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もっと徹底的にやる、2023年へ

2021年12月から2022年1月にかけて、かなりアツいnoteを書きまくって、2021年の総括やら2022年の抱負やらを語っている。そのアツさが絶対的に『斗起夫』を生みだしたという実感がある。

直前におこなった『インスタント・レアリスム』(2021/12)という演劇公演で、僕は相当苦い思いをしていたのかもしれない。書きたいものを書くことができなかったし、演出したいものを演出することができなかったという意識が、正直に言って、あったのだと思う。だから、公演が終わってだいたい2週間後に当たる年末年始にあのようにしてアツいnoteを書きまくっていた。

前回のnoteで、決して楽しみながら『斗起夫』を書いていたわけではない、ということを書いた。そんなことは、観に来てくださった方にも、一緒に創作してくださった俳優やスタッフにとっても、どうでもいいことだと思います。どうでもいいことだと自覚しているのならわざわざ書かなくても……と思われるかもしれませんが、僕には僕なりの気持ちの落ち着けかたというものがあり、こうでもしなければ耐えきることなんて到底できない。この作品を創作したり発表したりしていくなかで深く傷ついたことが何度もあった。その度に、もう演劇に関わるのも演出をするのもこれで最後だ、と思った。でもまた続けようとしている。次のステップに進もうとしている。僕の努力次第で、次のステップに進めそうな気がするからだ。


演劇は集団創作だが、演出家は孤独だ。孤独を感じてしまうのは、自分ひとりでなにかをしようとしてしまったり、自分自身で壁をつくってしまったりしているからじゃないか、と何度も考えた。しかし、僕が壁をつくらざるを得ないのは、ハラスメントなんて絶対に起こしたくないし誰のことも絶対に傷つけたくないと気にするあまりでもあり、家族でも友達でもなくビジネスパートナーでもない中距離的な相手とのコミュニケーションに苦戦するあまりでもあり、そういった関係性のなかでの過度な気遣いに大変な気苦労のようなものを感じてしまっているからでもある。

これは誰が悪いわけでもない。たんに僕が悪いのだと思う。

僕は、2021年5月から、小さな店で働くようになった。それまですべてのアルバイトを半年足らずで辞め続けていた僕がこんなに継続して同じ場所で働き続けることができるのは、一緒に働く人たちや店に集う人々のことを愛しているからだと思う。

ひじょうに縦社会的だし、全体的に昭和の空気感が漂う社風だが、僕はそこに居心地の良さを感じている。一緒に働いている人たちを指して、僕たちは家族だと思うことがある。というかお互いに言いあっている。「わたしたちは家族なんだから」というふうに。客は友達だと思うこともある。さすがに客に対しては「わたしたち友達だよね」とは言わないけれど。


「劇団は家族だ」と言う昭和の演劇人たちに会ったことがたびたびある。彼らの稽古場運営には、思うところも多々あったが、劇団が家族であるという思想自体に僕は辟易とはしていなかった。でも、令和の今どき、劇団が家族だなんて思わないでしょう。家族みたいな付き合いかたを今どき望む人なんていないでしょう。そうやって僕たちはますます中距離的になっていく。なにか傷つくことがあればすぐさま離れられる距離で相手と接するようになる。相手に期待しなくなる。未来に希望を持たなくなる。

僕は、今のところ、この問題をどのようにして解決していけばいいのかわかっていない。いいや、わかってはいるのだが、それはもはや演劇の現場では適用不可能であるため、僕が次に考えなくてはならないのは、中距離的な関係線上にどうしたら自分が健康的にノれるかどうか、ということなんだと思う。

つまり、前年の目標のひとつに、「創作」と「生活」をつなげることが掲げられていたけれど、今年は「つなげる」だけじゃなくて「活かす」ことを考えていかないといけない。

創作-生活

前年はこのように線でつなげることが目標だったが、

創作→生活,創作←生活

今年はこのように矢印の関係で結ぶことが目標である。

また、以下のnoteでは2021年12月現在の考察で、創作と生活をつなげるとはどういうことかを書いている。今日読み返すまでだいたいなにが書かれているかをすっかり忘れてしまっていたのだけど、どうやらここに書かれていることはだいたい『斗起夫』で体現することができている。すごい…!

僕は、場当たり的に無意識で物事を判断しているふうに自分からは見えるけれど、じつは、僕の無意識には過去の考察がきちんと反映されているのだということが、過去のnoteを読み返すとわかる。だからこれからも考えることを決して怠けないようにする。考えることさえあきらめなければ、道は絶対に開ける。これからもnoteでエッセーを書きながら考えていく。頭の回転が早いわけじゃない僕は、残念ながら、手を動かしつつでないと考えることができない。

僕にとってエッセイとは試論です。「エッセー=試論」という考えかたについては、前にこちらのnoteで書いたので、よかったら読んでみてください。

創作を生活に活かしたり、生活を創作に活かしたり、演劇の現場における中距離的な関係線を考えるうえで、とても大切になってくるのは、演出論/演技論の作成だろう。

今回、『斗起夫』を創作していて、「ぺぺぺの会っぽい演出や演技の方法」があるという指摘が、創作過程のみならず観客席からもなされた。僕はこれを「っぽい」で終わらせるのではなく、「ぺぺぺの会の演出や演技の方法」として形にしたい。これまでの作品で、俳優にはさまざまな実験に付き合ってもらった。だからそのお礼という意味でもそろそろレポートとして実験結果をまとめないといけない。あるいは、ひとまずレポートをまとめるにあたって機は熟した、という感覚がある。

自身の演劇を体系的に、学問的に捉えて、なあなあにするということを一切なくすというのが最終的な目標。「まあいいいんじゃないですか」や「まあやってみましょう」と稽古場で口にしないようにする。俳優に疑問点を訊かれたときに、「うまくいかなさ」の原因をさかのぼり、それらを噛み砕いて説明できるようになりたい。

そのために、たくさんの作品を観て、それらを細かく分析し、「自分がやりたいこと」と「他者がやっていること」がどういった点で似通い、どういった点で反発しているのかを言語で描写できるようにならないといけない。他者の技法についても探求を深める必要がある。

その細かい分析や探究のために「エッセー=試論」をもちいる。舞台芸術、映画、美術展、日常のなかでなにかを鑑賞したときにはかならず文章にまとめておくことを徹底する。加えて、今年は他人が書く脚本にも目を通す機会を増やしたい。「感想文」や「批評」を書く、というふうに型を決められてしまうと楽しく書くことができなくなってしまうので、都度、自分が面白いと思う書きかた(小説っぽい書きかた)で書いていく。とにかく続けることに意義があると思う。だから続けられない(続けることに苦労を伴うような)目標は立てない。そういう目標にはあまり意味がない、と僕は個人的に考える。

それらを記事としてnoteに投稿し、マガジン『創作生活』に掲載していく。記事投稿は週3回を基本とし、曜日は決めないで好きなときに好きなように更新していくことにする。いろいろ試した結果、現在は週3回くらいの頻度がちょうどいい、と感じている。昨年は、多忙で不調な一時期に更新を滞らせてしまったことがあったけれど、今年はそういうことをなくしたい。不調だからnoteを書く意欲を削がれるのか、noteを書かないから不調になるのか、どちらが先かはわからないけれど両者が関係しているということはよくわかる。だから、自分のためにも週3回は更新させたいと思っている。

また、週3回の更新に加えて、今年はnoteの「つぶやき」機能も多用していきたい。note以外のほかのSNS(TwitterやInstagram)も連動させて動かしていきたい。取るに足らない生活のワンシーンを積極的に載っけていきたい。

以上、長々と書き連ねてしまったが、要するに2023年の目標は、

  • 演出論/演技論を作成し、ぺぺぺの会がこれまでおこなってきた実験の結果をいったんレポートとしてまとめて、最終的な目標:自身の演劇を体系的に、学問的に捉えて、なあなあにするということを一切なくすことに向けて、はじめの一歩を踏みだす。

  • 他者を細かく分析することを習慣として徹底する。今年は他人が書いた戯曲もなるべく多く読んでいくことにする。分析の結果は、note記事にしてまとめるが、それはかならずしも「感想文」や「批評」の形式をとらなくてもいいことにする。自分が楽しめるかたちで継続させていく。

  • noteマガジンへの記事投稿は、週3回を基本とし、曜日は決めないで好きなときに好きなように更新していく。今年は、noteの「つぶやき」機能も多用し、ほかのSNSも連動させることにする。取るに足らない生活のワンシーンを積極的に載っける。

  • そして、引き続き、「創作」と「生活」をつなげることをコンセプトに活動していく。今年はとくに「創作」を「生活」に活かし、「生活」を「創作」に活かすことを考える。

という感じ。なんだかてんこ盛りのように感じるが、だいたいは昨年以前から継続しておこなっていたことだから負担にはならないと思う。

ただ、「以前からおこなっていたこと」に対する心構えをあらためようとするのが2023年なんだと思う。もっと徹底的に、もっと本気で、もっとアツくやれるはず。

それから、『斗起夫』の次作となる中編小説の執筆も進めて、2023年中には完成させたい。現在30%ほどの進捗。これはまた脚本化し、演劇になると思う。僕の小説に対する思いはまたいつかの機会に文章にしようと思う。この記事は長くなり過ぎたのでこのへんで終いにする。

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。 これからもていねいに書きますので、 またあそびに来てくださいね。