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ショートショート | カミングアウトコンビニ

 古墳とラブホしかない丘の上に、コンビニが一軒、ぽつんとあった。
 妖艶な看板には「カミングアウト・コンビニ」と書かれている。

「とりあえず、コンビニで、飲み物と朝の食べる物を買っていこう。ラブホじゃ、なにも置いてないからさ」

「そうだね、ナミも一緒に来る?」

「もちろん。こんな山奥で、車の中に1人ぼっちは寂しすぎる」

 私たちは、一緒に店内に入った。

「いらっしゃいませ。1人100円。お2人なので200円頂きます。過去の過ちを1つだけ嘘偽りなくお話して頂ければ、好きなだけ商品をお持ち帰りできます」

 不思議だと思いつつ、私からカミングアウトすることになった。

「僕は、学生の頃、タバコを一箱、万引きしたことがあります」

「そうですか。それはいけませんね。まぁ、もう昔のことですからいいでしょう。では、次はお嬢さん、どうぞ」

ナミの番になった。
「わたし、実は、この彼氏と付き合う前に、元カレを殺しました。そして、この辺りに埋めました」


( 410文字 )


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