比野 憂泳 (ひの ゆうえい)

詩、散文、エッセイ。何か言いたいけど言えない時、趣味で詩っぽいものを書いて満足してます…

比野 憂泳 (ひの ゆうえい)

詩、散文、エッセイ。何か言いたいけど言えない時、趣味で詩っぽいものを書いて満足してます。社会に馴染めていない20代社会人ENFP

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『遺』 詩/散文まとめ

   蜘蛛  長年蜘蛛の巣で生きている。  ある時隣の巣に、自分の体の何倍もある大きな蝶が止まった。  御馳走を前にした家主。しかし、家主はいつになっても動かない。 ただ、目の前で死んでいる蝶を眺めている。特別口にしようともしない。  動かない。  否、動けない。  蝶は死を晒してなお、鱗粉を纏った鮮やかな羽を見せつけていた。  よく見ると家主の目は、その羽に吸い寄せられ、意思を失っている。体は石化していた。毛の生えた脚には、しっかりと巻き付けられた糸がこびりついていた。

    • 沈黙の海【詩】

       涙は沈黙の海に溶け、  溶け、  溶け、溶け、  溶け、  潤沢な青に流され、  ばらばらに沈む竜骨の、  藻屑となる様を浮かべ、  月明かりに透けて薄ぼやけた病気に、  漂い、  漂い、漂い、  漂い、  波打ち際の白い足に踏まれ、  皮の剥けた手に掬われ、  体内に染み込み、  身体中を巡り、  巡り、巡り、巡り、巡り、巡り、  臓器を蝕み穴を空け、  取り繕った岩石で閉塞し、  やがて岩石は苦痛で溶け、涙は溶け、  沈黙の海に溶け、  溶け、  溶け、……

      • 文系転職体験記

        転活4社目の面接終わった頃の日記。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 初めはよく分かんないまま進めてたけど、面接するうちに自己分析が進んだよ! 私は数字や結果に拒否反応が出る社会不適合者なので、成果主義の業務では心が死ぬ。 いや、正確には「売上」を重視して「お客様」を蔑ろにするのが嫌いなんだ! 人や企業を大切にしてこそ売り上げに繋がるんだろうけど、「数字」に迫られてるだけで私は闇堕ちしそうだよ…! もちろん、「お客様」を重視して「売上」を蔑ろにするつもりはない。

        • 睡眠リズムの気付き

          毎日朝に起きれるようになった。 必ず目が覚めるのが、5時55分。 起きる時間がまばらなシフト制の生活から、 定時のある生活にチェンジした。 毎日6時に目覚ましをかける生活。 生活が変わって1週間経過した頃ぐらいから、 22時に寝ようが24時に寝ようが、1時に寝ようが、 目覚ましの鳴る5分前に、自然と目が開くようになった。 目覚ましの鳴る5分前に起きる。 結局アラームが鳴るまで寝て、 30分ぐらいゴロゴロして起きる…笑 生活リズムを整えるために、 可能な限り23時までに

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        『遺』 詩/散文まとめ

        マガジン

        • 日記
          2本
        • ひとりごと
          5本
        • 詩/散文まとめ
          9本

        記事

          読まずに売った本の話

          わたしの実家の本棚には、池波正太郎などの歴史小説が溜まっていた。 溜まっていたと過去形にしたのは、9冊のうち4冊ほどしか読めなかったから。 大学卒業時に、まとめて売ってしまった。 厳密には、自分で売った覚えがないので、 恐らく家族に要否を聞かれて 「もう、必要ない」と答えてしまった。 「きっと、読みたくなったらまた買うだろう」という表向きの理由で、歴史小説たちを手放した。 でも、読まないだけで手放してしまったことを、結局ずっと引きずっている。 たくさんの歴史小説は、亡

          読まずに売った本の話

          【日記】江戸切子体験

          春キャンペーン投稿第二弾🌸 先日、浅草吾妻橋にある『創吉』さんで、 江戸切子体験をしてきました。 (友人から教えてもらってから、ずっと気になってたので) ⑴ グラス選び 大小形さまざまなグラスから好きな色形を選びます。 丸みのあるグラスや、お猪口ほどのサイズのグラスもありました。 私が選んだのは透明で大きめかつ、側面がまっすぐなグラス。 ※色付きグラス(青、赤、紫、ライトブルーなど)は有料ですが、その分江戸切子らしさが出ててgoodでした。 ⑵ 練習 先生のお手本を見

          【日記】江戸切子体験

          【自己紹介】改めまして、比野です。

          はじめまして! noteさんの春のキャンペーンに応募したい! 連投予定です!自己紹介します! 🌸ステータス 🌸noteでは… noteでは、主に3種類投稿しています。 ・詩のようなもの ・日記 ・お散歩先(展覧会や庭園)の感想 🌸投稿の傾向について 投稿頻度は少ないですが、吐き出したい時に吐き出してます。 ちなみに私はせっかちなので、推敲ができません!!! 記憶と感情の反芻を防ぐため、不要な思考や感情を放出して、スッキリさせるのが目的なので、読み返すことが稀です

          【自己紹介】改めまして、比野です。

          孤独的学習

          一軒家の玄関前。 犬が、撫でられている。 舌を出して、息をしている。 老婆の手が犬のあごを撫でると、 犬は嬉しそうに頭を預けた。 老婆は犬を置いて玄関の中へ戻ると、 みかんを持ってきて、皮を剥いた。 真剣に皮を剥く緊張感に流されて、 犬もみかんを見つめていた。 ふと、家の中から老爺の怒鳴り声が聞こえた。 老婆は慌てて玄関の中へ駆け込んだ。 剥きかけのみかんを持って消えてしまった。 犬は、舌を出して、 老婆の手にあった異様な物体を待った。 何かするに違いないだろう。

          『不成恋』詩のようなもの/まとめ

          おみやげ きみが土産をくれたから ひとくちごとに美味しいを口にする。 味のしない菓子を齧っては 美味しいを口にする。 きみがくれた土産がもたらした幸福が 「美味しい」としか言えなかった。 幸せを口にするのはあまりにも軽薄だから、 「美味しい」としか言えなかった。 あぁ、お茶が欲しかった。 全てを飲み込むお茶が欲しかった。 空気の詩 赤子の泣き声。 空間の認識失調。 水平線を追いかける船。 鏡地獄。 混乱の中に生じた、 確かな焦りと緊張と興奮の動悸。 動悸の共鳴。

          『不成恋』詩のようなもの/まとめ

          詩のようなもの「浮遊(ふゆう)」

          貧しさから搾られた心の豊かさや 権力で支配した心の豊かさは 天秤に嘘を吐く。 心は豊かであればあるほど、 質量が減って、宙へと浮いていく。 かけた秤が示すのは、 妬みの重さである。 不幸の重さである。 人生の重さである。 揺れる天秤を尻目に、 今日も豊かに富んで行け!

          詩のようなもの「浮遊(ふゆう)」

          『夜に漂う』 詩のようなもの/まとめ

          入り口 真っ暗な夜の部屋には ぼんやりとした黒が浮かぶ。 モヤのような黒に 重たい機械音が響く。 眠らない夜に ジクジクと滲む黒が映る。 朝の鳥のさえずりが、 車の通る音が、 どうしてこれをかき消せるのか。 重たい機械音は、 ビクビクと跳ねる屍を追いかけて、 じっとりと耳に溶けていく。 隣人の足音にうつろうつろ 時折目を覚ましつつ、 夢で鳴り続けた鉛のような音に 再び溶け込んでゆく。 鳴るがままに、溶け込んでゆく。 喪失 暗闇を 手探りで歩く 夜廊下 もう居な

          『夜に漂う』 詩のようなもの/まとめ

          「濡れた右頬」

          水をかぶって 濡れた右頬。 冷たい右頬。 鏡に映った頬には、 ただ事象だけがあった。 私の頬だけが 真に濡れているというのに。 ひどく恐ろしい、 呪いのようだった。

          旧岩崎邸庭園 感想

           都立文化財9庭園の1つ【旧岩崎邸庭園】に行ってきました!レポートではなく、思ってたよりも良かったぞっていう、あくまで好き勝手言ってる感想です!ご参考までに!  そこそこにじっくり回りましたが、ガイド無しで回るだけなら1時間ほどでした!甘味処の小休憩合わせると1時間半かからないくらいかな……?  今回写真はほとんど無いのですが、平日(混雑時以外)は館内撮影(フラッシュ不可)が可能です✨  是非ご自身の目で堪能していただきたい✨ 旧岩崎邸庭園について ■完成は明治29年(

          「灰色の星」

          そぞろ歩くには、重い空気。 列を組むには、不揃いな足。 灰色の月は照らされるばかりで、 ずっしりと天に座り込んでいる。 ガラス張りの空に私が映り込む。 人々の眼が映り込む。 ガラスの向こうに根付いていたのは、 閉じて、結んで、力強く凝縮された塊。 並んだ足は、ふらふらと、 いくつもの足音を響かせて、 引力に吸い寄せられた。 その無意識なる力流が 酷く滑稽で、 今すぐにでも星が砕けて、 空が砕けて、 この空間全てが宇宙になって仕舞えばいいと 全身が願っていた。 願いは虚

          夢の話(ひとりごと)

          冷たいフローリングの上で 横になって涼むきみがいた。 きみに気づいて欲しくて、 きみの鼻先に顔を当てるように 私は寝転んだ。 いつもの息に触れて、 目を閉じて、 きみが私に反応してにおいを嗅ぐ音。 一瞬にして懐かしさを覚えた。 懐かしさが仇となり、 空間が、時間が、間も無く 崩壊してしまいそうな不安が過ぎる。 すぐにでもきみの姿を 永遠に収めるべく 目を開けば、 そこは既に現であった。 懐かしいなんて思わなければよかった。 とうに触れなくなった感覚は騙せても、 残され

          花を一輪添えるだけ【日記】

           3月。人生で初めて、部屋に飾るお花を買いました。    「枯れてしまうものにお金をかけるのは…」と敬遠していたのですが、いざ飾ってみたら狭くて味気ない部屋がパッと明るくなって、気分がいいです。  地元のお花屋さんは若い人が多くて、とってもオシャレでした…たった一輪だけを買うお客さんなんているんだろうかと尻込みしていたんですが、快く接客してもらえて嬉しかった〜🌸  ピンク色のバラ系のお花と迷ったけど、黄色のスイートピーを選びました。スイートピーの花びらって、蝶が羽を広げて

          花を一輪添えるだけ【日記】