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プログラムノート

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#クラシック

ブーレーズ/《12のノタシオン》

ブーレーズ/《12のノタシオン》

ブーレーズ(1925-2016)はフランスを代表する作曲家で、指揮者、音楽教育者、音楽行政官としても活動していた。

この小品集が書かれた1945年は第二次世界大戦が終結し、音楽界にも大きな変化が起きた年だ。戦時中ナチスによって禁止されていた前衛的な音楽が解放され、各地で現代音楽の演奏会が積極的に開催されるようになった。

一般に現代音楽は難解とされるが、効果音や環境音のような響きは映画や魔法を"

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J.S.バッハ/トッカータ 嬰ヘ短調 BWV910

J.S.バッハ/トッカータ 嬰ヘ短調 BWV910

ワイマール宮廷オルガニスト/楽師長の職を退き、ケーテン宮廷楽長に就任した後の1717年の作品とされる。32歳のバッハは作曲活動も精力的に行ない、多くの曲を書き上げた。

深遠で哲学的な精神世界にあるこの曲は5つの部分で構成される。
愛いをおびた幻想的な導入。
穏やかな悲しみをたたえながら言葉を紡ぐ緩徐部。
エネルギーをもった下降のテーマに現実を突きつけられる第1フーガ。
束の間の夢を見る、救いの推

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J.S.バッハ/トリオ・ソナタ第4番 BWV528 ホ短調

J.S.バッハ/トリオ・ソナタ第4番 BWV528 ホ短調

昨年、地元でのパイプオルガンでのオルガン講座に応募し、半年間レッスンを受けました。

大好きなバッハがイメージした響きやスケール感、音色などを耳と心で体感的に学びたかったのでとても良い経験となりました。

第2楽章

1730年、J.S.バッハ45歳の作品です。
この頃彼はドイツの市や教会で音楽に携わる重要な役職についており、教会音楽を中心に幅広い創作活動を行なっていました。

トリオ・ソナタは通

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プーランク/ナゼルの夜会

プーランク/ナゼルの夜会

性格小品集といえるでしょう。各曲の登場人物の特徴や言動に思いを巡らせるのがとても楽しい作品です。

前奏曲
カデンツ
変奏曲
1. 気品の極み
2. 手の上の心臓
3. 豪放と慎重
4. 思考の一貫性
5. 口車の魅力
6. 自己満足
7. 不幸の味
8. 老いの警報
カデンツ
フィナーレ

1930年に始まったスケッチから6年、37歳の時に完成した作品。
フランスのナゼルに住んでい

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スクリャービン/ワルツ Op.38 変イ長調

スクリャービン/ワルツ Op.38 変イ長調

近代ロシアの作曲家であるスクリャービンは、神秘主義(神秘を直接体験することで神や究極の真理、宇宙の本質などを把握しようとする考え方)に強い影響を受けた人物である。

この曲はロシア国内で社会主義が高揚しつつあった1903年、31歳の時に書かれた。
この年はモスクワ音楽院でのピアノ教授を辞職し作曲に専念することを決意した翌年であるため、非常に多作だ。
そして様々な思想をもつ詩人や批評家たちと交流を深

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J.S.バッハ/トッカータ BWV914 ホ短調

J.S.バッハ/トッカータ BWV914 ホ短調

バッハの音楽がもつ孤高とその中にある人間的あたたかさ、凛とした佇まい。
そこに「新しさ」への意欲と情熱が注ぎ込まれた本作はとても魅力的だ。

1707年、バッハが22歳の時に作曲したといわれており、現在おなじみのオルガン曲「トッカータとフーガ BWV565 ニ短調」と同時期の作品である。

18歳の時に当時最新のオルガンを保有していたアルンシュタットの教会で初めてオルガニストになったバッハは名高い

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