週刊少年松山洋_タイトル_修正

“ちょいワルの善人”だらけのこの世界で

ちょっと前に観た韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』の作中でこんなセリフがありました。

“ジャンパーを着てるやつは1万円を盗む”

“ネクタイをしてるやつは1,000万円を盗む”

“バッジをつけているやつは10億円を盗む”

“ジャンパーを着てるやつ”っていうのは低所得者を指しています。目先のお金を盗んでしまうということなのでしょう。

“ネクタイをしてるやつ”というのはサラリーマンや公務員。その中でも立場を悪用して横領などをしてしまう人間のことを指しています。

“バッジをつけているやつ”とは弁護士や政治家のこと。上流にいるやつは決まってバッジをつけていて低所得者やサラリーマンなんかよりも、よっぽど悪どい規模の横領や卑劣な犯罪をするやつがいるってことを言っています。

もちろん実際にはそれぞれそんな人間ばかりではありませんが(イメージとして)偉くなると悪いことをしても感覚が麻痺してくるし、その金額はどんどん巨大なものになっていく、ということが言いたいのだと思います。

パターンとして韓国のドラマや映画では、登場する多くの弁護士や政治家は悪い奴として表現されます。なんなら観ていて弁護士や政治家が登場すると“あ、こいつが今回のラスボスか”って思えるほどです。(で、だいたいそいつらがラスボスです)

この『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』というドラマでは、税金徴収局に勤める主人公のおっさんがイケメンの天才詐欺師と一緒に、高額税金未納者の悪党から騙して金を取って税金を無理矢理払わせるというお話です。

実に痛快なドラマでした。

登場する悪党は本来はみんな高額納税者、なのにずっとそれを収めていない。なぜなら政治家や行政の偉い奴と結託してて、支払わなくても良い環境を作ってしまっているのです。紙切れ一枚で(お金があるのに)“支払能力無し”とみなされて何10億も滞納した状態で豪遊しているわけです。

結局、世の中は“偉くてズルくて悪い奴”がいつまでも裕福で金を持っていて、多くの弱者から少しずつ小銭を徴収して“生かさず殺さずの状態”で成立しているというメッセージです。

“それ”を詐欺で騙してひっくり返すわけですから、それはもう本当に気持ちが良いくらい痛快です。

そんな本作から作中のセリフをもう一つ紹介します。

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“ちょいワルの善人”だらけのこの世界で

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