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唯川恵 | 孤独で優しい夜 |(#読書感想文)


孤独で優しい夜

 「肩ごしの恋人」を読んで以来、久しぶりに唯川恵さんの作品を読んだ。

 今回私が読んだ「孤独で優しい夜」は、不倫を描いた作品である。この記事は「ネタバレ」を含みます。これから、作品を読もうとする方はご注意ください。


「孤独で優しい夜」
主要人物相関図


主要登場人物相関図

あらすじ

 物語は、パーティのときに痛飲してしまった主人公・粧子が、パーティの翌朝、見知らぬ家で裸で寝ていたことに気が付く場面から始まる。目覚めたとき、パンティもブラも付けていない自分の姿に驚いた粧子が寝ていたのは、会社の後輩・宗吾の部屋だった。

 粧子も宗吾も独身。宗吾は粧子のことをひそかに愛していたが、粧子は宗吾のことをほとんど意識していなかった。「酔った勢いで寝てしまっただけ」と自分に言い聞かせた。というのは、粧子が心から愛していたのは、彼女の先輩・入江だったからだ。

 入江は粧子の会社の親友・美帆と結婚した。そもそも粧子が痛飲したのは、大親友である美帆と、ずっと愛していた入江が結婚したからである。
 粧子は、入江と美帆が結婚してからも、ひそかに入江に心を寄せていたが、仕方のないことだと諦めようとしていた。
 しかし、ひょんなことから、入江もまだ粧子に心を残していたことを知る。

 すべては、美帆のワナだったのだ。直接、入江に告白できなかった粧子は、美帆から「入江さんに気持ちを伝えておく」と言われた。美帆から聞いた入江からの返事は「仕事が忙しいから付き合えない」というものだった。

 入江のほうも同じで、美帆から「粧子の気持ちを聞いておく」と言われ、美帆から伝えられた「粧子は仕事が忙しいから付き合えない」という返事を信じた。

 結局、入江も粧子も、美帆の芝居にまんまと引っ掛かったのである。互いに自分で相手に気持ちを伝えていたならば、相思相愛の入江と粧子が結ばれていたに違いない。

 お互いの気持ちを知ってから、入江と粧子は何度も逢瀬を重ねた。何度も二人は体を重ねた。今までのお互いのこころに秘めていた愛を確かめるように。

 けれども、そういう関係も長くはつづかなかった。美帆は粧子の不倫に気付き無言電話を繰り返す。粧子も、美帆に感ずかれたことに気が付きつつ、応戦して無言電話を繰り返す。
 そんな攻防の末、ある時、粧子は意を決して、美帆を呼び出してケリをつけることにした。入江と別れてほしいことを伝えるために。

 待ち合わせに遅れてやって来た美帆は、入江を巡って粧子と激論した。粧子も美帆も一歩もひかない。
 しかしその最中、美帆は入江の子どもを流産してしまう。美帆の妊娠は、入江にも粧子にも誰にも伝えていないことだった。

 子どもがいなくなったことは、粧子にも入江にとっても有利な展開のはずだったが、二人ともそれで目が覚めた。美帆の入江に対する思いの深さを知ったからだ。


感想


 「不倫は良くない」と言うことは簡単だが、人の情念の深さを知ると、何が正解なのかわからなくなる。
 世間的な常識から生活のことを考えると、いかなる不倫も悲劇的な結末になることが多い。

 「不倫はダメだ!」と言っている人は、不倫の経験がなく、「自分は我慢して今の配偶者と運命をともにしているのに」という、羨望にも似た気持ちを持っていないだろうか?
 あるいは、不倫は社会的な制裁もあるから、モトサヤにおさまっていたほうが無難だと思っているに過ぎないのではないだろうか?
 もしかしたら、打算を越えた「愛」というものを知らずに、成り行きで今の配偶者と一緒にいるだけではないだろうか?
 今の生活が壊れるから、このままが一番いいと思い込もうとしているだけではないだろうか?

 私には不倫の経験はないし、もしそういう状況になったとしても、不倫を断念するだろう。

 私は主人公・粧子の視点で物語を読み進めたが、終盤の場面では、美帆の入江に対する愛情の深さに心が動かされた。
卑怯な手を使ったかもしれないが、入江を思う気持ちは、粧子に決して負けていないのではないかと。


 男性の視点で言うと、キャラ的に、宗吾みたいな人に魅力を感じた。あらすじではあまり書けなかったが、何の得もないのに、粧子を健気に支える宗吾は哀れだが、こういう人っているなぁ、なんてね😊。


不倫を経験した有名人



AIによる「あらすじ」英訳

Synopsis

 The story begins with the main character, Shoko, who drank heavily at a party and wakes up the next morning in an unfamiliar house, realizing that she is sleeping naked. When she wakes up, she is surprised to see herself without panties or a bra and realizes that she was sleeping in her junior colleague, Sojo's room.

 Both Shoko and Sojo are single. Sojo secretly loved Shoko, but Shoko hardly noticed him. She tells herself that she just slept in a drunken state. That's because Shoko truly loved her senior, Irie.

 Irie got married to Shoko's best friend and colleague, Miho. In the first place, Shoko drank heavily because Miho, her best friend, and the one she had always loved, married Irie. Even after Irie and Miho got married, Shoko secretly had feelings for Irie but was trying to accept the inevitable.

 However, by chance, she finds out that Irie still has feelings for her.
It was all part of Miho's plan. Unable to confess directly to Irie, Shoko was told by Miho to "convey your feelings to Irie." The response Shoko received from Irie, as relayed by Miho, was "I'm too busy with work to date."

 Irie, on the other hand, was told by Miho to "find out Shoko's feelings," and he believed the response that was conveyed to him by Miho, "Shoko is too busy with work to date."

 In the end, both Irie and Shoko fell for Miho's scheme. If they had conveyed their feelings to each other, there is no doubt that Irie and Shoko, who loved each other, would have ended up together.

 After knowing each other's feelings, Irie and Shoko had many secret meetings. They shared their bodies multiple times, confirming the love they had harbored all along.

 However, such a relationship didn't last long. Miho noticed Shoko's affair and repeatedly made silent phone calls. Shoko also realized that she had been discovered by Miho and retaliated by making silent phone calls. After such a back and forth, Shoko finally made up her mind and decided to meet with Miho to resolve the situation and ask her to break up with Irie.

 When Miho arrived late for their meeting, she engaged in a heated argument with Shoko about Irie. Neither Shoko nor Miho backed down. However, during their confrontation, Miho miscarried Irie's child. The fact that Miho was pregnant was unknown to both Irie and Shoko.

 Losing the baby should have been advantageous for Shoko and Irie, but it made them realize the depth of Miho's feelings for Irie. 


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