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かさぶた



カーテンを閉めて
散らかった部屋で座って泣いていた
外に出るのが怖かった
誰かに会いたいけれど、誰にも会いたくなかった
朝起きてぽろぽろと泣いた
夜眠ろうとして泣いた
踏み出せない自分
動けない自分
誰にもわかってもらえない自分
自分でもわからない自分
ひたすらに泣いた
そんな記憶すら、かさぶたになろうとしている。


・・・


2019年が今日で終わる。
2019年。元号が変わり、時代は新しくなった。
元号が変わる少し前から、僕は全てを失っていた。

はっきり言おう。
この1年は本当に苦しかった。
全部自分が悪い。そんなことはわかってる。
でも、苦しかった。辛かった。怖かった。
みんなの前では笑顔でいた。
笑っていた。楽しんでいた。みんなの前では。

俺ならじっとなんてしてられへんけどな
なんて、親に言われた。
僕は、ははっと笑って下を向いた。
心臓をガチっと掴んで抉り出さんとするかのような痛み。

前から知り合いが歩いてきたら、ポケットからスマートフォンを取り出して、意味もなく眺める。
前に人が歩いていたら、距離を取る。物陰に隠れる。店に戻る。
心が震えた。もちろん良い意味ではない。
やがてその震えは身体にまで現れて、物陰に隠れて座り込んだ。
やっとの思いで転がり込んだ家には、ぐちゃぐちゃに放置された、広告や公共料金の領収書。それらを見ると、とても心が落ち着いた。散らかった部屋は、心そのものの写し鏡のようで、物に頭まで埋もれてしまいたかった。
僕がここにいるところを、僕が生きているところを、誰にも見られたくなかったんだ。

花火を見れなかった。毎年見ていた花火を。
違う花火を、違う人と見た。
もちろん楽しかった。好きになりそうだった。
いや、好きだった。
でも、だめだった。
俺の描く妄想にいたのはその人ではなく、大好きだったあの人だった。
抱きしめても。抱いても。好きって言うことをこの口は頑なに拒んだ。やがて僕らは少しずつ疎遠になりつつある。
親友を1人失った。ただそれだけ。ただそれだけのことなのに、頭から離れないのは何故だろう。


・・・


変わらなかった。今も本当は変わってないのかもしれない。

大事なものが何かを探そうとして、手放して、手放して、全て取っ払った気になって。
取っ払ったんじゃない。自分を作ってくれていた物を捨てていた。
余計なものを取っ払って自由に飛べるのは、しっかりと自分を持った人だけ。
僕は違うと気づいた時には、僕は家から出られなくなっていた。

親と話せなかった。
ちゃんと生きてる。ちゃんと動いてるよって。
それすら親に言うのが怖くて。
きっと早くしろと言われる。
もしくはダラダラするぐらいなら帰ってこいと。
あの頃の僕にとって、親すら味方ではなく敵にしか見えなかった。時々かかってくる親からの電話は、恐怖でしかなかった。親の言葉が耳から入り、心臓、大動脈、静脈を通って全身を駆け巡る。肺を通っても綺麗にならない。その日はもう何もできなかった。

自分に向けられる心配は全て槍となって全身を貫いた。
親だけじゃない。周りの心配全てが。
いつも通り遊んでくれ。いつも通りふざけたことしようよ。お酒飲んで歌の話しようよ。カードゲームしようよ。そんな話がしたいんじゃないんだ。

痛かった。辛かった。苦しかった。暇だった。それがまた辛かった。忙しくしたい。何かタスクが欲しい。友達と会う予定が出来たら、どんなに小さな予定でも、まっさらなスケジュール帳にでっかく書いて飾り付けた。
2週間連続で土曜日に予定が出来たときはうるうるしながら喜んでいた。なんだ、ちゃんと僕も忙しいじゃん、って。
誰かに会いたいけれど、誰にも会いたくないという矛盾を抱えていた。きっと、助けてくれる誰かを求めていた。


・・・


僕は4月にnoteを始めた。
なんとなくだけど、毎日文章と向き合った。
自分にタスクを課す為だったのかもしれない。

繋がり。実際に会うわけではないけれど、確かにそこにある繋がり。そんなネットの性質が、僕にはちょうどピッタリ当て嵌まった。
さらに、運が良いことに、みんな優しい。
僕はnoteで毒を吐いた。愚痴を吐いた。涙を見せた。自分を貶めた。周りのせいにした。世界を恨んだ。自分を恨んだ。作りたかった。壊したかった。
ネガティブな気持ちを文字に込めて、noteという世界に叩きつける毎日。
そんな僕に寄り添ってくれる人がいる。たくさん。
いつの間にか、ネガティブが僕の代名詞になっていた。

実際に会った。
怖かったよ。
せっかく今の自分が求めている関係になっているのに、
会ってしまったらもう別物だ。
そんな気持ちをポッケに忍ばせていた。

けどね、そんなもの街中の何処かに落としたみたい。
みんな、会う前と何も変わらない。いや、会った後の方が、僕の中でとてつもなく大きな存在になった。

その人達が、僕の傷にフタをしてくれる。
生々しく残り膿になりそうな傷に、かさぶたができ始めたんだ。


どんな傷もいつかはかさぶたになって取れてしまうということを、僕は「知ってしまった」。
今までネガティブをぶつけるだけだった僕は、noteが書けなくなってしまった。
1ヶ月程ほとんど文章に触れなかった。触れられなかった。触れない期間が延びるほど、余計に触れるのが怖くなった。
みんなきっと、僕の知ってるみんなじゃなくなっている。どんどん変化していくであろうみんなに追いつきたい。だけど、もう無理だ。
そんな感情が心を占めた。

イベント前に、一本文章を書いた。
なんてことのない、雑な文章。何も考えずにただちらっと物陰から顔を出しただけ。
広場で遊んでいるみんなは、ちらっと顔を出した僕を見逃しはしなかった。

待っていた、と。

僕は涙が溢れたよ。
助けてくれた。僕を忘れてはいなかった。
僕のことを忘れてほしくないと思う人たちは、僕を忘れてはいなかった。


・・・


足下すらまともに見えないほど真っ暗だった僕の世界は今、少しずつ明るくなってきている。
お仕事を見つけた。ちょっと怪しい部分もあるけれど、前職より全然良い。やりがいもある。
noteの人たちと交流した。もう毎日でも飲んでいたいような人たちと出会えたのは、とても大きな財産。
大好きだった人にもう一度告白した。もう一度側に居させてくれと。そして、もう一度手を握ることが出来た。これからもずっと繋いだままだろう。
友人や後輩と忘年会もした。新年会はできるかわからないけれど、もう会うのは怖くない。
今日は久しぶりに帰省をする。きっと、親とも楽しく話ができると思う。

少しずつ、少しずつ。
歩けるようになってきた。

傷は少しずつかさぶたになり、やがて取れてなくなるだろう。
でも、傷痕は消えない。消えないでほしい。
2019年を空白の1年にしない為に。
いつかこの傷痕すらも愛せるようになりたい。


・・・


noteを書いていてよかった。
素直にそう思えるほどの、たくさんの人とたくさんの文章との出会い。
僕の新たな居場所。これからも少しずつ育てていきたい。

2019年、僕と、僕の文章と、出会ってくれてありがとうございます。
僕の傷を癒してくれてありがとうございます。
これからもたくさん傷つくと思います。心も折れます。
その度に甘えてしまうかもしれません。
その時は、そっと受け止めてくださると嬉しいです。
2020年も書きます。色んなことを。
色々発想を膨らませて、ネガティブをぶつけるだけじゃない、楽しく文章を書きます。
よろしくお願いします。


・・・


こんなネガティブな文章を書いている僕ですが、ほんとにこんな文章ばっかなの⁈てゆかお前ほんとにピロリ???っていうテンションで第4回もたレディオさんの方に出演させてもらっております
声が大きくないのでマイクを近づけた結果バカうるせえことになってるのが僕です
2019年最後のもたレディオ、是非是非聴いてくださいな!




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