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川崎病のはなし(熱+ブツブツ+目と口真っ赤)

川崎病って知ってますか?
もしかしたら「身近で川崎病になった人がいる」って人は
結構いるかも知れません。

お子さんがもし川崎病になったとき、
小児科医はもちろんなのですが、
親御さんが「川崎病かも?」と思えると
早期診断・早期治療に繋がり
結果的に、後遺症を残しにくくなります。

最近も感染流行の中でちょこちょこ見ますので
今日はこの川崎病についてご紹介しますね。

日本で見つかった病気、見つけたのは川崎先生。

初めて報告されたのが1967年。
まだ発見から60年も経っていません。
初めて報告したのが川崎富作先生、だから川崎病。

疾患概念自体が新しいこともあって、
実はまだ正確な原因はわかっていませんが、
流行性もありそうなことから、
何らかの感染をきっかけに全身で炎症が起こるのでは?
と言われています。

典型的な6症状

川崎病は、典型的な6つの症状で診断します。
 ①発
 ②皮膚のブツブツ
 ③の充血
 ④唇や舌の赤み・腫れ
 ⑤手足の赤み・腫れ
 ⑥のリンパ節の腫れ
このうち5個以上があれば即診断。
4つ以下でも、場合によっては不全型と診断して治療します。

川崎病の本態は「血管炎」と言われていて
当然血管は全身にありますので、
全身に症状が出ます。
特にもともとの色が白かったり(白目)赤かったり(唇・舌)すると
血管の炎症に伴う赤みが見えやすいのです。

典型的な症状の出てき方

まずは発熱で始まります。
しかし熱が出たくらいでは、小児科医も保護者さんも慌てません。

でも「風邪かなー」と思いながらみていると
全身にブツブツが出てきます。
しかし感染でブツブツができることも結構多いので
まだなんとも言えません。
しかし小児科医はこのあたりから、
まさか、、川崎病、、じゃないよね?」みたいな感じになってきます。

小さい子の川崎病だと、皮疹の時期に
BCGのハンコ注射の痕の周囲が赤くなります。
これを見ると「こ、これは!?!」ってなります。

そうこうしている間に
目や口、手足も赤くなってきて
を触るとボコッとした大きなリンパ節の塊を触れ
診断に至ります。

ちなみに5歳以上の高年齢でも川崎病になることがありますが、
そういう場合、ブツブツや目・口の症状は目立たないことが多いです。
でも首の腫れだけがやたら派手で
ときに、首を真っ直ぐにできないほどに腫れます。
熱と首の腫れ、となったとき、
リンパ節炎など他の病気のことも多いのですが、
川崎病も疑って、血液検査は必須になります。

川崎病って怖い病気なの?

川崎病の症状は、実は放っておいても勝手に消えます。
「え、じゃぁ別にほっときゃいいじゃん」と思われるかもしれません。
でも、そうじゃないんです。

上で少しお話した通り、
川崎病の本態は「全身の血管炎」です。
そして血管に強い炎症が起きてしまうと、
炎症が収まったあと、血管の壁がザラザラになってしまいます。
場合によっては血管が太くなったり細くなったり。。

これが特に「心臓の周りの血管」で起きるのが嫌なのです。
心臓の周りにある血管を「冠動脈」と呼びますが
この血管が太くなって動脈瘤ができたり、
はたまた狭窄したりすると、
将来的にここが詰まりやすくなります。
そうです、心筋梗塞を起こしやすくなるのです。

冠動脈病変を作らないようにするには
何と言っても早期診断・早期治療が重要です。
早く川崎病の治療を開始し、
なるべく早く血管の炎症を抑え込む。
そして冠動脈病変が出てこないかを、
きっちり治療後も経過観察していくことが重要です。

川崎病の治療

川崎病治療の大黒柱は2つ;
 ①大量免疫グロブリン療法 (IVIg)
 ②アスピリン内服

必要に応じてさらに別の治療を追加することがありますが
何と言ってもまずこの2つです。

IVIgには用いるのは、献血で集めた他人の血液の中から、
特に「抗体」を集めた、いわゆる血液製剤です。
これを多量に投与することで炎症を抑え込むことができます。

アスピリンは、血を固まりにくくする薬ですが、
多めに投与することで、やはり抗炎症効果が期待できます。

上記2剤を用いた基本治療を行えば
約70-90%の症例で炎症をしっかり抑え込むことができます。

しかし一部の症例では抑え込みにくいことがあり
経過から効きにくいことが予想される場合、
最初からステロイドを併用したりすることもあります。

また、初期治療でうまく炎症が抑え込まなかった場合、
IVIgを繰り返したり、別の薬剤を用いたりして
なんとか炎症を抑え込みます。

さらに急性期の炎症をぐっと抑え込めた場合にも、
血管壁に多少のザラつきは必ず起きます。
その血管壁のザラつきによって生まれる乱流のせいで
血の塊ができやすくなってしまいます。
塊が大きくなってどこかに詰まると大変ですので、
治療後2〜3か月はアスピリンを少なめに飲み続けて
血栓予防を行います。

さらにさらに、
心臓の血管・冠動脈に動脈瘤や狭窄が
遅れて出てくることもたまにあります。
その場合にはやはり、血栓予防が必要です。
なので、冠動脈病変が出現してこないか、
治療後5年間に渡って、心臓エコーで経過観察を継続します。

川崎病の早期発見のために

これまでお伝えしてきた通り、
川崎病の影響を後に引きずらないためには、
何と言っても早く見つけて早く治療するのが大事です。

私たち小児科医も、
熱のお子さんが来院されたときは
十中八九、風邪だろうなーとは思っている一方で、
まさか川崎病じゃないよねぇ?と思いながら診療しています。

親御さんも、過度に心配する必要はありませんが、
ブツブツや目・口・舌の赤みや腫れが出てこないか、
熱のたびになんとなく診ていただいて、
これらが揃った場合には早めに小児科受診をするように
していただくと良いかもしれません。

特に!普段の風邪を
内科や耳鼻科の先生に見てもらっている場合、
やはり川崎病の診断機会は小児科医と比べて少ないはずです。
川崎病かも?と少しでも思ったら、
その時だけはぜひ、お近くの小児科医を頼ってみてください

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