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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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#ファンタジー

【短編小説】勇者のコイン探し

 一人の旅人が、小さな村に立ち寄った。そこは数百年前、魔王を退治したという勇者が生まれ育…

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【短編小説】何って……挨拶をしただけだが?

 ――聞いてほしい。  俺、鈴木……鈴木、王子はこのキラキラネームと外見――ぼったり膨れ…

【短編小説】ラベンダー

 村近郊の洞窟に住み着いた魔物退治はすぐに終わり、あとは帰るだけだった。だが依頼主とちょ…

【短編小説】趣味で塔を造る人 -最終話-

 こちらの続きです。  トルンは本当に手紙をよこしてきた。生成色の封筒に赤さび色の封蝋が…

【短編小説】趣味で塔を造る人 -3話-

こちらの続きです  たはは、と無理に笑うトルンの視線が、遠くに向けられた。ラスターは彼が…

【短編小説】趣味で塔を造る人 -2話-

こちらの続きです。  翌日の朝、再度採掘所へ向かったノアたちをトルンは不安そうに見送って…

【短編小説】趣味で塔を造る人 ー1話ー

 明け方の森の、湿り気のある冷たさに思わず手を握りしめる。ノアは吐く息を白く染めながら、依頼人に物資を提供した。依頼人の男はニカッと笑うと、物資を慎重に受け取った。男には前歯が1本なかった。 「あんたたちのおかげで、俺の塔はどんどん完成に近づいてる」  そう言って、男は視線を下に向けた。ノアもつられて同じ方を見る。  そこにあったのは、巨大な塔になる予定の壁であった。    趣味で塔を作る人  趣味で塔を作る人の噂は、ノアたちのところにも届いていた。というのも、彼は建設に

【短編小説】所有権、主張

 人だかりができているだけならラスターはきっと素通りを決めていたことだろう。しかしその中…

【短編小説】或る昼下がりのこと

 公園のベンチで本を読んでいたノアは、子供の泣き声に顔を上げた。  魔術学校初等部の子供…

【短編小説】様子のおかしい住人たち -最終話-

こちらの続きです  唖然とするアングイス。何事かと身構えるノアとラスター。そして、何が起…

【短編小説】様子のおかしい住人たち -3話-

こちらの続きです 「よく似合っていますよ、お二人とも」 「はははー」  ナタリアの褒め言葉…

【短編小説】様子のおかしい住人たち -2話-

こちらの続きです  護衛日は明後日。残された時間は少なすぎたが、二人は即座に動いた。  …

【短編小説】様子のおかしい住人たち -1話-

 ナタリア・ヨーカー氏講演!  テーマ:これからの社会に充てて~ルーツの方々との歩み~ …

【短編小説】水面から顔を出して

 足音をわざと立てて歩くのはわりと疲れる、とラスターは思った。盗賊兼情報屋兼何でも屋という職業柄、自分の居場所をお知らせするような振る舞いはしたくない。とはいえ日中の大通りを忍び足で歩くほどバカでもない。口笛で流行の歌を吹きながらそれらしく歩いていると、井戸端会議に盛り上がる婦人の集団を見た。 「あのアンヒュームたちが街を破壊した事件があったでしょう? 私ほんとに怖くて怖くて」  それに八百屋の婦人が笑う。 「アンヒュームなんてね、見れば分かるんですよ。私はね、長らくいろーん