しろくま

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  • 白血病の治療

    元気に学校に通っていた子が突然入院することに。小児がん(急性リンパ性白血病)の入院中の思いを綴ります。

最近の記事

心境の変化はグラデーション

退院して数カ月経ちました。 子も復学して元の学校に通っています。 「まさかうちの子が小児がん!」が頭の中を100%占めていましたが だんだんと他のことを考えられるようになってきました。 発病が分かってしばらくの私はこんな様子でした。 本でも読もうと思って図書館に行っても闘病記か病気の知識のもの しか目に入らない。 幸せそうに歩いている家族がうちと同じようなきょうだい構成だと 眼をそらしたくなる。 元気に走り回る子、以前によく遊んでいた公園を見るだけで 自然に涙が出る

    • 院内学級のこと。

      突然の入院、学校にも通えなくなった期間 楽しみにしていたのは院内学級でした。 病院病院然とした空間の中に、教室があり ドアを開けるとその空間だけは教室となっている そのことだけでもとてもほっとしました。 病室にいれば患児だけれど、ここにきたら ただの児童生徒でいい、 ここにいたら遊んだりもできる。 コロナ禍でプレイルーム等も普段よりも厳しく 制約の多い入院生活でしたが、 教室にいるひとときは 自分らしく過ごせる時間でした。 初日から楽しく通えたわけではありません。 初

      • 妊孕性のこと④

        親同席で主治医から妊孕性の話を 患児本人にお伝え。 「悪い細胞が減ったけれどまだ残っているかもしれないから 新しい血をもらって元気になろう」という 骨髄移植の説明と、「この治療をした後には 将来自分のこどもをもつことはできない」ということ。 結婚するかどうかも今は分からないけれど、 特別養子縁組など、実親が育てられない赤ちゃんを 代わりに育てる等の手段はある、とのことなども主治医が 話す。 聞いてどんな反応をするのかが親もハラハラしたけれど・・ ピンときていない様子。当

        • 妊孕性のこと③

          紆余曲折の末に、骨髄移植を選びましたが ラスボス的存在【妊孕性】。 本人は現在未婚(15歳以下のこどもです) 将来結婚するのか、子をもちたいのか、 全く見当がつかない。 結婚しなくても子を持つこともできますが。 親としてもショックを受けつつ 一番悩んだのが患児本人にどう説明するかというところ。 本人に話しても今はピンとこないだろう。 そしておそらく本人が悩むのは先の話。 どう話す?いつ、話す? まずは親が説明を聞きます。 主治医と移植コーディネーターからは妊孕性を失う

        心境の変化はグラデーション

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        • 白血病の治療
          12本

        記事

          年末年始の付き添い入院

          本退院してしばらく、サイトメガロウイルスの 数値が高いので再入院。年末年始を挟む一週間です。 重症な辛そうな入院期間ではなく、親として 心配ではなかったのですが、子はせっかくの冬休みを きょうだいと家で過ごせないことに落ち込んでいました。 年末年始期間は普段の小児病棟とは少し様子が違います。 血液疾患は治療期間が長く、また輸血が必要だったりもするので 年末年始と言っても全員が一時退院できるわけではないけれど やはり看護スタッフも患児も最小限。付き添い親は自分の他にいません。

          年末年始の付き添い入院

          妊孕性のこと②:ほぼ脱線回 

          結婚してもしなくてもいい。出産してもしなくてもいい。 どちらも個人が自由に決められること。 もともと、フラットに考えているつもりでしたが、 ふと、無意識に『結婚して出産すべし』のバイアスが 自分にもかかっている、ということがありました。 そこでふと気づいたのです。 長い間親のバイアスが刷り込まれて暮らしていたことに。 ここからは、スプラトゥーン的な例えを交えて。 注:街中に自分色のインクを塗るゲーム。相手チームは   別の色を塗ってくる。面積広い方が勝ち。 親色『絶対

          妊孕性のこと②:ほぼ脱線回 

          妊孕性のこと①

          抗がん剤や骨髄移植の話に、にんようせい(妊孕性)という言葉が出てきます。 漢字で意味が推測できますが 将来、実子をもつ可能性のことです。 私自身、以前、親から「早く結婚しろ」「早く孫を」 と圧をかけられ、私のきょうだいは今もその渦中。 嫌な思いしかないです。 「小学校の同級生の〇〇さんが結婚したらしい、あなたも早く」 「中学校の同級生の〇〇さんにお二人目が産まれたらしい」 実際には結婚・出産せず充実して暮らしている同級生は山ほどいるはずですが、その情報は親の耳に入っても削

          妊孕性のこと①

          アピアランス、ルッキズム

          今までよりも気になること。 地上波TV番組で、薄毛とか、見た目のことを揶揄する番組が多い。 美カテゴライズの人に醜カテゴライズの異性が言い寄るのを見てくさしたり。 醜カテゴライズの人は何をしてもくさされていたり。 抗がん剤で、頭髪全く無しになった我が子は どんな気持ちで見ているんだろうか。 原籍校の先生から 「見た目のことは言わない、休みの子がいても理由を聞かない」は徹底しています、とは聞いているけれども。 大人が作るTV番組から、ルッキズムを 植え付けられているよ

          アピアランス、ルッキズム

          同病棟友のこと

          小児病棟の子どもたち。 本人も治療中なのに、すごくあたたかく接してくれた子が いました。仮名:ひまりちゃん。 彼女と初めて出会ったとき、我が子は全く元気がなく 泣いて暮らしている頃でした。また、治療で頭髪無し。 初めて会ったときに「かわいい」といってくれたひまりちゃん。 頭髪がない子は病棟にはたくさんいるけれど、見慣れないと びっくりすると思う。びっくりして普通だと思う。 親にとってはどんな姿になってもかわいい我が子だけれど 髪の毛のない我が子を初対面で「かわいい」といっ

          同病棟友のこと

          小児病棟での出会い

          病名判明の頃のこと、体調が一番悪くてPICUにいたころのこと、 なかなか筆が進まないのでまた後日。 小児病棟には子らの泣き声や電子音が溢れていて なかなか慣れることはできませんでした。 また、親と離れて暮らすこともはじめてのこと。 付き添いの時間も限られる中で、顔を見て泣かれ帰り際にもまた泣かれるのは親にとっても辛くて悲しい時間でした。 そのような環境にも素敵な出会いはありました。 プライマリ看護師さんは、ご自身もこの病棟で闘病されていた方。 ご自身の病気のことは公にさ

          小児病棟での出会い

          退院前の願掛け

          普段、神信心は全くしないのですが、 「予定通りに退院できますように」と念じてこっそりやっていたことがあります。 掃除です。付き添い親が使う電子レンジの庫内と、脱衣所の扇風機の羽根を こっそり掃除していました。立つ鳥跡を濁さず。この病棟のみなさんにお世話になった感謝の気持ちをこめ、看護スタッフさんにも清掃員さんにも見逃されていそうな場所を、こっそりと。 深く考えたわけではなく、ちょっと汚れているの気になりつつ、誰かに言うより自分が手を動かした方が早いと思っただけのことで。

          退院前の願掛け

          退院前の様子

          現在、主治医やプライマリ看護師さんなど お世話になった医療者のみなさんへ折り紙やお手紙を 子が自分で少しずつ用意しています。 「勉強とリハビリをがんばって  医療者になってこの病棟に戻ってくるね。  その時までお仕事がんばっててね。  今までありがとう。大好き。」 こんな趣旨のお手紙です。 時系列ではなく、退院前の様子を先にupするのには 意味があります。 白血病と言われて、やみくもにいろいろ検索していた頃、 読み進めていくうちに経過が悪いストーリーにもあたり、 先が気

          退院前の様子

          髪の長い男の子

          我が子が白血病と診断される数年前のこと。 我が家前を通って通学していく小学生の男の子。 毎日見てるとだんだんと髪が長くなり、 ちょっと衣替えが追い付いていない服装の日もあったので (寒くなったのに半袖とかね。) ご家庭できちんとケアされているのかほんのりと心配な日も ありました。 髪が肩よりも長くなってからは一つに結わえて 登下校していました。 髪は真夏の暑い日もずっと伸び続けて。 ある日、見かけたら髪はとても短くなっていた。 そのときはじめて、 「髪の毛短く切った

          髪の長い男の子

          白血病の発見前

          首の後ろが膨れているのに気づき、 近くの小児科を受診したところ、市立病院を紹介されました。 小児科では「うちでは血液検査できないので大きい病院へ」 と言われただけで、そのときはまさか入院するような 病気だとは思っていません。 市立病院受診日も、診察が早く終わったら学校にいけるかも と連絡帳に書いて、学校のカバンも持参して病院へ向かいました。 子も給食の時間に間に合ったら食べる気でいます。 「給食なにかな。何時間目から行けるかな」 市立病院での診察でも病名は言われず、 「

          白血病の発見前

          noteをはじめたきっかけ

          子どものころから本が好きで、大人になったら 図書館司書か作家になりたい。と思っていました。 司書にも作家にもならずに今暮らしていますが 子の長期入院をきっかけに、twitterの文字数では 足りない思いを書き残したくなり、また、 同じ立場のご家族や経験者さんや医療者さんの 目にとまることもあるかと思い、 つれづれなるままに心にうつりゆく よしなしごとをそこはかとなく綴ります。

          noteをはじめたきっかけ