰が作るのでしょうか。

DX推進の取り組みにおける障壁を聞いてみると、「推進できる人材がいない」こと、つまり「DXを推進する人材の育成・確保」が最大の課題になっていることがわかります。

当日の参加者に現段階のデジタル人材の育成方針をお聞きしたところ、企業の経営戦略として取り組んでいる方が多くいらっしゃいました。
 
経営戦略として取り組む際、『XX年までにXX人を育てる』と具体的な数字目標を示している企業は多いです。

しかし、DXを推進する担当者の課題感として実際にあったのは、こんなお声。
「DXの企画が現場から出てこない」
「変革手段やツールの選定ができない」
「企画した施策が現場で実行されない」
 
このような課題を乗り越えるために必要なデジタル人材とは、どのような人材なのでしょうか。私たちは「デジタル・コア人材」「デジタル変革人材」「デジタル活用人材」の3段階に分かれていると考えています。

「デジタル・コア人材」はデータサイエンティストやAIを駆使する職など、高度な専門性を持っている人を指しているイメージです。人数はそう多くはいません。
 
DXを進めていく上で重要なのは、事業や現場の業務のことがよくわかっており、ある程度意思決定力を持ったうえで状況を変え、推進していく人たちです。このような変革リーダー人材を「デジタル変革人材」と呼んでいます。
 
まずデジタル変革人材を育成することで、やがて彼らがそれぞれの職場で「デジタル活用人材」を育て、増やしていくのです。
 
今回のキーワードは『デジタル変革人材の育成』。デジタル技術に対する知識と情報収集能力を持ち、ステークホルダーを巻き込みながら現場の変革を推進できる人をどう育てていくのか、ポイントを3つご紹介します。


デジタル変革人材を育成する3つのポイント

ご紹介する3つのポイントは以下です。
①実践学習
②キャリア自律
③ラーニングカルチャー
この3つを通して「人的資本の最大化」を目指していきます。

今後、人的資本の開示義務を国が企業に求めていく予定があるため、ホットな話でもあります。
 
デジタルトランスフォーメーションにとって大事なのは、各現場で変革を起こす人たちをどう目覚めさせ、支援していくかです。デジタル変革人材育成のポイントを一つずつご紹介します。

ポイント1.実践学習

e-Learningや研修でDX事例や技術知識について学んでも、使えているかは疑問…ということはありませんか?
 
デジタル変革人材の育成には、実務の中で学習するための実践重視の学習体系(=実践学習)が必要です。身の回りの業務を俯瞰し、課題設定から始めて手段を選んでいくことで、学びながら改善を進めることができます。
 
実践学習のステップは3ステップあると考えています。

いきなりデジタル活用の実証実験などに手をつけてしまがちです。実践は大事ですが、より多くの人たちにデジタル変革人材になってもらうにはステップを踏んでしっかりと土台を固めることが大事です。
 
時間がかかりそうだと思われるかもしれませんが、着実に取り組むことで、1年以内に実践と小さな成果創出に進めることができます。
 
例えば、ある企業で役職定年を近く迎えるシニア層の社員を対象に『ロボットを部下にする』というコンセプトで、自分が関わる業務でどれだけの業務の自動化を進められるかというプログラムを行いました。我々はメンターやコーチングに近いような形で学習者に寄り添ってフォローしながら進めていきました。
目的は学ぶことではなく、自らの業務を自動化し、プロセスを変えることなので、支援期間の3カ月間の中で、学びながらも小さな成果を生み出していくことができました。

【事例 実務の中で自動化に取り組みながら学ぶ】

ポイント2.キャリア自律

専門性の高い人材を増やし、かつ循環させていくことが求められる中で、自らのキャリアに向き合い、自律的に自らの成長に取り組んでいく状況をどう作るかが重要なポイントになっています。そのためには与えられた研修だけではなく、社内外での様々な経験から学びを得ていくことが求められます。
そして、組織の成長支援として、経験学習サイクルをプログラムに入れることが大事だと私たちは考えています。

例えば、ある企業ではキャリア資産の可視化を行ったうえで内省を促し、経験学習サイクルが生まれるようなキャリア支援を行いました。

【事例 キャリア資産の可視化による、行動変容の促進】

まずはキャリアの捉え方を変える機会が必要です。「社内で昇進する」という狭い意味で捉えがちですが、「自分で自分のキャリアを作っていくもの」という認識を持てるようにします。
そしてもう一つ大事なのが可視化すること。越境学習を交えることがありますが、外で活動しておわりではなく、何が変わったのか、どう感じたのかを可視化し、内省することで学びになります。一人で内省するのは難しいです。そこで、第三者による言語化の機会を設けることで内省ができるようになります。内省ができたからといって効果はあるのか、と思われるかもしれません。
短期的には効果は見えづらいですが、中長期で見ると組織の中に行動変容を自ら起こしていける人材が増えていきます。キャリア自律した人材が育つ文化をどれだけ醸成できるかがその先を変える鍵になってきます。
 
※プロテアでは「キャリア資産」という無形資産を可視化するサービスを提供しています。

ポイント3.ラーニングカルチャー

最後のポイントは経営の意思のもと、各現場が知識やスキルを共有しあう文化(=学習する組織)を醸成することです。言うは易しですが、創ろうといってすぐにできるものではありません。ラーニングカルチャー形成の肝は20%の変革人材だと我々は考えています。
 
イノベーター理論を用いると、20%は「イノベーター」「アーリーアダプター」そしてキャズムを超えて「アーリーマジョリティー」にさしかかる層です。最初の20%の層が業務プロセスを変えていく話を日常的にするなど、各職場で広がり始めることで残りの80%の層も「自分も勉強しないといけないな」と気持ちが変化していきます。それほど最初の20%の影響は大事なのです。

参考:イノベーター理論

カルチャーを創っていくには、DX部門だけでなく、経営をトップに、人事、DX推進、事業部門の各組織が一体となって取り組むことが重要です。
 
本気で取り組むという経営トップからのメッセージを皮切りに、現場を巻き込みながらカルチャーを創った例をご紹介します。

【事例 デジタル変革人材のコミュニティ形成】

まずは最初の20%になりうる人たちをワークショップで見つけ、組織を跨いだコミュニティを形成します。20%の層がやりたいと声をあげたことに対して、会社として支援しプロジェクト化して前に進めます。成果を社内にPRする際は失敗談を共有することが大事です。現場が知りたいのはうまく行った例ではなく、失敗した話なのです。失敗から何を学び、どう変えたのか、に潜在的なデジタル変革人材は影響を受けます。組織として失敗経験も含めて評価してあげることが大事になります。

企業として取り組むプログラムとしてコミュニティ形成プログラムを何度も企画し、どんどん巻き込む人を増やしていくことで、カルチャーが創られていきます。
 
また多くの人に興味を持ってもらうために、現場の変革リーダーの事例をコミック化するなど親しみやすい方法で興味を喚起するというPRを行うのも一手です。

【事例 変革リーダーのヒーロー化施策】

ここまで、デジタル変革人材育成における3つのポイントをご紹介しました。
最後に、戦略的な人材育成のトレンドをご紹介します。

リスキリング&リソースシフトに取り組む企業の共通ポイントとは?

リスキリング&リソースシフトに取り組む企業に共通している推進ポイントは以下のとおりです。

一番大事なのは育てて終わりではなく、育てた人材がどこで活躍するのかです。
「研修から考えましょう!」ではなく、各事業・現場で何を変えないといけないのかを考えることがファーストステップです。
業務プロセスを効率化することであればデジタル変革人材の育成、新しい顧客体験を作ることであれば事業開発ができる人材、ビジネスデザイナーの育成というように、ネクストアクションが変わります。戦略として何をするかが決まっていない中でDXを進めるのではなく、目的に応じて行うことが大切です。
 
そして、最終的には社内やグループ内で人材が循環していく仕組み作りができるのが理想です。

「企業として、人の価値を高めるために何をしていますか?」
この問いに対して、あなたならなんと答えますか?
どう答えるのかを念頭におきながら、何を実行に移すかぜひ考えてみてください。


WORKSWITCH+DIGITALでは実践学習における各ステップに合わせたサービスを展開しています。お気軽にご相談ください。

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文・グラレコ/さーや
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