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ブランドの収益性を向上させるためには返品が鍵となる?

今年1月にStatistaが公開したレポートによると、昨年2023年、世界のリバースロジスティクス市場は約7,000億米ドルに達し、2029年までに36%増加して9,545億米ドルに達すると予測されています。

ヨーロッパに目を向けてみましょう。
Statistaのレポートを続けます。

欧州連合(EU)、欧州経済地域(EEA)、および英国では、購入者は理由の如何を問わず、指定された期間内(14日間のクーリング・オフ期間)であれば、物理的な商品の購入をキャンセルすることができます。

購入した商品を返品する際には、シンプルさが最優先され、ヨーロッパのオンラインショッパーの間では、宅配便ショップに商品を預ける、店頭で返品する、自宅での受け取りを選ぶなど、簡単に返品できることが最も重要な返品基準として際立っています。

ハイブランド専門オンラインショップMYTHERESAが商品とともに同梱する返品・交換方法の説明書と返品用送付状

また、このプロセスにかかる費用は透明で包括的であることを求める声は多く、いくつかの国では、オンラインショッピングを利用する人の半数以上が、オンラインショッピングで購入した商品の返品にかかる費用を小売店が負担することを期待しており、調査によれば返品にかかる費用を自己負担したいと考える人は10人に3人以下という結果でした。

特にファッション業界は、Eコマースによる返品の急増から大きな影響を受けており、ヨーロッパの主要国では、衣料品、靴、アクセサリーのカテゴリーでオンライン返品が最も多いとのこと。

ファッションアイテムの中ではドレスの返品率が最も高く、半数以上が返品されていて、次いでスカートの返品率が47%です。
2022年に行われたヨーロッパ複数の国々を対象とした調査では、スイスとドイツがファッション購入の返品率が最も高く、40%を超えていました。別の調査によると、ドイツのファッション配送の返品率はヨーロッパ平均の約2倍だったというから驚きです。

Source:E-commerce returns in Europe - statistics & facts(Statista)

◇ ◇ ◇

オンラインショップで購入した商品を、ワクワクしながら待っていたのに、届いたら破損していた、サイズを間違えていた…などのトラブルで返品したい!という状況になったら?
個人的な意見ですが、ショップに連絡して返品理由を伝えたり返品方法を聞いたり、それから返金してほしいと交渉しなければならないと思うと、わー!もう面倒くさい!
想像しただけですでにガックリしてしまいます。

しかしこの厄介な返品方法や返金手続きが、とても簡単で透明性があったら?

今日は、スペインの返金・返品代行会社Reveni(レベニ)の調査レポートをまとめた記事を紹介します。



ブランドの収益性を向上させるにはなぜ返品が鍵となるのか

収益性は、物流、在庫管理、ショッピング体験、そして返品の管理と体験の両方において、Eコマースの主な課題の1つである。より多くの企業が、購買プロセスだけでなく、業務の基本的な部分であるリバース・ロジスティクスにも気を配っている。

これは、オンライン返品・交換管理フィンテックのリーディングカンパニーであるReveniが発表したばかりの新しい「The state of returns in 2024(返品の現状 2024)」レポートの結果にも反映されている。

調査対象者の90%が、返品体験が悪ければ二度とECサイトから購入しないと回答している。そのため、購入の瞬間以降のあらゆる場面で顧客を大切にすることが、顧客を維持・定着させ、ひいてはブランドの収益性を向上させる鍵となる。以下では、現在どのようなトレンドが流行しており、ブランドの収益性向上にどのように役立つのかを探る。

小売業における返品率の上昇傾向

・顧客の期待に応える柔軟性
これまで以上に、顧客は購入と返品の両プロセスにおいて、自身のニーズを満たすために複数の選択肢から選べることを望んでいる。シンプルで明確なプロセスを提供するだけでなく、顧客が返品や交換のプロセスを迅速に完了できるよう、さまざまな選択肢を提供する必要がある。

MASQMAI(*1)のマーケティング&Eコマース・マネージャーであるAida Mas Candela氏は、「柔軟な返品ポリシーを提供することで、顧客ロイヤルティを高めることができます」と説明する。「ショッピング体験を容易にし、ブランドを透明性と信頼の側に置くサービスです。」

*1:イタリア人モデルのAlice Campelloによって設立されたコスメブランド。

・複数のサイズを購入し、後で返品する。
サイズの問題による返品が引き続き主な返品理由だが、2023年と比較して19%増加した今年の2番目の理由は、家で試着するためにいくつかのサイズを購入することだ。

ブランドが直面している「ブラケティング」と呼ばれる行為を減らすためには、より詳細な説明、さまざまなアングルの高画質画像、動きのある衣服の動画、さらにはバーチャル試着室など、衣服に関するあらゆる情報を発信することが不可欠だ。

・男性による返品が増えている
返品の大部分を占めるのは依然として女性で71%だが、この面では男性の重要性が増している。男性による返品件数は、2023年から2024年にかけて65.83%増加しており、小売部門において男性の重要性が増していることを反映している。実際、近年スペインなどでは、男性ファッションが流行の原動力となっており、この分野の売上は前年比5.9%増となっている。

・オンラインによる返品は増加傾向にある
2023年には、75%の顧客がオンラインでの返品を好む。2024年には、この数字は85%に上昇し、買い物の仕方、特に返品の仕方の全面的な変化を反映している。ブランドは、返品ポリシーを更新し、増加傾向にある返品に対応する必要がある。迅速で、適応性があり、便利なオンライン・プロセスを促進することで、商品を返品する際にも顧客ロイヤルティを維持することができる。

返品はファッションブランドにとって優先事項となっている。もはや問題視されることはなく、今日の企業の主要目標のひとつである収益性に直結する機会として捉えられている。リソースを最適化するためにプロセスを改善することが重要であるだけでなく、顧客の再訪を促すために、より良い販売後の体験を提供することも重要である。

Reveniは、これをブランドの優先事項とし、Eコマースストックと完全に同期した即時払い戻しと交換のソリューションを開発した。こうすることで、返品や交換が要求された場合でも、購入プロセスそのものと同じように快適でポジティブな体験ができる。

Source:Por qué las devoluciones son clave para mejorar la rentabilidad de las marcas(ecommercenews)

おわりに

顧客ロイヤルティとは

「ロイヤティ」と「ロイヤティ」。
どちらも同じ意味では?と思いがちですが、実はまったく異なります

まず「ロイヤティ」。
これは、元々の英語はRoyaltyです。
Royaltyは王族や王位、気品、気高さなどの意味がありますが、日本のビジネスでは「特許権」「商標権」「著作権」など権利の使用料を意味することが一般的で、例えば「15%のロイヤリティが発生する」などと使います。

次に「ロイヤティ」。
こちらの元々の英語はLoyaltyです。
Loyaltyの意味は忠義や忠誠、誠実などです。日本では、マーケティングや人事の用語として「顧客ロイヤルティ」「従業員ロイヤルティ」などと使われます。

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やブランドのサービスや製品に抱く信頼や愛着心です。

今回紹介した記事に登場した、スペインの返金・返品代行会社Reveniでは、購入者がオンラインショップで商品を購入後、たとえまだ商品が購入者の元へ届いていない状態でも、購入者がReveniを通じて商品購入のキャンセルをした場合、わずか6秒で返金すると謳っています。

Reveniはこの迅速な返金こそが重要だと言います。
即座に返金されることで、購入者はいくらかの安心を取り戻すからです。その後、今返金を受け取ったばかりのショップへの再訪を促すことで、購入者が再びショップへ戻り、もう一度ショッピングを楽しむ確立が上がります。

これによりReveniを導入している販売者の中には、購入者の購入頻度が12%、再購入率が88%上昇したという報告があるようです。

ちなみにReveniでは、返金オプションや返品オプションを選べるようになっているため、購入者は自身にとってより良い方法で返金を受け取ったり、返品作業をすることができるようです。

このような専門企業が間に入ってくれるのは、購入者にとっても販売者にとっても手間が省けてとても便利なシステムだと思います。

何らかの事情で届いた商品を返品し返金を求めたい場合、ショップ側が誠実で真摯な対応をしてくれるだけでも購入者は安心します。
さらに返品方法がとても簡単・スムーズであったり、お金もすぐに返してくれたら、そこには信頼が生まれ、購入者はもう一度買い直そうと考えたり、次回もこのオンラインショップで買い物をしようと思うでしょう。
それが、顧客ロイヤルティを獲得・維持するということであり、売上げにも繋がるのです。


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