初夏みどり

しょかみどりです。短歌を作っていますが全てが気まぐれで行われています。塔短歌会。

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  • 短歌五十音

    • 36本

    「短歌五十音」は、中森温泉、初夏みどり、桜庭紀子、ぽっぷこーんじぇるが五十音順に歌人を紹介する記事です。毎月第一〜第四土曜日に更新予定。 画像は桜庭さんよりいただきました。

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投稿した歌のまとめ

☆貝殻の裏を見ているような空 飛行機一つ過ぎてゆきたり (2024.8.5毎日歌壇.水原紫苑選) ☆「エイエン」を辞書で探して見たけれど見つからないのが怖くて閉じた (2024.8.5毎日歌壇.加藤治郎選) ☆淋しさに音をつけたらおそらくは一番優しそうな「シ」の音(2024.7.29.毎日歌壇.加藤治郎選) ☆口にせぬ言葉を飲んで切り分けるケーク・オランジュ淋しげな味(2024.7.15.毎日歌壇.水原紫苑選) ☆来客のカットグラスを洗うとき遠い記憶の海を見ている(2

    • 短歌五十音(め)目黒哲朗『目黒哲朗集』

      1.はじめに 目黒哲朗さんは1990年「原型歌人会」入会し、齋藤史氏に師事。 1993年に「つばさを奪う」で「歌壇賞」を受賞した歌人である。 今回は目黒哲朗さんの『目黒哲朗集』(邑書林)を紹介する。 2.緊張感 目黒さんの歌はピリッとした緊張感のある歌が非常に魅力的である。 上記で引用した二首は目黒さんの歌の良さが凝縮されている。 この二首は「夏草の記憶」という父との思い出や昆虫標本を題材に構成された一連である。 一首目、昆虫は標本にする際、毒を用いて締めるそうだ。

      • 短歌五十音(ほ)穂村弘『ラインマーカーズ』

        1.はじめに 実は今回この記事のために初めて穂村弘さんの歌集を読んだ。 「ゆひら」や「降りますランプ」や「サバンナの象のうんこ」など有名な歌はいくつも知っていたのだが、歌集を読んだことがなかったのでいつかきちんと歌集を読みたいと思っていた歌人の一人だった。 なぜこんなに有名な歌人の歌集を読んでいなかったかというと私の中で穂村弘さんの歌は「わからない」部類に入るものだった。 そして歌集を読み終えてもやはり「わからない」という気持ちは拭えなかったが、もしかするとこの「わからな

        • 短歌五十音(は)早川志織『早川志織集』

          はじめに 早川志織さんの歌集を読み進めて思ったことは、読んでいると植物園にいるような心地がするということだった。 早川さんの歌には植物や生き物が多く詠み込まれている。 第一歌集は特にどの連作にもほぼ植物が出てくる。 そして植物や生き物が詠み込まれた歌は妙に生々しく艶やかな印象がある。 そんな中、日常の何気ない瞬間の歌も非常に魅力的であった。 日常の歌 傘と海月のイメージが重なる。雨という多くの人が嫌う天気の中、傘を差し、自分は海月になったようだと雨を楽しんでいる感じが海

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          短歌五十音(に)西田政史『スウィート・ホーム』

          はじめに 西田政史さんの『スウィート・ホーム』を手に取ってまず読み始めたのはあとがきからだった。 というか、歌集を読むとき8割くらいはあとがきから読み始める。 詳しく書きすぎるとネタバレになってしまうので控えるのだか、西田さんの誰のためでもなく自らのために短歌を詠む姿勢にとても惹かれ歌集を読み進めた。 自らを「辺境歌人」と名乗る西田さんの短歌は、読後に淋しげな印象が残る。しかし、淋しいだけでなく少しだけ心があたたかくなるそんな歌が多いように感じた。 孤独、欠落感 個人

          短歌五十音(に)西田政史『スウィート・ホーム』

          短歌五十音(つ)塚田千束『アスパラと潮騒』

          塚田さんの歌との出会い 塚田さんの歌と出会ったのは『うたわない女はいない』(中央公論新社)を読んだ時でした。 塚田さんは「額縁になる」という連作を寄せていたのですが、この連作の内容、韻律の美しさに惹かれ歌集を手に取りました。 塚田さんは北海道に生まれ、現在は「まひる野」に所属。 第六四回短歌研究新人賞を受賞され、2023年7月に第一歌集『アスパラと潮騒』を出版。 歌集の帯には「もがく日々のうた。医師として、母として、娘として、妻として。」と記されており、『アスパラと潮騒』

          短歌五十音(つ)塚田千束『アスパラと潮騒』

          母に「外で遊びなさい」と言われた日

          最近はあまり読めなくなったのだが、子供の頃は本を読むのが好きでよく本を読んでいた。 どれくらい好きだったかというと本を読みながら登下校するほどだった。 (本に夢中になりすぎて自転車に轢かれそうになったことがある。そしてその自転車を運転していたのは母で「ちゃんと前向いて歩きなさい!!!」と普段あまり怒らない母に怒られたことがある。) 小学生になって嬉しかったことは休み時間になれば図書室に行けることだった。 小学1年生だった私はなぜか強烈にピラミッドやミイラにに興味を持ち、毎

          母に「外で遊びなさい」と言われた日

          働かなくなってわかったこと

          私は4月から働いていない。 生まれ育った大阪を離れることになり、仕事を辞めて引越しの荷造りや手続きなどをのためにしばらく働かずに過ごすことになった。 そんな日々を過ごしてわかったことは、働かない日々は案外忙しいということだ。 この忙しいというのは荷造りや諸々の手続きのために忙しいのではなく、自分のしたいことをするために忙しいということである。 とてつもなく贅沢なことを言っている自覚はある。でも、忙しいのだ。 運動をしたり散歩をしたり本を読んだり掃除をしたりコインランドリーに

          働かなくなってわかったこと

          短歌五十音(せ)関谷啓子『関谷啓子歌集』

          はじめに 今回紹介するのは砂子屋書房さんの現代短歌文庫164『関谷啓子歌集』です。 この短歌五十音を取り組むにあたって色々な歌人さんを探している時に関谷啓子さんのこの歌集と出会いました。 恥ずかしながらそれまでは存じ上げなかったのですが、歌集を読み終えたあと、心から出会えてよかったと思う歌集でした。 関谷啓子さんについて 関谷さんは新潟県出身の歌人さんで1996年に「短歌人」に入会されています。 歌集は6冊出版されており、今回のこの歌集には『最後の夏』(全篇)、『ガラス

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          短歌五十音(こ)小池光『小池光歌集』

          はじめに 今回紹介する歌集は砂子屋書房さんの現代短歌文庫『小池光歌集』です。 私がよく砂子屋書房さんの歌集を取り上げるのは、その作者の昔の歌集を手軽に、しかもたくさん読める(一冊に歌集二冊分ほどの歌が収められている)からです。 今回の小池光さんの歌集も第一歌集『バルサの翼』、第二歌集『廃駅』が収められています。 恥ずかしながら小池光さんの歌をこんなにたくさんじっくり読むのは初めてでした。 読んでいると、思わず「う〜〜〜ん(感動の意)」と声が出てしまうほど、言葉の遣い方や表現

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          短歌五十音(か)河野裕子『河野裕子歌集』

          河野裕子と歌集について 河野裕子さんは短歌結社「塔」の選者をされていました。 今回紹介する歌集は砂子屋書房さんの現代短歌文庫10『河野裕子歌集』です。 河野さんの歌集の『森のやうに獣のやうに』全編、『ひるがほ』全編、『桜森』一部、『はやりを』一部で構成されており、若い頃の河野さんの歌を楽しむことができる一冊でした。 壮大で幻想的な歌 印象に残る歌がたくさんあったのですが、その中でも特に惹かれた歌は壮大でどこか幻想的な印象のある歌でした。 こうして好きな歌を並べてみる

          短歌五十音(か)河野裕子『河野裕子歌集』

          短歌五十音(い)石川啄木『啄木歌集』

          この記事について 石川啄木の歌集で印象に残った歌を挙げ、いくつかの歌をピックアップし、感想を交えながら紹介していく記事となっております。 今回は岩波文庫『新編 啄木歌集』久保田正文編 から引用した歌を紹介します。 石川啄木に対する個人的な印象 みなさん啄木にどのような印象をお持ちでしょうか? 私が生まれて初めて読んだ啄木の歌はこの歌でした。 そのあとも啄木の寂しくて悲しい歌とばかり出会い、「啄木=寂しい、悲しい」印象を持っていました。 ところが、歌集を読み進めていく

          短歌五十音(い)石川啄木『啄木歌集』