夢の話(ひとりごと)
冷たいフローリングの上で
横になって涼むきみがいた。
きみに気づいて欲しくて、
きみの鼻先に顔を当てるように
私は寝転んだ。
いつもの息に触れて、
目を閉じて、
きみが私に反応してにおいを嗅ぐ音。
一瞬にして懐かしさを覚えた。
懐かしさが仇となり、
空間が、時間が、間も無く
崩壊してしまいそうな不安が過ぎる。
すぐにでもきみの姿を
永遠に収めるべく
目を開けば、
そこは既に現であった。
懐かしいなんて思わなければよかった。
とうに触れなくなった感覚は騙せても、
残された心は現のきみを覚えていた。
もう何年経っただろうか。
現の後悔の傷みに刺激され、
枕に身を寄せて、
夢の誘惑から逃げるように、
愛おしさに満ちた朝日を浴びた。
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