見出し画像

さて、古典やラテン文学の話でもしましょうか・・

こんにちは。
「墓の魚」の作曲家です。

楽団
「墓の魚 PEZ DE TUMBA」の映画の様な
配信コンサート動画
600人以上の方達に観ていただけました。
ありがとうございます!!


簡易的な宣伝動画はこちら↓↓


【敗者と墓場の土の香りを嗅ぐ
新しいラテン音楽が登場!!】


というキャッチフレーズで
私達の音楽を宣伝していますが、
これについては、
こちらの記事をぜひ参照していただけますと嬉しいです。

私達の音楽のテーマは
[海に浮かんだ魚の屍を見て感じる
人生の虚しさ、魂の孤独]

です。

港に打ち捨てられたフジツボの葬儀・・

いつまでも起きないキリスト・・

腐肉の中に住む細菌・・

人生は納骨堂の中で見る夢かも知れない・・・

スペイン南米幻想の中で生まれた
皮肉屋の道化師達が、
独特のラテン哲学(マジックリアリズム)を
オペラフラメンコ道化芝居などで歌います。

「墓の魚」オーケストラ

若い頃より、
スペイン・ポルトガル文学
古典
スペイン史
(細菌)医学
生物(細菌)学
キリスト神学
などを趣味で学んで来た作曲家が
貧困の生活の中から、
人間への辛辣な風刺を込めて作り出す
マニアックで独自なラテン詩こそが
「墓の魚」作品の中心です。

作曲家の描く[蛾の魔女]ポリリャ・デ・クルパ

西洋古典の「蛆虫」の部分(虚栄)を追求し、
オリジナル作品を作る「蛆虫の作曲家」による
映像の世界。

蛆虫の作曲家・黒実音子(クロミ ネコ)


さて、今回、配信の宣伝も兼ねて、
その「墓の魚」が影響を受けた作家達を、
簡単に少し説明していきたいと思います。

基本的なラテン用語については、
こちらも参照して下さいね↓↓↓


「シェイクスピア」と「墓の魚」
英国の劇作家。
何が面白いのか?というのは人それぞれですが、
私は「シェイクスピア」は、
洗練された文章(言い回し、諧謔の台詞)
を楽しむものだと思っています。
言葉で紡がれるユーモアがとにかく面白い。
さらに、人間の嫉妬や憎悪などの
[暗闇の領域]
にライトを当てたストーリーの作り方も
際立っています。
劇中の墓地のシャレコウベとのやり取りなど、
メメントモリ(墓場の哲学)の基本でもありますしね。
このシェイクスピアと、
イタリアの道化芝居コメディア・デラルテ、
スペインの道化芝居コメディア・デ・サントス
などから「墓の魚」の
演劇[Los nematodos(ロス ネマトドス)]
は生まれました。

「ジャン・ボードリヤール」と「墓の魚」
フランスの哲学者。
彼の著書「象徴交換と死」は、
哲学者、思想家の彼が、
現代社会に対する様々な問題を論じた本ですが、
これを専門書だと思って挑むサラリーマンや勉強家達が
「なんて難解だ!!」
と挫折する訳です。
実態は難解なのではなく、
詩の様な自由な表現で書かれている為、
そもそも詩を読まない人達には解釈、分析しにくい・・
というのが実際の所だと思います
(パソコンを「ガラスの棺桶」などと表現する世界なので)。
詩として、その技巧的な表現の仕方を楽しみ、
そこに隠された学問の意味を読み取る・・
事が正しい楽しみ方だと思いますし、
そもそも[詩の楽しみ方]とはそういうものです。
ある種の[難解さ]というのは、
そう身構えるものではないのです
(適当に楽しみ、都合良い部分を養分にすればいい)。

「ゴンゴラ」と「墓の魚」
スペインの詩人。
ある程度、古典や、言葉の知識を持たないとわからない
暗号の様な、隠語の様な単語を多用した詩を作る詩人で、
彼の独自の詩の技法は
ゴンゴリスモと呼ばれる様になりました
(例えば「コバンザメ」という言葉が詩に出て来たら、
コバンザメが昔の時代では
[船乗り達の幸運の印だった]
という事を知っていないと、
その詩の意味が読みされない・・
という類の事がある訳です)。
つまり、彼の難解詩に隠された暗号を解くには、
ギリシャ文化の知識や、
古典への造詣が無ければならなかったのですが、
むしろ、そういう暗号を解くのが大好きな層には
たまらない詩人な訳で、
「芸術というものが一般の大衆向けだけでなく、
知識人達の為にあってもいいじゃないか?」
という試みをしてくれた作家だと思っています。
実は「墓の魚」の詩も、
ゴンゴリスモを使用している現代では珍しい作品なのです。

「ホドロフスキー」と「墓の魚」
チリの映画監督。
南米文学や、南米の映画監督に多い
マジックリアリズム~メメントモリ的な作品を作る監督さんで、
ホドロフスキー作品に感動した方は、
南米文学や詩にもハマる可能性が高いので、
ぜひ、挑戦してみて欲しいです。
要するに彼は、南米の詩の様な映画を作るという
貴重な映画監督さんの一人なのです。

「ロドリゴ・アラガオン」と「墓の魚」
ブラジルのホラー映画監督。
これはグロいB級ゾンビホラーが苦手な人は
観ない方がいいでしょう(笑)
しかし、彼の作品は
ラテン独特の世界観に満ちています。
貧しい漁村、
死んで腐った魚、
腐肉と命の末路、
素朴で荒々しいラテン大衆の生活・・
そうした中で死肉が起き上がり、
生者を襲う物語は、まるで象徴詩の様です。
B級のチープなホラー演出だからこそ、
彼の作品は古めかしいラテンの生活感
に満ちているのです。
このラテン諸国の貧しい生活感や、
死んだ魚から感じる[この世の虚しさ]は、
「墓の魚」の世界観とも共通点があります。
生々しい生と死の表現は、
「スペイン文化から始まる南米文化が内包している
マジックリアリズム的な魂の感覚である・・」
とも言えるかもしれません。

「クラリン(レオポルド・アラス)」と「墓の魚」
辛辣な風刺と皮肉を書くスペインの小説家。
エンタティーメントに走る事なく、
純度の高い皮肉とユーモアを淡々と書く事において、
彼を超える者はなかなかいません。
逆にエンタティーメント
(盛り上がったり、感動したり、
ドキドキハラハラがあったりする事)
慣れしてしまっているアメリカ人や日本人には
クラリンの作品に限らず、
詩の様なスペイン、ポルトガルの短編が
宗教的で退屈だと感じる人が多いかもしれません。
上記の理由から
日本ではほとんど知られていない作家ですが、
スペインでは超有名作家です。
「墓の魚」の作曲家が
多大な影響を受けた作家の一人です。
日本語で読める作品では
「私の葬儀」
「鰯の埋葬」
がお薦めです。

「カステラオ」と「墓の魚」
スペインの中でも、ガリシア地方の作家で、
政治家でもあります。
スペインの中央主義
(スペインの代表言語であるカスティーリャ語を中心とした
中央文化を軸に政治を動かす考え)
に反発した地方主義
(ガリシア地方、カタルーニャ地方、バスク地方などで
それぞれ異なるスペイン語や独自の文化があるので、
それぞれの地域で政治を行いたいという考え)
の活動家で、
政治色の強いユーモア作品を書きます。
日本で翻訳されている作品がほとんどないので、
お薦めしにくいです。

「アレホ・カルペンティエル」と「墓の魚」
キューバの小説家。
マジックリアリズムの作家で、
白昼夢を見ている様な[読者を迷子にさせる文体]
(音楽で言うと対位法やフーガの様な・・)
で、現実世界の魂の痛みや、
キリスト教信仰心を描きます。
あまりに世界がナイフの様に鋭すぎる為、
深夜に脇腹を刺され、
戸口を叩く思想家(革命家)達の物語は、
「墓の魚」の主題テーマでもありますが、
人工的で、平和な無菌室の中で囲われて、
夢見て生きる現代日本人には、
彼らの血の叫びは、最も理解しにくい分野なのではないか?
とも思います。

「ラウル・ブランダン」と「墓の魚」
ポルトガルの作家。
劇や小説で活動し、
非常に政治的で、諧謔を込めた作品を書きます。
作風は非常に演劇的で、
リアリティよりも、ストーリー性よりも、
台詞に込められた政治風刺、人間風刺が重視される
純度の高い不条理演劇的な展開をする小説を書く訳です。
こうしたエンタティーメント性を無視し、
台詞(文体や対話)だけを純粋に楽しむ作風こそが
ラテン文学や「墓の魚」作品の特徴でもあるのです。


「墓の魚」配信は、メメントモリの他にも
こんなキーワードが隠されています。

殺された気高さ、
受難の栄光【グロリア・パッシオニス】・・

この世のあらゆる苦しみは楽園の道へ続いている。
あるいは、
難関、絶望の中でこそ、
私達は魂の本質が問われる為、
それこそを受け入れ、
絶望の時こそキリスト者として
進んでいく事が信仰である
というキリスト教的な思考。
平和時にだけ綺麗毎を言い、
絶望の時に挫折してしまうのは、本質ではない・・
という話ですね。
形を成す事は、それ自体苦しみなのだから、
それを否定する事は、己の人生を否定する事になる為、
繁栄も、滅びも、喪失も、受け入れよ・・
という感覚でもあります。

貧者の魂【ラメ・ジュ・ポウヴ】・・
貧困の者達が語る皮肉や、
神への愚痴こそが芸術である
という感覚。
貧者というよりは、
虐げられた者、弱い立場の者は、
恵まれた者よりも、世界の真実を見る。
真相に触れる。
だから、芸術とは、時として
迫害された者達の血の叫びから生まれるのです。

港に打ち上げられた褐藻の死骸【カダヴェル・デ・アルガス】・・
いわゆる財宝や果物の中に置かれた髑髏・・
つまり
「どんな命も、繁栄も、
必ず朽ちる事がある事を忘れるな・・」
という警句であり、
この世の虚しさを感じさせる表現です。
まさにヴァニタス(虚栄)の基本ですね。

いかがでしたでしょうか?

人間の魂の救済を、
朽ちたキリスト像の姿から浮かび上がらせる
細菌と、ミサと、詩と、墓
の映像オペラを、ぜひ配信動画でご堪能下さい。

配信コンサートこちらで観れます!!↓↓↓

インスタグラムでは、
作曲家の写真による詩画集を投稿しております↓↓



◇◇◇公式サイト◇◇◇
https://site-1295095-2445-4622.mystrikingly.com/

◇◇◇「墓の魚」の文学◇◇◇
https://site-1295095-2854-4213.mystrikingly.com/

◇◇◇「墓の魚」の詩◇◇◇
https://site-1295095-6020-8501.mystrikingly.com/

◇◇◇「墓の魚」の音楽◇◇◇
https://www.youtube.com/user/pescado666cristo/videos

◇◇◇Twitter◇◇◇
https://twitter.com/polilla_de_fe

この記事が参加している募集

#休日のすごし方

54,342件

#今日の短歌

39,743件

自作の詩による詩集「沼地の聖書」(ハードカバーによる分厚い豪華本を予定)を出版する為のサポートを募集しております。ぜひ、よろしくお願いします!!いただいたサポートは詩集の費用にさせていただきます。