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読書法 | 非神話化という読み方について。


 この記事は「試論」です。まだ十分に考察をしたものではありませんが、まとまるまで待つと時間がかかり過ぎるので、アイデアだけ提示してみます。

(1)非神話化

 「古事記」や「ギリシア・ローマ神話」の記述を、文字通りそのまま信じている人は、ほとんどいないだろう。多くの人は、神話を聞くとき、現実そのものではなく、現実を物語化・神話化したものとして聞くだろう。

 神話を全くの空想事としてとらえる人もいるかもしれない。しかし、かりに空想事だとしても、現実に起こった出来事をベースにして神話が書かれたと考えると、神話から、過去に実際にどのようなことが起こったのかを探ることができるかもしれない。


(2) 聖書の象徴表現

 だいぶ前だが、佐藤優(著)「はじめての宗教論」(右巻・左巻2冊)(NHK新書)を読んだ。少し引用してみる。

(読み飛ばしても差し障りありません😀)

五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、"霊"が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話し出した。
(新共同訳『聖書』日本聖書協会、使徒言行録第二章、第一~四節)

(中略)
「激しい風」とは何でしょうか?風とは前章で述べたように、プネウマです。風が吹いてくるというのは聖霊が来るということです。
(中略)
「炎」というのは何か?<炎のような舌>となっているところからわかるように、言葉のことです。炎というのはだいたい、言葉を象徴します。

前掲書(右巻)、pp.120-122

 難しいことはさておき、仮に聖書に出てくる「炎」という単語を「言葉」、「風」という単語を「聖霊」と読み解けば、神話(聖書の内容)がだいぶ「世俗化」されるように思える。


(3) AIと言語分析

 以上は、とりあえず、聖書に限ったことを書いてみたが、このような「本の読み方」は、現代作家についても、AIを使えば適用できるかもしれない。

 ある1人の作家の作品のワードを分析する。例えばだが、その作家が「水」という単語を使うときには「性的描写」を暗示していることが多いとか、「火」という単語を使うときには「嫉妬」を暗示していることが多いとか。

 文脈に隠された「潜在的な文脈」を顕在化させるような「言語分析」はAIと親和性がある(相性がいい)のではないか、と思って書いてみた。

 そのうち、個人が生活の中で、どのような言葉を使っているかを収集し分析すれば、その人の「真意」が容易に明らかになるような日が来るかもしれない。
 期待感と恐れ。両方ともある。


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