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読書 #1 「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」鴨志田穰


「ビールは漢方薬の味がするから無理」なんて言ってた頃が懐かしい。酒なんて飲まなくてもやっていけたはずなのに、今では毎晩晩酌だ。
最近は焼酎ばかり飲んでいて大五郎がお友達。焼酎と炭酸の比率も3:7だったのが今では逆転。小さなコップでチビチビやっているけど、そのうちジョッキになるじゃないかとビクビクしている。焼酎っていうのはね、ビールや酎ハイと違ってプリン体&糖質ゼロなの。ゼロ。無かったことにしてくれる、らしい。いや、違うか。酒が進むとタバコの本数も増えるし、自分で自分の体を壊している罪悪感があるのにやめられない。飲まないとやってられない。寝れない気もする。

「酒だ。酒、酒が飲みたい。」

著者の鴨志田穰さんは戦場カメラマン。アルコール中毒。気絶するまで酒を飲み続け、吐血しその度に入院していた。アルコール依存症は他人に迷惑をかけるし、ほんと身勝手な病気。でも、何度失敗しても鴨志田さんの家族は近くで支えてくれていてる。たまに突き放すような言い方をするけれど、そこに愛を感じる。
酒が好きで飲んでいた訳ではない。酔うことで現実からの離脱、日々の苦しい思いから脱却したい気持ちがあったんだ。酔いが覚めると叫びたくなるほど反省し、飲んでは倒れを繰り返しながら酔いが覚めないよう戦っていたんだね。

飲んだら戻れない、でも飲んだら辛い現実から離れられる。わかっちゃいるのにやめられない。酒は安価だしすぐに手に入る。楽に欲求を満たしてくれるから危ないね。何事も適量に。わかっちゃいるけどね。

読んでいくにつれて病状は深刻になりだんだん怖くなっていくんだけど、どこか他人事のように淡々と綴られていく文章が不思議な感じ。

「この物語はフィクションです。」

最後の一文が心に残る。
そんな1冊です。

ちなみに映画もあるんです。
浅野忠信、永作博美が出演の。こちらもお勧め。

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