『夢を追いかけて』

グラスに注がれたワイン

一気に飲み干して

黄昏の街角に飛び出す

通い慣れた道を通り抜け

静まり返った路地裏へ

両手をポケットに突っ込み

下向き加減に早足で

突き進んでいく

遥か遠い昔から

伝えられてきた武勇伝

確かめたくて聖地へと

薄茶色のサコッシュ

肩から下げて

今宵の音楽とともに

流れてくるのは

ため息混じりの吐息

掻き消すように

ボリュームを上げ

氷上のダンスを夢見て

突如、目の前に現れる

ヒロインの姿を

追いかける過客

あたりが急に明るくなり

日の光が見えた

※TOP画像は、CTRATORさんからお借りいたしました。