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映画「LAMB/ラム」観ました

「LAMB/ラム」観ました。

話がわかりにくい、
単調である事に関しては
「それがヨーロッパ映画の特徴だから・・」
で納得できる部分が実はあります。

フランス映画にしろ、
フィンランド映画にしろ、
ポルトガル映画(例えばオリベイラ監督の)にしろ、
ホラーでなくてもヨーロッパ映画は
淡々とした日常を描き、
その詩の様な世界観の中から
「視聴者にそれぞれ解釈をして欲しい」
と望む作品が多いです
(ハリウッドだと却下される様なノリです)。

オリベイラ監督のポルトガル映画

そういう点も含めて、
暖炉の前で難解な詩を朗読し、愛せる
ヨーロッパならでは
の作品なのだと思います。

要するに
ヨーロッパ映画とは、古い文学色が強く、
そこが良いのです。

さて、
私はこの作品は
[ままならない現実]
を描きたかったのかな?と思いました。

「日々は続いていく。
でも、人生とは様々な事がままならない。
それがただ現実・・」

そんな
人生そのもの
を描きたかったのかな?と。

兄が突然訪れて来て、
本ストーリー展開に特に意味を成さず
去っていく演出などは、
まさにこの作品が
怪異よりも、日常
(綺麗ではいられない濁った人間模様も含めて)
を描きたかったのだと(個人的には)感じた訳です。

フランス映画もそうですが、
決してヒーローではない、
ヴィランでもない
等身大の人間(ろくでなし)達の[気だるい関係]を描くのが
ヨーロッパ作品の特徴でもあります。

フランス映画「世界でいちばん不運で幸せな私」

銃で羊を撃つシーンや、
ラストで銃が使われるシーンは

「この世は、あらゆるものが
誰かのエゴで振り回されている・・
そして、それは突如訪れ、無慈悲だ」

というメッセージを感じるので
私は好きです。

とはいえ
同じく難解なホラーである
「ダーク・アンド・ウィケッド」
「ライトハウス」ほど
VANITASを強調するシーンも無いので、
とにかく[強烈なわかりにくさ]があるのは確かです。

なので、いっそ最初から
ホラーとしてではなく「幸福なラザロ」などの
[詩の様なヨーロッパ映画]として観れば、
確かにエンディング曲の
ヘンデル「サラバンド」の格調とも合う
素敵な作品であったと思います。

最近は、この映画について、
様々な考察が飛び交っていて、
【キリスト教的意味が深い作品である】
という説が有力です。
私は北欧系のキリスト教は専門外なので
(南欧系のキリスト教が専門)、
キリスト教的な意味については、
ぜひ、他の方の考察も参考にして下さいね。


余談ですが、
個人的には、アイスランドの自然が
とても興味深いです。
南米とは全く異なる
あの灰色の厳しい寒さの中で、
一体どんな海中の棘皮類が、地中の環形類が、
耐え忍び、生息しているのか?

アイスランドの文化や自然を堪能できる映画は
ホラーではないですが、他にも
「ザ・ディープ」「湿地」などがありますね。

良かったら、アイスランドの世界を堪能する為に、
こちらの作品もいかがでしょうか?

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