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「ダーク・アンド・ウィケッド」観ました

「ダーク・アンド・ウィケッド」好きな作品でした♪

聖書で書かれる忌まわしい部分
絵にした様な映画。

あと、家族の絆を書く映画がある様に、
近年は家族の呪縛を書く映画が
流行りなのかもしれません。

綺麗毎で見過ごされていた
[影の部分]に光を当てるのは良い事だと思います。
「へレディタリー」「レリック」「ミッドサマー」
歪な家族の絆や、歪んだ血の絆がテーマですからね。

それにしても、
この「ダーク・アンド・ウィケッド」は、
忌まわしい表現なら秀逸な作品だと思います。

夜に光が無かった聖書の時代・・
謎の獣に羊達が殺されたり、
肉を喰らうヒツジバエ(Oestridae)による悍ましい疫病が流行ったり、
今よりもずっと
[世界の忌まわしさ]
に触れた時代だったと思います。
悪魔というのは
[世界のあらゆる忌まわしさ]
の象徴
ですから。

だからメル・ギブソンの
「パッション」でも表現されていた様な、
死んだ山羊に湧く蛆虫の様な
[虚栄]VANITASという芸術がある訳で。

しかし、現代の日本やアメリカで
VANITASの表現が徹底的に廃れたのは、
光により影を滅する事・・
すなわち
[虚栄]こそを徹底的に否定する事
に、ここ200年ほど文明人達が
躍起になっていたからかもしれません。

人々は死んだ山羊に湧く大漁の悪霊の蛆よりも
「サウスパーク」の様に、
コンクリートの中での
冷笑的で反宗教的な知性による
笑いの絶えない空間
[救い]を求めていた。

ところが近年、
その[健全な冷笑]とやらも偽りだったのではないか?
という疑惑と共に、
再び宗教的表現に脚光が当てられている様な気がします。

あと、蛇足ですが、
最近の映画は悪魔の出番が多いのですが、
日本人は[悪魔]というと、アメコミや漫画などの影響で、
コミカルでマッチョな雰囲気を
連想してしまう様になってしまっているので(笑)
[悪魔]という訳は間違ってなくても、
[悪霊]と訳した方が
聖書文明圏の感覚には近いのではないか?
と思いました。


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