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「後継経営者には泥臭い仕事もできる方をお願いしたい」採用相談のウラ側のはなし。

ペルソナの鳴海です。

事業承継にむけた、中小企業の後継経営者候補の採用相談が増えています。

先日、“事業承継フォーラム ~大廃業時代に求められる金融機関の役割とは~”というセミナーに参加し、話を伺ってきたのですが、大廃業時代というのも決して誇張した表現ではないと感じました。

全国の中小企業で後継経営者が不足していることは以前書いたこちらの記事でも触れたとおり、中小企業にとっては待ったなしの課題になっていると感じます。

この課題を解決できれば中小企業の経営から日本経済は明るくなっていくとも感じています。
一つずつのご縁をつくることで、中小企業が活性化し、微力ながら経済が明るくなっていく流れを加速させていきたいと思っています。

今回は、人材紹介コンサルタントとして感じた後継経営者探しの難しさを「泥臭い仕事」を通じて考えていきたいと思います。


「泥臭い仕事ができること」は中小企業 後継経営者の必須要件


「泥臭い仕事もできる方ですか?」

経歴書からは読み取ることが難しいため、後継経営者候補を企業にご紹介する際に質問をされることが多くあります。

後継経営者への転職を希望する候補者様から「泥臭い仕事はできません」という回答がくることはまずありません。

そのため、いくつかの質問を通じて、中小企業の泥臭い仕事を行っていただけるかを見極め、下記のようなコメントとともにご紹介をするようにしています。

〇〇〇という経験をされていて、中小企業の経営者として
泥臭いお仕事も含め、お任せできる方と感じ、ご紹介をいたします。

最近のご相談では、経営経験は必須としないというご相談もある一方で、”泥臭い仕事”に向き合えることは、採用する企業がとても大事にしている必須の要件だと思います。

必須要件ともいえる泥臭い仕事ですが、業界、業種、規模感などが様々な中小企業と向き合うと、企業ごとの多種多様な”泥臭い仕事”があることが見えてきます。

コンサル泣かせな泥臭い仕事。すり合わせは難しい


「泥臭い仕事ができる方をお願いしたい」という要望はあるのですが、
お打ち合わせの中で、その仕事が何かを正確に言語化していただけることはほとんどありません。

採用要件のお打ち合わせで質問を重ねていくと、

”経営者として営業活動をひっぱること”
”社内外の資料をゼロから自分でつくること”
”採用活動をご自身で動かせること”

などが”泥臭い仕事”としてあがることがあります。

ただ、こういった例はまだわかりやすい泥臭い仕事で、実例をあげていくと、さらに細かい職務だったり、他企業では発生しないと思える仕事があったりもします。

経営者として”こういったこともしてくれないと困る”ということが
”泥臭い仕事”として企業ごとに定義をされています。

”手を動かせること”と表現をされるケースも多いのですが、
中小企業においては、拾われない、拾うことをためらってしまう仕事に対して、自ら行動をとれるという意味で、”泥臭い仕事ができること”という表現がしっくりきます。

泥臭いコンフォートゾーンには要注意


泥臭い仕事は必要とされますが、経営者が”会社の何でも屋”になって欲しいわけではありません。

中小企業の後継経営者として、これからの経営を円滑にすすめる土台をつくるため、”泥臭い仕事”を引き受け、解決していけるかが大事なポイントです。

上記の営業活動や採用など、緊急性が高い課題に対して一時的に経営者が向き合う必要があります。また、中小企業の経営者はプレイヤーとして動くことも必要です。

ただし、いつまでも”泥臭い仕事”を片づけることが仕事の大半を占めているとしたら、現状を見つめなおした方が良い時期です。
ご自身としてはやりがいを感じているが、経営者として企業成長を推進できていないという状況になっている可能性があります。

”泥臭い仕事”を通じ、たしかに企業に貢献をしているのですが、
経営者に求められる仕事や期待は、さらにその先にあります。

着任当初に”泥臭い仕事”を通じ、現場で自ら手を動かし、企業を引っ張っていることで周囲からの信頼を勝ち得ることができます。

やりがいを感じながら課題を解決している時は、充実していると思いますし、経営者として責任感を持ちながら、ある意味では快適な仕事環境となっているかもしれません。

しかし、そういった仕事だけが後継経営者に期待される役割ではありません。

後継経営者に期待される泥臭い仕事の先にある役割


”泥臭い仕事”は後継経営者に期待される役割の一つです。

上記のとおり、仕事を通じて信頼を勝ち得ることができますし、企業や組織の理解を深めることができます。

このステップを踏まないで、新参者の経営者としてトップダウンで指示を出したとしても、社員との距離感が開く一方で経営がうまくいかなくなるのではないでしょうか。

”泥臭い仕事”は、そういった意味では後継経営者にとって必要なステップと言えます。

それではこのステップを経た後には、どのようなことが期待されるのでしょうか。

中小企業の後継経営者には、企業を成長させるために企業の状況を変える役割が求められると私は考えています。
経営者として売上・利益を追い求め、企業を成長させるために、中小企業の経営や組織のあり方をかえることが必要です。

泥臭い仕事が企業の成長のきっかけをつくる


信頼を勝ち取ったのちに求められるのは、企業の当たり前を変えていく役割です。

これまでは誰かが拾ってくれた仕事を仕組み化する、
属人化した業務をマニュアルにまとめていく、など中小企業のそれまでの当たり前に行っていることを変えていくといった役割です。

企業を成長をさせていくために、変えるべきことを見極め、実行していくことが経営者には求められます。

経営者として大きな改革を一気に手掛けたいと考える方は多いと思いますが、着任した企業では当たり前だと思っていた仕事のやり方、進め方を少しずつ変えていくことが必要です。

例えば、ここ数年のデジタルトランスフォーメンション(DX)の重要性が高まっていますが、企業ごとに求められるDXのカタチがあると思います。他社の成功事例を自社に無理やりインストールしても上手くいくことはありません。

”泥臭い仕事”から見えてきた企業のリアルな状況から、業務の一部をデジタル化する、社員が活用しやすいデジタルインフラ環境を整備するなど、今までの当たり前を少しずつ変えることが求められます。

この当たり前を変えることの積み重ねが、企業のあり方を変え、さらには企業の成長につながります。

採用のウラ側。後継経営者としてお迎えしたい人材とは?


ここまで後継経営者には”泥臭い仕事”を経て、企業を変えていくことが求められる、とお伝えしました。

私はこの流れが非常に大事だと考えています。

選考面接では企業から以下のようなフィードバックをいただくことがあります。

「経営経験はあるけど、泥臭い仕事は苦手にみえる」
「泥臭い仕事は任せられそうだけど、経営全体をみるイメージが持てない」「社員との対話がイメージできない」

選考において、教科書的な綺麗な経営戦略を描き、経営者としての意思を明確に示すことは大事なことだと思います。

しかし、まずは企業のこと、組織のこと、社員のことを見る、知るという姿勢は必要です。教科書的な正解が正解とは限りません。

また、「泥臭い仕事は得意です」アピールのみで終わってしまい経営についての考え、ご自身の意向を伝えられないまま面接が終わってしまう方もいらっしゃいます。(「良い人なのですが、現場の視点が強いですね…」と)

十分なビジネス経験をお持ちの上で、後継経営者には泥臭く仕事ができ、経営を俯瞰的にみることできることが必要だと思います。

どちらか一方だけではなく、どちらも持ち合わせている方が経営者としてお迎えしたい人材として新たなスタートをきっています。

微力ながら、中小企業の課題に向き合います。


中小企業の後継経営者不足の課題を採用面から解決し、少しでも日本が明るくなるお手伝いができればと思っております。

この記事を通じて、現場の泥臭い仕事と経営をつなげること、その手腕が後継経営者として求められることを意識していただき、中小企業の後継経営者という仕事に興味をもっていただきければうれしいです。

ペルソナ株式会社
執行役員 鳴海幸仁

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