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短歌五十音

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「短歌五十音」は、中森温泉、初夏みどり、桜庭紀子、ぽっぷこーんじぇるが五十音順に歌人を紹介する記事です。毎月第一〜第四土曜日に更新予定。 画像は桜庭さんよりいただきました。
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2024年3月の記事一覧

短歌五十音(し)折口信夫『釈迢空歌集』

短歌五十音(し)折口信夫『釈迢空歌集』

このnoteは次の2部に分かれています。

折口信夫, 富岡多恵子編『釈迢空歌集』の紹介(2500文字)

釈迢空の短歌滅亡論から現代短歌の位置をさぐる(4500文字)

第2部はおまけです。気になるかたのみお読みください。

釈迢空の短歌をたどる折口信夫=釈迢空について

国文学者である折口信夫が歌人・詩人として名乗ったのが釈迢空……とされている。富岡多恵子によると、釈迢空は折口の戒名・法名でも

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短歌五十音「さ」 笹井宏之『ひとさらい』

短歌五十音「さ」 笹井宏之『ひとさらい』

今回笹井宏之を取り上げようと決め、歌集を読み返したものの、評を書くのがとても難しい、と感じた。
私は歌集評を書く時に、歌集の中で気になった歌を一度全てWordに打ち込んで、その中でタイプ別に歌をカテゴライズする作業をする。
第一歌集『ひとさらい』も、気になる歌をリストにし並べてみたが、彼の歌たちをタイプ別にカテゴライズしていく作業が進まない。
どの歌も並列に並んでいるように見えるのだ。
連作の中で

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短歌五十音(こ)小池光『小池光歌集』

短歌五十音(こ)小池光『小池光歌集』

はじめに

今回紹介する歌集は砂子屋書房さんの現代短歌文庫『小池光歌集』です。
私がよく砂子屋書房さんの歌集を取り上げるのは、その作者の昔の歌集を手軽に、しかもたくさん読める(一冊に歌集二冊分ほどの歌が収められている)からです。
今回の小池光さんの歌集も第一歌集『バルサの翼』、第二歌集『廃駅』が収められています。
恥ずかしながら小池光さんの歌をこんなにたくさんじっくり読むのは初めてでした。
読んで

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短歌五十音(け)建礼門院右京大夫『建礼門院右京大夫集』

短歌五十音(け)建礼門院右京大夫『建礼門院右京大夫集』

好きぴが、平家で、都落ち。「建礼門院右京大夫集」は、平安時代の末期から鎌倉時代初期にかけて生きた建礼門院右京大夫(けんれいもんいんうきょうのだいぶ)の歌集です。

歌集と言いつつ、めちゃくちゃ文章が添えてあり、日記文学とも言われており、建礼門院右京大夫の一代記でもあります。

この記事では、「建礼門院右京大夫集」を現代を生きる皆さまに親しみを持って読んでいただけるよう、超訳を添えるとともに、登場人

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