これからの教師に必要なコーチングの技術
◆「宿題、やだなやりたくない」と言っている子どもがいて、
その時に「国語の漢字からやる?それとも計算ドリルからやる?」と
言います。
つまり選択肢を与えて自分でどちらかに決めさせるのです。
「計算ドリルからやる」と言ったら、そちらから始めます。
自分で決めたことは渋々でもやります。
やり始めれば「やる気」は生じるのです。
ここが大事です。
「やる気が出ない子にやる気を持たせるにはどうしたらいいですか?」
という質問がよくありますが、
やる気を出させるにはまずは取り掛かることです。
◆みなさんは「コーチング」というとどんなことを思いますか?
何かを導いてくれる野球やサッカーの「コーチ」を思い出すでしょうか。
ウィキペディアによれば
コーチング(coaching)とは、人材開発の技法の1つ。
対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術であるとされる。
相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問する
こと で、自発的な行動を促すとするコミュニケーション技法である。
◆実にわかりやすい説明です。そして、技法まで書いてあり、そのものずばりです。
「自己実現や目標達成」をはかる技術。まさに、教育の技術です。
①相手の話をよく聞く。(傾聴)
②感じたことを伝える。(共感、承認)
③質問する。(方向を見出す)
④自発的な行動。(自分で決める)
◆人間には「承認欲求」(認めてもらいたい)という欲求があります。
ですから、まずは傾聴し、共感したのち、「どうしたらいい?」と
自分で方向性を引き出し、自分で決めさせる。
自分で決めたことは、実行します。
◆教師は「教諭」つまり「教え」「諭す」のですが、その「諭す」ときに
あくまで上から目線でなく、共感しつつ、自分で決めさせるのです。
ですから、決して、「感情的に」なってはいけません。
冷静に、冷静に、相手からどうしたらよくなっていくか、行動を引き出すのです。
◆では、コーチングの必要な場面を考えてみましょう。
1 生徒指導上の問題が起きたとき、けんか、万引き、反抗的態度、器物損壊など
子どもから情報を引き出すために「コーチングの技法」を使います。
この時、意識するのは「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「どうした」です。
2 教科の学習の中で「活動課題」を与えたとき、必ず、子どもの中には「疑問」が
生じます。これを引き出すのに「コーチングの技法」を使います。
3 学習活動の中で、子どもがつまづいているとき、問題解決のために
「コーチングの技法」をつかいます。
「どうしてつまづいているか、わからないところがわからない場合」に特に有効です。
◆ 基本的には「個別指導」としてあつかうのが「コーチングの技法」ですが、
授業という全体の場でも、全体から「引き出す」場合でも使えます。
◆ しかし、教科で押さえるべき事項というのがあります。
学習指導要領で規定されている部分です。引き出したことばがそれに該当すれば、
そこを強調し、押さえます。指導とは押さえることです。「コーチングの技法」から
「ティーチングへ」うまく持って行ければ、最高の授業となるでしょう。
◆ですから、「コーチングの技法」と「ティーチングの技法」をうまく使い分けながら
これからの教師は意図的に「全体の流れ」(上田薫先生の言われる「全体の景色」)を見通す力をもたなければなりません。
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