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感情のエッセイ

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気持ちを込めて書いた文章
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#生活

noteを始めてから、他人への視点に体温が生まれた。

noteを始めてから、他人への視点に体温が生まれた。

むかしの僕はほんとうにダメなやつだった。努力はできないし、そのくせ武器もない。自信のなさを隠すための、偽物の自信だけがあった。

なんにもできなくて、いろんなことに怯えていた。でも、あの頃の僕は優しかったと思う。心に波たつのは自分の弱さばかりで、人を見下すようなことはなかった。そもそも見下せるだけの土台が自分になかったんだ。

いまの僕はそれなりに色々できる。あいかわらず努力はできないけど、いくつ

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灰のように崩れたお前へ

灰のように崩れたお前へ

去年の夏は蜘蛛が多かった。べたつく暑さが共に思い出されるほど、その姿をよく覚えている。

そいつらはどこにでもいた。電線の間。物干し竿。寝室の窓の裏。
少しずつ生活を侵食するように、巣はそこかしこで広がっていった。

玄関をでてすぐの、階段を小さく降りる途中に腰をすえた奴がいた。外出するとき、パッと青空が目に入って気持ちいいのがこのアパートのいいところ。その視界の隅に、いつのまにか邪魔な虫が定着し

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ぴぴぷる散歩

ぴぴぷる散歩

散歩がすきだ。ゆっくりと歩きながら、草の匂いや、季節の空気を味わって。山をみたり、人をみたり。川をみたり、家をみたり。

生活のそばにある、地元の自然。それは用水路に流れる浅い水であったり、公園の木であったりする。そういったものを感じながら、澄んだ空気を吸って歩く。そうすると「あぁ、働くことがすべてじゃないなぁ」なんて思う。

毎日仕事をしていると、なんだかそれが生活のすべてに思えてくる。疲れて家

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