投稿した歌のまとめ
☆貝殻の裏を見ているような空 飛行機一つ過ぎてゆきたり
(2024.8.5毎日歌壇.水原紫苑選)
☆「エイエン」を辞書で探して見たけれど見つからないのが怖くて閉じた
(2024.8.5毎日歌壇.加藤治郎選)
☆淋しさに音をつけたらおそらくは一番優しそうな「シ」の音(2024.7.29.毎日歌壇.加藤治郎選)
☆口にせぬ言葉を飲んで切り分けるケーク・オランジュ淋しげな味(2024.7.15.毎日歌壇.水原紫苑選)
☆来客のカットグラスを洗うとき遠い記憶の海を見ている(2024年.みんなの海のうたへ投稿)
どの場所であなたを待っていようとも桜の咲いた木影となりぬ(2024.7.8.毎日歌壇.水原紫苑選)
簡単な約束をした車内から見える工事夜景の光(2024.6.17.毎日歌壇.加藤治郎選)
いる場所のまだなき職場 砂浜に円描くように机を吹きぬ(2024.6.16.東京歌壇.東直子選)
母さんに改札前で渡された今にも泣き出しそうなトマトを(2023年度角川全国短歌大賞へ投稿)
一筋の青きスピンを胸に秘め本も眠れぬ夜があるのだ(2023年度角川全国短歌大賞へ投稿)
裸木の木立に一人立つ時はパイプオルガンの暗がりにいる(塔東海歌会へ提出)
揚げたてのコロッケを食み目の端で見たことのない鳥を見ていた(塔東海歌会へ提出)
花びらは電車に揺られ君といる待合室は春の焦点(2024.町田市民文学館ことばらんど57577展2nd.お題「春」へ投稿)
心には栞の紐が二本あるもう一本は海へ帰そう(2024.5.6.毎日歌壇.加藤治郎選)
雨降れば朝の匂いは湿りゆき白きハッカの静けさにいる(2024.4.16.毎日歌壇.水原紫苑選)
トイレには白き花びら落ちておりどなたがここで泣いたのですか(2024.4.14.東京歌壇.東直子選)
初めての嘘をつくときくちびるはレーズンバターサンドの香り(2024.4.8.毎日歌壇.加藤治郎選)
面接の会場に着くこの場所が青果店ならどんなにいいか(2024年3月31日.春の短歌ファンミーティング.岡野大嗣選)
古本に「桜」という字は記されてあまりにあわいもう散りそうだ(2024年3月23日.北町南風のオールタンカニッポンTHE LIVE)
この街に寂しい人がいるようだココアがいつも売り切れている(2024年3月19日.毎日歌壇.加藤治郎選)
ブレザーは椅子にかけられ思い出はいつも夕焼け色をしていた(2024年3月11日.毎日歌壇.加藤治郎選)
大人へと変わってゆけば蛞蝓のように喉に赤飯は落つ(2024年3月11日.毎日歌壇.水原紫苑選)
新しい本に紅茶を溢したら新雪に新しい足跡(2024年2月26日.毎日歌壇.水原紫苑選)
こ、こ、ろって落ちた消しゴム拾い上げ僕は明日から帰宅部になる(2024年2月19日.毎日歌壇.加藤治郎選)
太き枝切られし幹の明るさよ露わになった乳房のごとし(2024年2月19日.毎日歌壇.水原紫苑選)
春の日の昼寝の夢はあちこちに木香薔薇が咲いていました(2024年2月12日.毎日歌壇.水原紫苑選)
木犀が好きだと君が言ったから焼き尽くされるほどに苦しい(2023年1月15日.毎日歌壇.加藤治郎選)
繋ぐ手を離せば指にぱちぱちとラムネのごとく血は流れゆく(2023年12月4日.毎日歌壇.水原紫苑選)
観覧車を少し見上げてあの時の約束、今も閉じ込めたまま(2023年11月27日.毎日歌壇.加藤治郎選)
水色の便箋に書くもうすぐで消えてしまいそうな言葉を(2023年10月23日.毎日歌壇.加藤治郎選)
青春は遠くなりゆく薄紙をかざした先にうっすら光る(2023年10月9日.毎日歌壇.水原紫苑選)
君の乗る電車が闇に消えてゆき闇と永遠なら同義語だろう(2023年9月12日.毎日歌壇.加藤治郎選)
プール後の授業で子らは居眠りしなんて静かな海なんだろう(2023年NHK短歌9月号)
たましいに硝子を飼っているのです会いたくなるのも悲しくなるのも(2023年8月21日.毎日歌壇.加藤治郎選)
晴天に飛行機雲は線を描き空がこすれる音が聞こえた(2023年7月24日.毎日歌壇.加藤治郎選)
口開けて垂れた花びら舐め取って今もわずかに死に向かう人(2023年7月24日.毎日歌壇.水原紫苑選)
気づかれず背中に乗った花びらのように手を振る改札口で(第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部)
過ぎてゆく電車の風を潮風と思いたかった平日の朝(2023年6月13日.読売歌壇.黒瀬珂瀾選)
君の手が私の背中を撫でたとき透明な栞となるでしょう(2023年6月5日.毎日歌壇.加藤治郎選)
教科書がはらりはらりとめくられて休み時間は小さな渚(2023年5月28日.東京歌壇.東直子選)
琥珀糖で傷ついてしまうくらい私は薄く透明だった(2023年4月10日.毎日歌壇.加藤治郎選)
手をひねりパッと話した両手から落ちてパスタの花が開いた(角川短歌.2023年3月号.小黒世茂選)
5限目の教室で鳴るボールペンきっと誰かの「淋しい」の声(2023年3月20日.毎日歌壇.加藤治郎選)
口づけの途中で笑いすきま風きっと桜を揺らすのでしょう(2023年2月19日.東京歌壇.東直子選)
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