詩「ソラヌム・アトロプレプレウムの栄光」
「ソラヌム・アトロプレプレウムの栄光」
黒実 音子
◇
荒れ果てた牧草地の中、
周囲に馴染まぬ異様性を放つ
毒草ソラヌム・アトロプレプレウムの栄光。
ひと際、背が高く、
直立し、
茎も葉も鋭い棘だらけ。
ああ、偉大なるドン・ソラヌム!!
お前は、
牧草地の孤児。
死んだ牛の墓標。
ネゲブの荒野の花。
孤独で冷酷なこの茄子に、
おお、主よ!!
哀れみを。
それは祝福された草本から
遠方に置いていかれた歪な・・
見捨てられた醜さである。
あるいは、
あらゆる古代の天使達の栄光から
最も後回しにされた骨。
ああ、遥か太古に終わってしまった
ミサ・プロラツィオーヌムの、
最早存在しない
刳り抜かれた栄光の残痕を、
この異質な茄子は
放線し続けている。
その存在しない無は、
周囲が型どる[有機の輪郭]によって、
今でもその存在を知る事が出来る。
おお、
茄子の足下にある泥濘・・
その泥濘に虫が嵌り、
息絶え、動かなくなる、
その
[命と死体の境目]
に流れる聖歌(イムヌス)よ。
その[命と死体の境目]を探して
聖ヤコブは殉教し、
そこで見た。
ああ、沢山のイタヤ貝の骨・・
ああ、磔刑のキリストの
額から流れた血・・
その血を吸った荊の冠(コロナ・デ・エスピナス)にも似た
荒れ地の墓の棘・・
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