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熱中症 ① 〜診断〜

暑い日が続いていますね。連日ニュースでは「熱中症に気をつけましょう!!」と声高に叫ばれていますが、そもそも熱中症って何なのでしょうか?どうやって診断ればいいのでしょうか?また、気をつけるといっても、、、

今回のシリーズではこれらの疑問に答えていきたいと思います。

熱中症はどうやって診断するか?

熱中症ガイドライン2015によると、熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によっておこる状態の総称」で他の熱が上がる疾患(感染症など)を除外したものと定義されています。簡単に言うと、熱いところで調子悪くなった人はすべて熱中症を疑うことになります。

熱射病、熱疲労などいろいろな言い方がありますが、現在日本では救急医療学会の定義に従って、熱中症 I 度、II 度、III 度と表現します

診断はざっくり言うと、

III 度
臓器障害(おしっこが出ない、意識が悪い、血圧が下がるなど)あり

II 度
頭痛、嘔吐、ぼーっとするなど全身に症状が波及

I 度
局所の症状(めまい、こむらがえりなど)

というかんじで、改善傾向のない II 度以上では入院適応を考慮することになります。

「他の疾患を除外すること」の重要性

熱中症診断の重要ポイントは、医療従事者と非医療従事者では異なると考えています。

非医療従事者の場合、とにかく疑うことが最重要になります。(そもそもそうならないように予防することがもっと重要ですが、、、後述しますね)
暑い環境でぐったりしていたら(冬でも!!)熱中症かも、と考える必要があります。「暑い環境」とは、熱に対する個人の耐性によっても異なります。乳幼児や高齢者では、エアコンのない部屋で窓を閉め切って寝ていただけでも熱中症を発症することがありますので、特に乳幼児・高齢者のいる過程では環境温の調整は必須です。

一方で医療従事者は、「他の疾患を除外すること」の重要性を再認識する必要があります。熱中症で動けなくなっているのか?動けなくなった結果環境温にさらされて熱中症になっているのか?動けなくなった原因は何か?などを必ず意識して判断すべきです。熱中症が除外診断(他の診断が全て否定されて始めて診断できる)ということを忘れてはいけません。


【参考文献】
日本救急医学会 『熱中症診療ガイドライン2015』
http://www.jaam.jp/html/info/2015/info-20150413.htm



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小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン