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最果タヒ『愛の縫い目はここ』

場所を変え、時間を変え、ちょっとずつ、ちょっとずつ読んで、さっき読み終えた。

一冊の本だけど、何か大きなものを抱きしめるように、大事に読んだ。

この詩集に収められている最果タヒの詩には、
光があって、
色があって、
透明があって、
大地や空があって、
身体があって、
傷があって、
愛があった。


体にはいくつも窓があって、そこからたくさんの心が飛び降りている。

最果タヒ『プリズム』

ここの部分を読んだ時、わたしの身体はカフェの窓際にあった。

顔を上げると目の前には、大きな窓があって。


ガラス越しに、青空と、風に流される雲が見えた。

ゆっくりページを読み進めて、コーヒーも冷めたころ、窓の外は日が暮れていて。

すると、窓は鏡となって、店内にぶらさがる照明を映し出していた。

窓は、外が明るいと額縁となってあちら側を、日が暮れると鏡となってこちら側を、見せてくれるのだと思った。

まあだから何ってことはないのだけど。

先の詩にある「窓」と、何かリンクするものがあった。

あの時間に見た、窓の外も内も、なんだかやたらときれいに見えたりしたのだった。


『愛の縫い目はここ』、「あとがき」もすばらしかった。

やさしさに溢れていて。

読んでいたら、孤独を忘れられた。


豊かな時間をもらった一冊だった。

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