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新婦が司会者でインタビュアー (エッセイ)

子供の頃から、
「結婚披露宴はしない」
と決めており、婚約者の賛同と両家両親の同意を得て、新郎新婦込みで出席者8名という、盛大な神前結婚式のみを行った私です(↓)。

もちろん、個人的価値観を子供に押し付けることはありません。
しばらく前に、
「娘さんと結婚させてください」
という男性が現れ、《郡上踊り試験》で合格(↓)した後、ふたりは入籍しました。

式は挙げないのかと思っていたら、横浜で神前での結婚式とホテルでの披露宴を催す、との連絡をもらいました。

参加者は30人余りで友人とごく近い縁者のみ、双方勤務先の人間はひとりもいない、という、プライベートでささやかな式&披露宴でしたが、なかなかユニークで楽しめました

《斬新》だったのは、ウェディングドレス姿の新婦が自らマイクを持って司会を行うと共に、出席者ひとりひとりのテーブルで(各人の紹介も兼ねて)インタビューを行ったことです。

高校時代の友人には、
「その頃の思い出で一番印象に残っていることって、何ですか?」
三味線の師匠(新郎新婦は三味線クラブの同期)には、
「あの頃、このふたりが将来結婚するって思っていましたか?」
なんて尋ねていたように記憶しています。

マイクを向けられた方々は、
➀祝辞と、
➁質問に対する答えと、
➂《+α》エピソードなどを、

話され、盛り上がりました。

日本語が話せないアメリカ人夫妻には、日本語でインタビューをして、隣席の新婦妹が通訳していました。

その合間に、新郎新婦が互いの好き嫌いや価値観などについて、お互いにインタビューし合っていた ── まるで《掛け合い漫才》のように。

互いの両親に対するインタビューは、事前にそれぞれの自宅で行ったビデオ録画を流しました。

新郎の両親に対するインタビューでは、結婚の動機を尋ねられた彼の父親は、
「いやあ、とにかく可愛かったからねえ」
と奥様の前で惚気のろけていました。
その証拠として、30数年前の水着写真も登場しました。

私たちも、式の1か月ほど前に、名古屋の自宅でビデオカメラを構える娘から、
「結婚生活を長く続けられた秘訣は何ですか?」
と尋ねられました。
「長く続きゃあいいってもんじゃないよ」
私は娘に言いました。
「やっぱり、《ハッピー》じゃないとね」
「── じゃあ、《ハッピー》の秘訣は?」
「それはもちろん、── 《お笑い》だよ。毎日とにかく、相手を笑わせていることさ。こうやってさ、~♬ふたりをう、ゆうやみがあ♬、つつむう♬、このまどべにい♬~、~♬あしたもう♬~」
会場で映し出されるビデオの中で新婦の母親がけたたましく笑い始め、それを見た会場の人たちも大笑い、── と言いたいところですが、たぶん、あきれていましたね。

老齢のため、横浜まで来れなかった新婦の祖父(私の父)へのインタビュービデオも流され、
「結婚生活はいいことばかりではない。山あり、谷ありだ」
なんてマジ顔で言っていました。

よく耳にする《娘を嫁がせる父親の感慨》的なものは私にはまるでなく、
「ほとんどの参加者が楽しめた、いいイベントであった」
このオリジナル披露宴を企画・実行した新郎新婦に、心の中で大いなる拍手を送りました。

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「でも、どうして両親へのインタビューだけ、ナマじゃなくって、録画だったんだろう?」
披露宴の後、私は首をひねりました。
「決まってるじゃない」妻は即座に言いました。
「── あんたがおバカなことを言い出すんじゃないかと、あのコは警戒したのよ」
「えええ?」
「実際、かなりカットされてたじゃない!」

#結婚式の思い出

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