塔2024年2月号気になった歌10首⑨
「永遠に」という不可逆性のある強い言葉があり、命を食べているというあたり前のことにハッとさせられる。「ゆでたまご」「つばさ」が仮名でひらかれていることで、一首を見たときのバランスがきれい。
紫野春さんの連作から。「都市の底」と題された一連は、都会的な風景に垣間見える自然の姿や過去の記憶の風景が作者独自の視点・感覚でとらえられている。引用した歌は、遠くから草木に見えていたものに触ったときにフェイクグリーンであることに気づくという、人工的なものへのちょっとした違和感がある。最後