見出し画像

「好きが高じて」

圭太は、ガンマニアだった。

暇さえあれば、仲間を集めて近くの空き地で、

サバゲーを繰り広げていた。

好きになったのは、小学生の頃、

親戚の叔父さんに機関銃のモデルガンをもらったこと。

そこから好きになっていく、コルト・ルガー・ワルサー、

次から次へと買い集めていった。

モデルガン、一口で言っても火薬を詰めて音を鳴らすもの、

BB弾を飛ばして遊びもの、飾って楽しむもの、

様々なタイプがある。

圭太は、最終的にはBB弾を飛ばす、エアソフトガンにのめり込んだ。

今日も、お気に入りのワルサーをバラして組み立てる作業を、

部屋にこもり一人黙々と行っていた。


言わずもがな禁止事項として、

モデルガンは、決して人に向けて撃ってはならない。


サバゲーでは、

圭太は、もっぱらサブマシンガンを使用していた。

冬場は電動ガンで、夏場はガスガンで、使い分けて楽しんでいた。

基本ルールとして、

当たった場合は、自己申告制になっている場合がほとんど。


今日も喜び勇み、全身迷彩柄の格好で車に乗り込み、

サバゲー会場へ向かう圭太。

車内では、何故だかQueenのWe Will Rock Youが、

高らかに流れていた。



サブマシンガンの威力を、侮ってはいけない。

圭太は、自分を戒めるが如く強く思っていた。

あと、圭太はバズーカを密かに隠し持っていた。

車のシート下に…


サバゲー会場に到着すると、

何時ものメンバーが集められていた。

5人対5人のチーム対戦となっていて、

開始の合図とともに、壮絶な対戦が繰り広げられる。


今日は、不穏な空気が流れていて、

とても怪しげな黒い雲のようなものが、空に差し掛かっていた。


圭太の得意パターン、逃げると見せかけて攻撃に転じる。

意表をつく攻撃スタイルが、真似できないスタイルだった。


対戦が始まって5分ぐらい過ぎた頃、

先程の黒い雲が圭太たちの真上にやってきた。

「あっ!雨だ、嵐だ、雷だ!」

…って言った瞬間、雷がサバゲー会場に落ちた。

一瞬の出来事で何が起きたのか、全く理解出来なかった。

辛うじて、誰にも当たらなかったのだが、

雷の落ちたところをまじまじと見ると、

そこには、太い黒い筒状のものが突き刺さっていた。

パカっと、ふたつに割れて出てきたのは、

全身銀色のスーツを着た宇宙人だった。

圭太と仲間たちは、宇宙人を見るや否や、

恐怖のあまり奇声上げながら、サブマシンガンを撃ちまくった。

みんな必死の形相で、電動の電池と弾がなくなるまで撃ちまくった。


そして、圭太は、伝家の宝刀、バズーカを車に取りにいって、

安全スイッチを下げて、いざ砲撃!

ズドーン!というけたたましい音と共に、

宇宙人に命中した。

モデルガンとはいえ、宇宙人は朽ち果ててしまった。


人に向けて撃ってはならない。

サブマシンガン、バズーカもそうだ。

宇宙人にはいいのか。

今は、地球の平和を守ることが先決。

人命を守った圭太と仲間たち。

後日、全世界に報道され、表彰されることになった。


「地球を救った英雄たち」

「常日頃からマシンガンをぶっぱなす」

「好きが高じて地球を救った」


3行の小見出しが、記事に追記された。


大見出しはもちろん

『地球の真のヒーロー、我が国に現れる』


アベンジャーズがオファーを送ってきたかどうかは、

定かではない。



※この物語は、フィクションです。

サバイバルゲーム(サバゲー) ↓



よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは、クリエイター活動費として使わせていただきます。自身、未熟な部分が多々ありどこまで出来るのかわかりませんが日々進化し続けることはやめないつもりです。