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2021年1月の記事一覧

坂元裕二『花束みたいな恋をした』(シナリオ版)

坂元裕二『花束みたいな恋をした』(シナリオ版)

京王線に揺られながら読んだこの本が沁みまくる週末だった。

絹と麦の日々を描いた、5年間の物語。変わりゆく景色、流れゆく時間がこんなにいとおしくて切ないなんて。数ある花々の中から好きなものを選んで集めて束ねていく過程と、できた花束を大事に愛でる時間と、それが色とうるおいを失っていく様と。すべて込みで「花束」だなと思うなどした。一つの恋ではなく、二人分の、それぞれの恋の物語だった。

坂元さんのあと

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カツセマサヒコ『明け方の若者たち』

カツセマサヒコ『明け方の若者たち』

主人公の、好きな人をいとおしく思うきもちが、わたしのそれを何十倍にも膨らませてくれて、とってもあたたかい気持ちになった。苦しみや切なさに共感しつつも、それすら幸せで、もうなんというか。

でも正直、途中でちょっと読むのがしんどくなったところがあって。というのも、自分が社会人1~3年目のときに仕事で悩み苦しんでいたようなことが、実況かと思うくらいありありとそこに描かれていたの。共感どころか、あの頃の

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