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haru drumを愛でる会 in TOKYO 20210329

「なんか料理番組見てるみたいな感じです」
つっちーさんのチューニング風景を見ていて、思わずそうこぼれた。
去る2021年3月29日、東京・吉祥寺にある江戸前レコーディングスにて開催された「haru drumを愛でる会 in TOKYO」の模様をお届けします。

1:「haru drum」について

最初に「haru drum」について、簡単にご説明します。

haru drumとは、愛知県・名古屋市を中心に活躍しているドラマー・春日井直人さんが2020年に設立したドラムブランド。
主にシングルテンションのパンケーキスネアドラムを製作・販売している。
かわいいと評判のシェルカラーは自ら調合および塗装している。

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これまでに
2020年8月:京都ワタナベ楽器店にて試奏会開催、取扱開始
2020年12月:スネア女子~SNARE GIRL~第18弾『haru drum』編に登場

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本文はharu drum宣伝担当、ミズノがお送りいたします。

2:haru drumを愛でる会 in TOKYO 20210329本編

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春日井さんより、haru drumのコンセプトやパンケーキスネアを作ろうと思ったきっかけの話からスタート。持ち運びやすく使いやすいタイコが欲しいと思っていたが、コロナ禍でまとまった時間ができたため、使っていないタムを切り、手持ちのパーツを組み合わせて0号機を製作したこと。知人ドラマーらにスネアドラムを持ち寄って集まった際に見てもらい、思いのほか高評価であったため、量産しようと決めたことなど。

ここで、この日の参加者をご紹介。
春日井直人さん(ドラマー、haru drum製作者)
・鹿間朋之さん(レコーディングエンジニア Ex.江戸前レコーディングス
土田嘉範さん(ドラムテック)
スズキトシオさん(文筆家、ドラマー)
伊藤嵩さん(ドラマー)
桃井裕範さん(ドラマー)
丸谷茜さん(ドラマー)
ミズノアキコ(アマチュア打楽器奏者、haru drum宣伝担当)

そして、この日のハイライトともいえる、ドラムテック土田さん(以下つっちーさん)による、料理番組さながらのチューニング考察がスタート。

*動画の音声について、楽器の音以外が聞こえにくい仕様となっています

【ハイピッチ】

haru drumの特徴のひとつは、上下のヘッドを一本のボルトで留めているシングルテンション仕様ですが、昔のパンケーキスネアのボルト部分の構造についてのお話がありました。

【ローピッチその1】

ローピッチにすると、100年前の軍楽隊を彷彿させるような、フィールドドラムのような音になるとわかり、その音に一同驚愕。
また、ローピッチの場合、スナッピーの調整でゲートタイムが変わるということを実演付きで見せていただきました。
ローでも音が早い(=スナッピーの反応速度が早い)ので、パンケーキスネアの一番の特徴である「薄さ」が如実に出ることが判明。
ちなみに、haru drumのパンケーキスネアは深さ2.3インチと極薄!

【ローピッチその2】

先のローピッチから4カ所のみを締めてチューニング。
つっちーさんが「オーバーハイム!」と、思わずドラムマシンの名前でおっしゃったのですが、ダフトパンクもいけそうなサウンドに。
チューニングテクニックとして、全部均等に張るのではなく、今回のように一部だけ締めるワザを教えてくださいました。

【ミディアムロー】

ミディアムローでは、ミュートなしで、裏のプレッシャーを変えることで倍音が出てきて、工場のようなすごい音が。
ミュートを付けたサウンドは、長さの違いでサウンドが変わることも実演にて判明。AORっぽい音がするとのつっちーさん評。

【ハイピッチ】

約15分におよぶつっちーさんの料理番組的なチューニング考察の後、セミナーのような雰囲気で、アメリカのドラムショップの話からパンケーキスネアが登場した歴史的背景など、いろんな話を聞かせてくださいました。
その後、haru drumのパンケーキスネアに対するアドバイスと評価をいただく流れに。つっちーさんがスネア見てくださいと言われるとき、どういう基準でその楽器を見るかという説明をしてくださった上で、100点満点中での評価。点数だけだと厳しく聞こえるけれど、ブティックメーカーで、それも個人で作っている場合、これだけの点数を出せるのはなかなかないという、お褒めの言葉をいただけました。
アドバイスとして、パーツの改善点やエッジの削り方など、とても丁寧かつ具体的なアイデアをいただくことができました。
「いつかこのスネアが東京ドームをシェイクする日がきたら最高だよね」と、すてきなお言葉をいただくことができ、とても胸が熱くなりました。

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他の参加者の皆さんの試奏風景もご紹介。

【丸谷茜さん試奏動画】

使用楽器:haru drum No.14 Tsutsuji (丸谷さんお買い上げ)

【スズキトシオさん試奏動画】

使用楽器:haru drum No.16 Seiran (スズキさんお買い上げ)
鹿間さんからの要望もあり製作した5インチのプロトタイプです。

【伊藤嵩さん試奏動画】

使用楽器:haru drum No.12 Kokihanada
                  haru drum No.16 Seiran
パンケーキスネアと5インチ、それぞれのサウンドの違いにご注目!

【春日井直人さん試奏動画】

前述の通り、シングルテンション仕様という特殊なスペックの楽器ですが、春日井さん本人のイメージ以上に、チューニングレンジも広く、ポテンシャルのある楽器であることが、つっちーさんや伊藤さんによるチューニング考察により明らかになりました。いただいたアドバイスを基に改善されたら、つっちーさんの仰った「1台あればいいスネア」に近づく可能性を秘めているとわかり、今後の改良に期待が高まりました。

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最後に記念撮影。
残念ながら、桃井さんと土田さんが都合により途中までとなったため、参加者全員となりませんでしたが、ご購入いただいたスネアと一緒にパシャリ。
約4時間の長く、楽しい、濃厚な時間が幕を閉じました。

後日、参加者の皆さまにアンケートをお願いしました。
回答を一部抜粋にて掲載します。設問は以下の通り。
1.haru drum(のパンケーキスネア)を知ったきっかけ
2.実機に触れた時の感想、印象について
3.よい点と改善点など、お気づきになられた事
4.haru drumに今後期待すること、製作者・春日井さんへのメッセージ等

【鹿間朋之さん】
1.ミズノさんのツイートでしょうか
2.とにかくレンジ(チューニングレンジとかでなく、オーディオ特性的な 意味で)広い
3.色のオーダーシステムを導入する
4.売れてきたからチェーン店化するラーメン屋みたいにならないこと(笑)
【土田嘉範さん】
1.存在を知ったのはSNSですね。
2.まずとてもキュートなルックスと明るいサウンドが印象的でした。
3.片締めという構造ですが、ボトム側の固定をもっとしっかりしていただけたら、かなり使いやすいものになると思います。
4.昨今、日本の楽器界でも個人制作や工房からのブティック・メーカーが 多数出てきていて、大手では出来ない個性的な楽器を作っている中、こういったキュートな楽器はなかなか出てこなかったので、とてもいいと思います。 個人で作って販売ってのはかなり大変だと思いますので、「消費されない」楽器を作っていただけたら良いなと思います。改良版、とても楽しみにしております。
【スズキトシオさん】
1.当日まで知りませんでした。
2.今までに聴いたことない音!というのが第一印象です。
「カーン」と「コン」のバランスが自分好みでした。
3.上記で答えた第一印象が良い点です。
4.意見を受け入れすぎて最大公約数的なスネアにならないでいてくれたらうれしいです。これからも応援してます!
【伊藤嵩さん】
1.江戸前さんが借りてきたものをスタジオに行った際に触らせて頂いたことがきっかけ。
2.思っていたよりも豊富な倍音があるなと、また色味が素敵でした。
3.チューニングレンジと反応の良さ、倍音豊富さはとても魅力だと思いま す。現場で使う際はやはりボトム側のナットの処理が重要と思います。
4.既に豊富なバリエーションが見えていますが、この調子で実践的かつ実 験的なラインナップが見れることを期待しております!
【桃井裕範さん】
1.江戸前さんでのRECの際、鹿間さんの紹介でした。
2.現在制作中の自分のソロアルバムのレコーディングで使わせて頂きました。コンパクトでありながら薄さからくる物足りなさも無く、とても個性的なスネアだという印象でした。
3.チューニングの安定性に対する不 安がなくなれば、ライブでも心配せずにガンガン使っていけるのではと思います。
4.レコーディングではとても気持ち良く演奏することが出来ました。
また次回叩ける機会を楽しみにしています!
【丸谷茜さん】
1.鹿間さんからのご連絡。
2.鳴りの良さ、チューニングレンジの広さ、塗装・カラーの綺麗さ。
3.音量・チューニングの幅が広く、いい意味で極浅胴ぽさを感じない。
見た目がとても可愛い。パンケーキの特性としてストレイナースイッチに過度な負荷がかけられない点があるが、スナッピーの張りを強くしてもややルーズ気味になるため、エッジの調整などでスナッピーの吸い付きがもう少し高まるとより使いやすいと思った。
4.現行品としてのパンケーキが市場にほとんどなく、これからもっとたくさんの人に知ってもらいたい楽器だと思いました。

3月29日「haru drumを愛でる会 in TOKYO」にご参加いただいた皆さまには、改めて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
この日のことを春日井さんが書いたnoteの記事はこちら

3:愛でる会以降のことと、これからについて

3月29日の愛でる会以降、早くもいろんなことがありました。

【2021年4月】
愛でる会参加者・伊藤嵩さんにご紹介いただき、山野楽器ロックイン新宿にて委託販売が決定。1台目はsold、現在2台目販売中。

【2021年5月】
スネア女子~SNARE GIRL~第19弾『はんなりこども女子編』に登場。
試奏動画は愛でる会参加者・桃井裕範さんによる演奏。

アメリカン・カー&スタイル・マガジン『A-cars[エーカーズ]』6月号に、haru drumのパンケーキスネアの紹介記事が掲載。
愛でる会参加者・スズキトシオさんによる記事。

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【2021年6月】
愛でる会でつっちーさんにアドバイスをいただき、すぐに改良に取り組んだ特注ナットが完成。購入済の皆さまには交換パーツとして送付済。

愛でる会以降、参加者の皆さまを中心に、たくさんの人の手を借りて、少しづつharu drumが多くの人に広まっているのを実感しています。

最後に、春日井さんからのコメントを結びの言葉とさせていただきます。

まさか製作開始から1年ほどで、こんな素晴らしい機会に恵まれるとは思ってもいませんでした。本当に周りにいてくれる皆さまに感謝感謝です。

これから先、規模の大小関わらず、様々な場所でいろんな人の目に留まるよう、もっと発展していくようしっかり続けていきますので、どこかで気にしておいてくれたら嬉しく思います。

春日井直人

4:あとがき

Twitterが産んだ奇跡的なご縁で開催できたといっても過言ではない、そんなイベントであったように思います。
わたしがharu drum No.1 DeepBlueを手にして以降、「パンケーキ」というワードを見るたびにパンケーキスネアについてつぶやくことを繰り返し。江戸前レコーディングス鹿間さんから、スネア女子でぜひ使いたいとオファーをいただき、試奏後とても気に入ってくださり、愛でる会に至りました。
人と人のご縁で成り立った会で、とても素敵な皆さんと素晴らしい時間を享受でき、本当に幸せに思います。

コロナの影響もあり、開催できるのか不安でしたが、すてきな皆さまと、本当に素晴らしい時間を過ごすことができ、本当にしあわせに思います。

今後もharu drumの動向に注目いただき、機会あれば、みて、触れて、愛でていただければ幸いです。

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