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Contents(下肢の筋)

理学・作業療法士や柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師を目指す学生さんを始めとして、医師・歯科医師を目指す学生さん、そしてすでに現場で働かれている医療従事者の方々にとって筋学は解剖学を学ぶ中でも重要な領域の1つだと考えます。それぞれの領域ごとに筋の起始・停止・作用・神経支配をまとめた表を追加しています。筋の表はただ単にまとめたものではなく、理学・作業療法師、看護師、柔道整復師、鍼灸師、はり師きゅう師、あん摩マッサージ師の過去全ての国試を分析しさらに解剖学の定期試験で問われやすいポイントを赤で表記しています。もはや全試験対応型の「虎の巻」です。まとめの表は知識の整理や試験直前の復習に、また、試験までもう時間がない!という学生さんの大きな味方になってくれるでしょう。
さらにオフラインでも学習できるようにダウンロード用PDFファイルも用意しました。PDFファイルは上肢の筋の説明スライド15枚、下肢の筋に関する国家試験問題と解説(作業・理学療法士、看護師、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ師の過去問から合計91問、ほかに神経支配などの複合問題を32問)、下肢の筋に関する問題集と解説文、筋のまとめを搭載しています。下肢の筋をマスターしたいあなたへ圧倒的な構成内容でお届けします!


下肢帯の筋(腸骨筋、大腰筋、小腰筋)

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下肢の筋では下肢帯の筋群から解説していきます。下肢帯とは脊柱と下肢の骨を繋げる役割を持つ骨で寛骨(腸骨・坐骨・恥骨)でしたね。まずは寛骨前面に存在する腸骨筋、大腰筋、小腰筋の3筋からみていきましょう。これらの筋は全て大腿神経と腰神経叢から起こる直接の筋枝によって支配され、腸骨筋、大腰筋、小腰筋を合わせて腸腰筋と呼び、股関節屈曲と外旋作用を持ちます。

[腸骨筋]は腸骨窩から起始し、大腿骨小転子に停止する筋で股関節の屈曲と外旋作用を持ちます。

[大腰筋]は第12胸椎~第4腰椎椎体・第12胸椎~第5腰椎肋骨突起から起始し大腿骨小転子に停止する筋で、腸骨筋の内側に存在します。大腰筋は腸骨筋と同様、股関節の屈曲と外旋作用を持ちます。

[小腰筋]は第12胸椎・第1腰椎椎体から起始し、大腰筋表面を走行して腸骨筋膜に放散するように停止する筋で腸骨筋膜の緊張や腰椎の側屈作用を持ちます。小腰筋は全ての人に存在する筋ではなく50%以上の人が欠如するという特殊な筋です。

下肢帯の筋(大殿筋、中・小殿筋、大腿筋膜張筋)

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寛骨後面に存在する大殿筋・中殿筋・小殿筋と寛骨側面に存在する大腿筋膜張筋について解説していきます。

[大殿筋]は腸骨翼・仙骨・尾骨から起始し大腿骨殿筋粗面・腸脛靭帯に停止する筋で、大殿筋全体が収縮すると股関節は伸展・外旋し、上部線維が収縮すると外転、下部線維が収縮すると内転します。大殿筋は仙骨神経叢の下殿神経による支配を受けます。

[中殿筋][小殿筋]は腸骨翼から起始し、大腿骨大転子に停止する筋です。筋全体が収縮すると股関節は外転します。また、前部が収縮すると股関節は内旋・屈曲し、後部が収縮すると股関節は外旋・伸展します。中殿筋と小殿筋は仙骨神経叢の上殿神経によって支配されます。

[大腿筋膜張筋]は上前腸骨棘・大腿筋膜から起始し、腸脛靭帯に停止する筋で股関節の外転・屈曲・内旋作用と大腿筋膜を緊張させる作用を持ちます。さらに膝関節に対して伸展作用を持ちます。大腿筋膜張筋は小・中殿筋と同じ仙骨神経叢の上殿神経によって支配されます。

下肢帯の筋(梨状筋、内閉鎖筋、上・下双子筋、大腿方形筋)

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次は寛骨後面に存在する外旋筋群をみていきましょう。外旋筋群は名前の通り股関節の外旋に関わる小さな筋群の総称です。以下の外旋筋は全て仙骨神経叢からの直接の筋枝によって支配されます。

[梨状筋]は仙骨前面から起始し、大腿骨大転子に停止します。梨状筋は股関節の外旋作用の他に股関節の外転・伸展作用を持ちます。梨状筋に関連した重要なポイントとしては、梨状筋上孔と梨状筋下孔を通る構造物です(特に下孔)。梨状筋は大坐骨孔という空間を横切って走行し、梨状筋上孔と梨状筋下孔という2つの空間に分けます。梨状筋上孔を通る構造物は上殿神経と上殿動静脈です。梨状筋下孔を通る構造物は下殿神経、下殿動静脈、坐骨神経、後大腿皮神経、陰部神経、内陰部動静脈です。試験的には梨状筋下孔を通る構造物が問われることが多いので、しっかり覚えていきましょう!

[内閉鎖筋]は骨盤内面の閉鎖膜から起始し、大腿骨転子窩に停止します。内閉鎖筋の停止部は白い腱状になっており、停止腱の上には上双子筋が、下には下双子筋が並んで走行します。内閉鎖筋は股関節の外旋作用の他に、股関節の内転・伸展作用を持ちます。

双子筋は[上双子筋][下双子筋]が存在し、上双子筋は坐骨棘から、下双子筋は坐骨結節から起始し、共に大腿骨転子窩に停止します。上・下双子筋は股関節の外旋作用の他に、股関節の内転・伸展作用を持ちます。内閉鎖筋と同じ作用ですね。

[大腿方形筋]は坐骨結節から起始し、転子間稜に停止します。股関節の外旋作用の他に、股関節の内転作用を持ちます。

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