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お礼 / 皆どこか勘違い / 豚汁いこか

先にお礼を言わないと、また違う話をして忘れてしまう。

読んで下さった上に、スキをありがとうございました💖

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とある他職種のおじさんが、ご利用者であるお婆ちゃんに、やたら大声で『あなたは若い男が好きなんだよねー?!そうだよね?昔っから若い男が好きだよね?!』と言っている。何か、ちょっと、しつこいくらい。

何故だか、違和感があるくらいの声の張り方だった。

いつも早足で歩いているので、その前の会話の流れが分からないけど、お婆ちゃんの方は笑っていない。むしろ不快な表情をされていた。という事は、単純に失礼な話だなーと思った。嫌がってるじゃないか。

なので、『自分も若い女の子が好きでしょ?』と突っ込みを入れると、それまで不快な表情をされていたお婆ちゃんがニヤッと笑い、次の瞬間『ぎゃーはっはっはっ!そうだよ。何言ってんだよ、このエロおやじ!自分だろ?』と手を叩いて笑っておられた。

元気になっておられた。

一件落着。


では、なかった。

何と、このおっさんが、耳まで真っ赤になって「違いますよ!本当はOhzaさんに言ってるんですよ。若い男に優しいもんね!」と挑んで来た。

ああ、何か、このおっさんに出くわす度に、至るところで同じ台詞を耳にしているような気がしていたが、お婆ちゃんたちを利用して私に嫌味を聞かせているつもりだったらしい。わかりにくっ!

瞬時に心の中で思ったのは『んなわけあるか。私はLGBTの類なんだから。』と言うこと。

『あんた達のようなおっさんと話が合って仲良くなるのは、中身がおっさんだからなんだよ!』ということ。

しかし、公衆の面前でそんなことを言えるわけもなく、どうしようかな?と考えて、やっと言えたのが「たまには仕事するといいよ。」。

そして、ただ立ち去るのみだった。

後ろからお婆ちゃんが大声で笑っておられた。

元気になっておられた。

一件落着。

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その日の午後、医務課で仕事をしていると、廊下でKちゃんの声がする。

会話の流れからして、車椅子に座っている人のADLが上がって喜んでいる様子だった。『姿勢が良くなったし、少し立てるようになって来たね~♪』と声かけしている。

そこへ、先のおっさんが「もう、ほら!オーバーベッドテーブルを前に置かないと危ないでしょ!」と言って、ガラガラ運んで来ている音がした。

そうそう、このおっさんは、女性を見つけると、必ず注意したりアドバイスするていで、相手を否定する。

そして『ありがとうございます。』とか『すみません。』と言われるのが非常に嬉しいパターンらしい。

ところが『要らないです。今、私がこうして観ているでしょ。そんなもん置いたら、この人、立てないでしょ。』と言うKちゃんの声。

あ。断っちゃった。

次の瞬間『だっから、可愛くないんだよ!どーーーうして!いつもそう素直じゃないかな?!』と烈火のごとく怒る声。期待している反応とあまりに違っていたから頭に来たのだと思う。(でも、おっさん、仕方ないよ。実は、そいつもLGBTだ。)

それで済めば良かったのだけど、Kちゃんという女に、いや、人間に怒鳴ったのが間違いだった。

Kちゃんは、『今、何てった?』と言っている。氷のように温度の低い声だった。やばい。

慌てて廊下に出てみると、青白い炎に包まれたKちゃん(チビなのに)が一歩一歩前に出る度に、仮にも『先生』と呼ばれる職業のおっさんが一歩一歩下がっていく。

『なんで、あたしが、あなたに可愛いと思われなきゃならないんですか?ん?可愛くないだと?え?職場で可愛い可愛くないが関係あるのかな?ん?それは、立派なセクハラじゃないかな?』

(そ、そりは、どうかな?)

『素直じゃないってのは、どういうことかな?あなたの都合の良い反応をするのが素直ということかな?だから、そうしなさいって言うモラハラかな?』

(そりも、どうかにゃ?)

おっさんは、窮鼠 猫を噛む状態で、この小さなライオンに向かって、何を言うのか?と思いきや『年寄りを大事にしなさい!』と、絞り出すような声で言った。

(にゃっ?!)

もう、色々なことがよく分からない。

放置すると、ますます分からないことになりそうだったので『二人とも、うるさいよ!』と止めてみた。

すると、揉めていた二人が、くわっ!と同時に私の方を睨み、声を揃えて『それ、パワハラです。』と言う。

意見が一致して一先ず仲直りしたようなので良かったが、何か、生きづらい世の中だなと思った。

一件落着。(どこが?)

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ちょっと寒いので、豚汁いこか。

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