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開催レポート:事例に学ぶ、現場を変革できるデジタル人材の育成~インプット型研修の限界を超える“実践学習”とは~

ー本記事は、2022年6月8日(水)に行われたオンラインセミナー「事例に学ぶ、現場を変革できるデジタル人材の育成〜インプット型研修の限界を超える“実践学習”とは〜」の開催レポートです。ー

<セミナー内容>------------------------------------------------------------------
【1】「現場の変革をリードするデジタル人材」の育成における3つのポイント
【2】事例紹介
【3】質疑応答
 
<スピーカー>--------------------------------------------------------------------
船水 悠平
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
ワークスイッチ事業部 事業開発統括部 デジタル人材開発部
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▼セミナーグラレコ
※どんな内容かパッと知りたい方はこちらのグラレコで概要をご覧ください。

▼アーカイブ動画で詳細を確認したい方はこちら
https://www.persol-pt.co.jp/ws_digital/archive/

昨今、デジタル人材を育成するための研修が増えています。
しかし、既存の役職ベースの階層別インプット研修を行っただけでは、
学んだことをなかなか実務に活かせず、現場の変革はできません。
 
本セミナーでは「現場を変革できるデジタル人材」を育成するために考えるべきポイントと、「シゴトを変える学び」を基に設計したワークショップ形式の実践学習事例をお伝えしました。
 
「デジタル人材育成に興味はあるものの、誰をどのように育成すればいいかわからない」
「DXと言っても、手段(ツール)が多すぎて何を選べばいいかわからない」
「研修を行ったものの、現場で変革が進まない」
このような方はぜひご一読くださいませ。


私たちが向き合うべきDXとデジタル人材育成

企業のDX推進における最大の課題は「推進できる人材がいない」ことです。
今、業務知識、デジタルリテラシー、推進力というスキルを持った”デジタル人材”が必要とされています。昨今よく耳にする”デジタル人材”。人によって定義が違うこともあるため、今回は弊社が考える定義でお話をしていきます。”デジタル人材”はデジタル・コア人材、デジタル変革人材、デジタル活用人材の3つに分けられます。

この分け方でいうと、現場でデジタル変革を推進できる人材、つまりデジタル変革人材を育成しようとする企業が増えています。我々も、デジタル変革人材を育成することが、企業のDXを加速させると考えています。
 
DXには全社的に取り組むことが重要です。しかし、いくらDX戦略を策定しても実行するための人材がいなければ、戦略が絵に描いた餅状態になってしまいます。戦略策定と人材育成のどちらも進めていくことが肝なのです。

このようなお話をする中で、最近お客様からよく伺うことが2つあります。
①リテラシー教育後の施策問題
②テクニカル教育後にGAP発生

デジタルに関する知識をインプットしても、その後どこで、どのように活かすかまで考えていないために、知識のままで終わってしまうケースが見受けられます。インプットだけでなく、アウトプットするための施策まで考える必要があります。
また、技術の取得が先行して手段が目的になってしまうことも起きています。
新たに学んだ手段が業務に活かせないからといって他の技術に走ったり、手段ありきで何ができるかを考えるのでは、本質的な変革には辿り着きません。

デジタル変革人材を育成するにあたって考えるべき3つのポイント

”DX戦略”と”デジタル変革人材育成”を紐づけること、”手段”の目的化を避けることが重要なことはお分かりいただけたかと思います。
では、デジタル変革人材を育成するにあたって考えるべきポイントとはなんでしょうか?
3つご紹介します。

①育成対象を決める
②効果測定を考える
③実践学習を取り入れる
 
では1つずつ詳細を見てみましょう。

ポイント1.育成対象を決める

デジタル変革人材を育成するにあたって、その対象をどう決めるのかを最初に選択します。参加者の意欲に応じた自薦なのか他薦なのか、現場の管理職など役職で選んで行く形式か、など、選び方はさまざまです。スキルアセスメントの結果を見て適材を見つける方法もあります。またDXを推進したい”現場”とはどこなのか、注力部署があるのか、はたまた本社、グループ会社混合なのか、言語化することで、どんな人材を育成していくのが良いか見えてきます。
 
注意点としては、入社年次が極端に若いと苦戦する場合があることです。デジタルの知識を持っていても、業務の理解が足りないためにステークホルダーを巻き込むスキルが足りず、苦労する傾向にあると感じています。
そういった点も考慮して育成対象を決めるのが大事です。

ポイント2.効果測定を考える

戦略で立てたKPIに繋がるマインド・スキルの言語化を行いましょう。デジタルスキルマップの導入について計画を立てている企業様もいますが、よく見るとハードスキルに偏っている印象です。デジタル変革人材の育成においてはステークホルダーを巻き込むこともポイントの一つであるため、プロジェクトマネジメントやファシリテーションなど、ソフトスキルも重要なスキルです。具体的には『ルーブリック』やスキルアセスメントツールを使って効果の見える化を行います。
 
また、研修では行動変容(Before/After)に注目してみてください。
限られた研修期間で成果を出すのはハードルが高いです。行動変容、マインド変容など、今後に繋がる項目がどのように変わったかを重視してみましょう。

ポイント3.実践学習を取り入れる

イベント型研修やインプット研修だけでは人材は育ちません。なぜなら、研修で学んだことを実務に活かせるかは別の話だからです。
そのために、まずは実務上の課題を発見し、その課題を解決するために学ぶ「実践学習」を行うことで、学んだ内容をすぐ実践に活かすことができます。企業は研修後も実践する機会を作ってあげることが必要です。
 
では、どのように研修プログラムを作れば良いのでしょうか。
研修における4:2:4の法則を考慮し、実践のための学習プログラムを構築します。

ある調査によると、効果が出ない研修プログラムには研修前、研修後のフォローが足りてないことがわかっています。研修を終えるとどのような課題を解決でき、どう変わるのか。目標達成のイメージを持ち自分ごと化してスタートすること、そして研修後に目標が達成できたか振り返ることが大切です。

事例に学ぶ!プログラム内容

では、これまでお話した内容を元に大手ゼネコン企業様に提供した「デジタル変革人材育成ワークショップ」をご紹介します。企画要件は以下の通りです。

ご相談の背景として、全部門の社員に対しeラーニングを導入したけれども、一部の部門や人材しかデジタル化に関心を示さず、DXの企画が各現場から出てこないというお悩みがありました。

このお悩みを解決するために現場の変革リーダーを育成し、取り組みが一部の部門や人材にとどまらないよう、学習者コミュニティを社内に広めていくというプログラムを行いました。

プログラムは事前説明会とワークショップを4回行い、最後には業務改善の企画書ができあがるような内容になっています。まずは事前学習説明会を行います。ここではDX推進を自分ごと化するために興味関心を持ってもらうような内容で実施します。
そこから実際の業務での課題を持ち寄ってもらい、実践学習として課題解決方法をワークショップで探っていくのがポイントです。

効果測定は『ルーブリック』と『リフレクション』を用いて行いました。
ワークショップ内で伸ばす5つのスキルを定義し、ワークショップ中の受講者を講師が評価しながらルーブリックで可視化します。
そして、各ワークの後にアクションを決めて、実行した結果どんな気づきを得たかを振り返るリフレクション用のシートを用意しました。
このような方法でマインドの変容を見ていきます。

研修プログラムを通して、各現場で企画書ができたため、「DXの企画が現場から生まれない」という課題は解決できました。
この企業様では、実際にプロジェクト化するケースが生まれました。例えば、紙ベースの業務の情報管理を一元化できないかというテーマで、部署レベルでの取り組みだったものが、その方が所属している支社レベルでの取り組みになり、次は全社レベルでの取り組みにするかどうか検証する段階まできたというケースです。 DX推進部やベンダーと調整しながらステークホルダー巻き込んでデジタル化の要件整理ができている素晴らしい事例です。

このようなワークショップを行うと、最初はネガティブな声が多く出ます。
なぜかというと、視点やベクトルが外の環境や会社に向いているためです。研修を重ねるごとにだんだんと自分ごと化されていき、過去に経験した成功例や失敗例を周囲の困っている人に共有しよう、とコミュニケーションが変化したのが発見でした。

この企業様では、ワークショップによる人材発掘ができたため、今後は実際にプロジェクト化するケースを増やしたり、学習コミュニティの醸成を行っていく予定です。その先の展望として、活躍だけでなく失敗談の共有をすることで風土醸成や社内PRを進めていきたいと思っています。

まとめ

①多くの企業において、現場で変革推進できる人材の育成が課題
②デジタル人材育成のポイントは3つ
③インプット型を超える『実践を前提にしたプログラム構築が重要』
 
我々は各企業の段階に応じた学習体験が必要だと考えており、各種サービスをご用意しております。デジタル人材アセスメントや人材育成プランの策定なども行っておりますので、お気軽にお問合せくださいませ。

▼ご相談はこちらから
https://www.persol-pt.co.jp/ws_digital/contact.html

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文・グラレコ/さーや
Twitter:https://twitter.com/sayaaan1582

※記載されている情報は公開日時点での情報です。

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