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猫が滝まで案内してくれた話。


あんこぼーるです。僕が住んでいるところはとてつもなく田舎なので、一歩山に入ると山や森にかどわかされてもう二度と帰ってこられない。神隠しに遭う、とそう言い伝えられていますでも夏で暑いので滝に行ってきました。


自宅から車で20分いくと滝があります。東京の人だって20分ぐらい車でどっかの方向にいけば滝ぐらいあるでしょ。茗荷谷とか鶯谷とか地名あるじゃないですか。ありますよ。絶対。

車を止めて十分ほど歩くと、山道の途中でとてつもなく脱力した人懐っこい猫がいました。人が近づくと、おなかをころんっと出すあれです。あの可愛い生き物のやつのことです。ころんって。しばらくもしゃもしゃと撫でておりましたが、滝に行きたいのでじゃあね、と声をかけて歩き出しました。

すると、尻尾を立ててついてきて、全速力で僕を追い抜いて行きました。 おそらくカマイタチがいたらああいう雰囲気なのだろうなと感じました。


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その後彼女は僕の元へ戻ってきたり、木の根元で爪とぎをしたり、トカゲを捕まえようとしたり変なにおいの草のにおいを嗅いで突然走り出したり、甘える声を出してだっこしてくれと足元にしがみついてきたり。

とても自由な猫でした。店の中だけで優しいキャバクラの女性みたいな。いや、店の外で優しいキャバクラの女性はほとんど存在しない。その女性はただの優しい女性だ。とにかく自由な猫でした。

世界中の猫で、これだけの自然の中で生活している猫はめったにいないのではないか。例えるならば田舎の道の駅で名前もよくわからないレトリバーぐらいの大きさの野菜が売っているようなそんな滅多にない感じなのだと思います。

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(危険がないか確認して先導してくれています。)


十五分ほど山道を登り、無事に滝まで案内してくれた彼女は滝を見物する僕のまわりを、バターになってしまうのではないかと心配するくらいぐるぐるぐるぐる回っていたのだけれど、滝への案内の疲れとそしてそのぐるぐるでさらに疲れてしまい、

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滝のそばで ごろーーーーーーーーーーーーん としていました。滝のそばで、ごろーーーーーーーーーーーーんとしている猫ってあまりいないと思うんです。

ご主人の仕事しているパソコンのそばでごろんとか、テレビの前でごろんとか、ピアノの上でごろんとか縁側やこたつそして猫ちぐらでごろんはわかるんですが、滝のそばで ごろーーーーーーーーーーーーんはやはりレアなわけです。例えるならば、レトリバー野菜なわけです。

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(放心状態です。そんなに頑張らなくてもよかったんだよ、場所は知ってたんだよ、、、、)


 無事に猫に案内してもらいましたが、小さな体で山登りはかなり疲れたのか、生きる気力なさそうだったので、下りは抱っこしてもとの場所へお連れしました。

 元居た場所にこの猫の飼い主のおじさんがいて、
「まぁーた 山にいっとったんかお前は(笑)」と注意されていました。

 そのおじさんは猟師をしていて、捕らえて捌いたあとのイノシシの肉を猫に分けて食べさせてあげるそうです。そんなスタミナついてればそりゃ山も登るわけです。

 僕が抱っこしているのを見ると、「え、そいつって、そんなにおとなしいの?引っ掻いたり噛んだりしないの?え、そいつって、そんなにおとなしいの?」と何度も質問されました。(そいつって。。飼い猫の立ち位置。。)

 飼い主さんの前ではたたり神のようにあばれるそうです。


野生の力がみなぎっているので、とてつもなく元気な、滝案内の猫の話でした。





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