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短編小説 | SNSストーカー女

 新着通知が来ていないかと、とあるSNSを開く。普段せいぜい20件くらいの新着通知だったのに、今年になってから50件を越えている。フォロワーが増えたからではない。粘着質の1人の女性が私にロックオンして、記事の「いいね」だけでなく、コメント欄の「いいね」まで押しまくっているからだ。それだけではない。私の過去記事に15件ものコメントを書き散らしている。おかげさまで私はノイローゼ気味だ。

 たいして記事を読んだことのないその女性が、なぜ私にこんなにも執着するのかはっきりした理由が分からない。好意的で決して攻撃的であるわけではないが、気持ち悪くて仕方がない。
 私にはその女性に対して、全くなんの愛情もなく、その女の書く記事も全く面白いとは思わない。それもそのはず。何故ならば、私の記事を無断で剽窃しているからだ。引用も私が拒否したにも関わらず、二度も勝手に流用させた。正直に言おう。私はその女に憎しみ以外のなにも感じない。消えていなくなってほしいとすら思う。

 私は一旦ブロックした。しかし、他の連携しているSNSにまで、DMが届くようになった。気持ち悪くて仕方ない。ブロックしたことが裏目に出たか?私は一旦ブロックを解除してみた。しかし、そうしたらまた、私の過去記事への嵐のような一方的な思いをつづったコメントが届くようになった。

 運営に報告しようか?しかし、運営はあてにならない。ブロックしてもダメ。ブロックを解除してもダメ。
 私はただ、その女には私に関わってほしくないことを望むのみだ。
 これがストーカーというものか。SNSの自分のアカウントを開くのがこわくなった。いい加減にしてほしい。私は個人的なお付き合いなど望んではいない。ただ私が望むのは、私に対して何もしないこと。


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